2017年にMotoGPへの参戦をスタートさせたKTM。彼らは2024年シーズン現在、ライバルに後れを取ってしまっている状況だが、内部では様々な変化が起こりつつあるようだ。
KTMがMotoGPに参戦した当初、彼らは”8ヵ年計画”とも言うべきプランを立てていた。MotoGPの戦いに慣れるのに5年、そこから3年以内にタイトルを争えるポジションに立つ、というものだ。
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実際、KTMは成長を続けており、2024年にはドゥカティと接戦を演じるようになるのではないかと予想する声もあった。しかしここまでのところ、そういった目論見とは大きく乖離したシーズンを送っているのが実情だ。
KTMはこの8年間で7勝をマークしているが、最後の勝利は2022年のタイGPまで遡らなくてはならない。それ以降は表彰台8回に留まっており、経営陣の期待を大きく下回っている。
そんな状況の中、KTMの上層部がマネジメント体制の刷新や組織再構築について話し合っているようで、今後大きな動きがあると見られている。
中でも、現在のチームマネージャーであるフランチェスコ・グイドッティは既に退任に向けた準備を進めているようだ。
グイドッティは2022年にプラマックから引き抜かれ、2025年までの契約でKTMへ移籍。しかしその契約満了を待たずにKTMを去ることになってしまうようだ。彼は2024シーズン終了後か、もしくは最終戦バレンシアGPを待たずに退任すると見られている。
そしてテクニカルチーフを務めていたファビアーノ・ステラッキーニも、契約満了を待たずに既に離脱済みとなっている。
またグイドッティだけではなく、2023年にドゥカティから移籍し、エンジニアリングコーディネーターを務めていたアルベルト・ジリブオラも、KTMから離脱する寸前だった。ただ彼は2025年にKTM陣営のテック3へ加入するエネア・バスティアニーニが、自身のテクニカルマネージャーとなることを希望したため、KTMに留まった。ライダーの希望がなければ、彼も間違いなくKTMを離れていただろう。
そうした人材の離脱危機もあるKTMのマネジメント体制については、内部から不満の声も聞こえて来ている。あるKTMスタッフは、motorsport.comに対して次のように漏らしている。
「ここには忍耐というものが無い。それはMotoGPのファクトリーで起こり得る最悪のことだ」
「安定性を与えて、雇った人達を働かせなくちゃいけないのに、残念だけどそうはなっていない」
「トップにいる人達はとても頑固だ。彼らはまだそれが良い事ではなく、スタッフにとって多くの不確実性をもたらしていて、ポジティブなことは極少ないというのを理解していないんだ」
なおチームマネージャーのグイドッティが退任することで後任が必要となってくるが、KTMはその候補としてアキ・アヨとダニ・ペドロサを挙げていることが、調べによって分かっている。
MotoGPレジェンドでありKTMのテストライダーを務めているペドロサは、KTMの発展に欠かせない役割を負ってきた。KTMのCEOステファン・ピエラも「KTMの真のボスだ」と呼んでいるほどだ。
しかしペドロサがチームマネージャーとなると考えるのは難しい部分もある。MotoGPライダーとして現役を引退した彼は、レースで1年中転戦する立場から離れ、家族と過ごすことを楽しんでいるからだ。そんなペドロサがチームマネージャーのような厳しいポジションにつくことは難しいだろう。そのため、KTMモータースポーツディレクターであるピット・ベイラーの補佐のような役割がペドロサにオファーされるのではないかとも見られている。
アキ・アヨは既にKTM陣営では中小排気量カテゴリーでマネジメントを担当している。アキ・アヨはMotoGPパドックでは最も有能なマネージャーのひとりだと評価されていて、特に投資とスポーツの利益の比率に関しては抜きん出た存在だ。KTMは以前、2024年シーズンに向けて彼に3番目のチームを預けることすら考慮していた。
ただKTM陣営は今、特に会社として損失が大きなもの(売上が15%減少)となっていることも心配されている。ちなみに株価は丁度1年前と比較すると半額以下になっている。
2025年にファクトリーチームへ昇格するペドロ・アコスタによると、「大事なのはMotoGPプロジェクトへの投資が保証されていることだ」と話しているため、近い将来の悪影響は避けられそうではある。
もちろん、ステファン・ピエラCEOがMotoGPでの成功を諦めることはないだろう。彼はビジネスマンとして仕事のほとんどで成功した人物としてのイメージを築いており、だからこそMotoGPのような舞台で自らの能力が疑問視されるようなことを許さないはずだ。
現在トップを走るドゥカティとの差を縮めるため、ピエラCEO達は資金をさらに投じようとしている。KTMがつい先月保有する企業の株式を一部売却したことも、そのためのリソース確保だと見られている。
今後、KTMは低迷の中で“正気”を取り戻し、パニックに陥らずに復活を果たせるかどうかが重要になってくるだろう。
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みんなのコメント
早く結果を出さないとクビになるって、重いプレッシャーを感じてたら、それこそいい仕事なんてできないと思う。