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プジョーが追い続けた電動モデルの軌跡。VLVからe-2008まで80年のヒストリー

掲載 更新 1
プジョーが追い続けた電動モデルの軌跡。VLVからe-2008まで80年のヒストリー

Peugeot e-2008

プジョー e-2008

現代に生まれ変わった「ポルシェ 935」、パイクスピーク・ヒルクライムに挑む

EVのパイオニアとして様々な車両を開発したプジョー

プジョーは1941年に発表した「VLV」以来、電気自動車のパイオニアとして存在してきた。そして、これまで蓄積してきた電動パワートレインのノウハウを結集した、新型フル電動SUV「e-2008」を発表。今回、第二次世界大戦中のドイツ占領下における燃料不足への対応から、EX1コンセプトによる世界記録の樹立まで、約80年に及ぶプジョーのEVの歴史を振り返る。

コンパクトSUVの2008は、2019年の広州モーターショーでワールドプレミアされた。特徴的なスタイルと抜群のドライビングダイナミクスを備えた2008 は、最新のプジョー・ブランドIDを纏ったSUVとして開発。ガソリン&ディーゼルモデルに加えて、フルEV仕様の「e-2008」がラインナップされている。

e-2008には、50kWh容量のバッテリーと100kWの電気モーターを搭載。WLTPテストにおけるゼロエミッション走行距離は、206マイル。また、高い反応速度を実現したホログラム技術を採用した次世代「i-Cockpit 3D」を搭載し、クラストップレベルの運転支援機能や安全機能を備えている。

Peugeot VLV(1941)

プジョー VLV(1941年)

戦時下のガソリン不足に対応したプジョー初のEV

1941年、ドイツ占領下におけるフランスの燃料不足に直面したプジョーは、当時としては非常にユニークな代替手段である「VLV(Vehicule Leger de Ville:軽量シティビークル)」を開発した。VLVはプジョー初の電気自動車で、2基のオフセットシートを備えたミニカブリオレだった。

このコンパクトな2シーターは、都市部での使用を想定して設計。戦争のため、多くの車両が徴発された上、さらに燃料も配給制となりガソリンが非常に高価だったことから、フランスでは自動車での移動が非常に難しくなっていた。

VLVはフロントトレッドが幅広く、リヤトレッドが狭い”サイクルカー”レイアウトを採用。バッテリーはフロントに搭載され、後輪の電気モーターを駆動した。その性能は最高速度が21mph、航続距離は43~50マイル。1941年から1943年にかけて、パリのラ・ガレーヌ工場で377台生産され、主に郵便配達や医師の移動用として使用されている。

Peugeot 106 ELECTRIC(1993)

プジョー 106エレクトリック(1993年)

コンパクトカー106に追加されたEV仕様

1989年、プジョーは欧州の大手自動車メーカーとして初めて、地方自治体や企業向けに電動商用車を開発。バッテリーメーカーの「SAF」社と共同開発した電気バン「J5」は、内燃式エンジン搭載バンに代わる効率的な選択肢として登場した。

1995年には、個人向けの電気自動車「106エレクトリック」がデビュー。1993年から「EDF(フランス電気自動車連盟)」との提携により開発が進められ、一般市場に向けて販売されるまでに25台の106エレクトリックが、個人・専門家・地方自治体によってテストされた。

106シリーズは1990年から2003年まで生産され、279万8246台を販売。そのうち106エレクトリックは3542台がデリバリーされている。

Peugeot Ion Concept(1994)

プジョー イオン コンセプト(1994年)

様々な快適装備が与えられた電動シティビークル

1990年代初頭、プジョーは電動パワートレインを搭載する革新的なコンセプトカーを次々と発表した。1994年のパリ・サロンでは「プジョー イオン コンセプト」を公開。イオンはシティビークルとしてデザインされ、当時としては非常に先進的な装備が数多く採用されていた。

全長3.32m・全幅1.6mというコンパクトなサイズだが、幅広い大型ドアから4つのシートにアクセスが可能。室内にはCDプレーヤー、ハンズフリー電話、LCDスクリーン、子供用テレビゲームなどを装備した。電動パワートレインは、ニッケルカドミウムバッテリーに20kW電気モーターが組み合わせられている。

Peugeot TULIP(1996)

プジョー チューリップ(1996年)

カーシェアリングシステムの先駆け

1996年にデビューした「プジョー チューリップ」は、自由で独立した公共交通機関として「都市・クルマ・環境の調和」をコンセプトに開発された。

チューリップは、都市における公共利用のためのレンタカー・ネットワークを構築。車両管理、予約、メンテナンス、課金のためのセントラルステーションを備えていた。これはまさに、現代のカーシェアリングシステムの前身といえるものだった。

Peugeot Touareg(1996)

プジョー トゥアレグ(1996年)

プジョー初のハイブリッド4WDバギー

1996年のパリ・サロンで発表された「プジョー トゥアレグ」は、ニッケル/カドミウム水素バッテリーをフロントシート後部に搭載していた。

このオープントップ・オフロードバギーには、ハイブリッドパワートレインが採用されている。35.5kWの電気モーターに加えて単気筒エンジンを搭載。この内燃機関は発電機として機能し、バッテリーを自律的に充電、わずか15リットルの燃料で186マイルの最大航続距離を実現している。

Peugeot e-doll(2000)

プジョー e-ドール(2000年)

未来のモビリティを形にした2台のコンセプトカー

2000年のパリ・サロンにおいてプジョーはは4台のコンセプトカーを展示したが、そのうち2台はEVである。

「新世紀」と「アーバンモビリティ」をテーマに、ジェラール・ウェルテル率いるデザインチームが製作を担当。4台のコンセプトカーのうち「City Toyz(都市のオモチャ)」と名付けられた「e-ドールl」と「ボブスライド」は電動パワートレインを採用していた。

Peugeot Bobslid(2000)

プジョー ボブスレー(2000年)

どちらも3人乗りのバッテリー駆動モデルで、ユニークなハンドル操作を特徴としていた。e-ドールはオートバイのようなハンドルバーで操作し、ボブスレーはジョイスティックを採用している。

Peugeot BB1(2009)

プジョー BB1(2009年)

4人乗車が可能なスーパーコンパクト

2009年のフランクフルト・モーターショーでは、プジョーはフルEVコンセプト「BB1」を発表する。BB1は従来の自動車の常識を完全に覆すレイアウトを採用しており、全長わずか2.5mながらも4人乗車が可能だった。

超小型・超軽量(600kg)のカーボンファイバー製ボディを採用。密集した都市環境の制約に適応した都市型シティコミューターとしての使用を想定している。リチウムイオン電池を搭載して航続距離は約60マイルと、都市での使用には十分な性能を確保していた。

Peugeot EX1(2010)

プジョー EX1(2010年)

電動パワートレインで究極のパフォーマンスを追求

2010年、プジョー・ブランド200周年を記念して開発された、フルEVコンセプトカー「EX1」は、近未来的なスタイルと独創的なアーキテクチャーを備えた2シーターロードスターとしてデビュー。強烈なパフォーマンスとリアルなドライビングフィーリングを備えるスポーツモデルとして、強烈なインパクトを残した。

EX1は、ギリギリまで追求されたエアロダイナミクス、カーボンファイバーによる超軽量構造、2基の電気モーターによる4輪駆動システムを採用。搭載された電動パワートレインは最高出力250kW(340bhp)を発揮し、0-60mph加速は2.24秒、最高速度161mphという性能を実現した。EX1は広範囲なテストが行われ、FIAが認定する6つの世界記録を更新している。

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みんなのコメント

1件
  • ゲンロクでは、「EVのパイオニア = プジョー」なのね。

    へぇ〜。
    どうぞ、今後ともEV関連記事は、そういう前提と見解で書いてね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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