現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ライバル不在だけど進化は続く──新型ロールス・ロイス・カリナン試乗記

ここから本文です

ライバル不在だけど進化は続く──新型ロールス・ロイス・カリナン試乗記

掲載
ライバル不在だけど進化は続く──新型ロールス・ロイス・カリナン試乗記

ビッグマイナーチェンジを受けたロールス・ロイスの「カリナン」に、小川フミオがスペインで乗った。超高級SUVの進化に迫る。

唯一無二の存在感

排気量や気筒数で語ってはいけない──新型メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス試乗記

世界でも類のないSUVが欲しい。そんなぜいたくな望みを持つひとには、ロールス・ロイスのカリナンしかない。2024年5月にフロントマスクをはじめ、各所に手を入れられたカリナン・シリーズIIが発表され、さっそく6月初旬、スペインのイビサ島で試乗した。感嘆すべき出来映えだ。

「世界屈指のスーパーラグジュアリーSUVを大胆に昇華させた」と、ロールス・ロイスが表現する、あたらしいカリナン・シリーズII。ひとことでいうと、重厚、だけれど、同時にはなやか。唯一無二の存在感をかもしだしている。

シリーズIIは、縦のラインを強調したシグネチャーライト採用のフロントマスクや、23インチと大径化したロードホイールをそなえる。パンテオングリルと呼ばれる象徴的なフロントグリルには、今回LEDのイルミネーションが(ピュアEVモデルのスペクターのように)組み込まれた。

内装もデジタル化がやや控えめだけれど、それでもしっかりと導入された。たとえば、ピュアEV(電気自動車)「スペクター」に準じて、デジタル化された計器盤とインフォテインメントのモニター。

もうひとつ、パッと目をひくのが、車内に新設された「スピリット・オブ・エクスタシー・クロックキャビネット」だ。これを読んでいるクルマ好きは先刻承知のとおり、パンテオングリルの上に置かれたマスコット像のスピリット・オブ・エクスタシーが、ダッシュボード中央にも、アナログ時計とともに飾られる。

シート地も意匠があたらしくなった。「デュアリティツイル(二重綾織り)」なる生地を設定。テキスタイルを探求する姿勢をもつというロールス・ロイスによる、凝った織りのファブリックだ。

竹から作られたレーヨン素材といい、模様はロールス・ロイスの頭文字である2つのRを組み合わせたもので、ヨットのノットを意識したとか。色づかいは大胆で、これを選ぶと、かなりはなやかな雰囲気になる。

カリナンがなによりユニークなのは、2018年のシリーズ1登場いらい、ロールスロイスの顧客の平均年齢を56歳から43歳に若返らせたこと。しかも、自分でハンドルを握るひとが9割に達するという。

「従来のカリナンのオーナーは、動力性能にも世界観にも高い満足度を示してくれていました」

ロールス・ロイス本社でプロダクトスペシャリストの立場にあるケンザ・サーディは、イビサの試乗会場で、そう説明してくれた。

ロールス・ロイスのプロダクトポリシー実際に、6.75リッターの12気筒エンジンによる420kWの最高出力と850Nmの最大トルクのパワー感と、超フラットな乗り心地という、シリーズIの長所はそのまま受け継がれている印象。くわえてカリナンのよさは、ステアリングにダイレクト感がしっかりあって、ドライブが楽しいところだ。

クルマのドライバビリティは、パワーとトルクとステアリングフィールと乗り心地、それに音など、さまざまな要素から成る。そうやって出来上がったカリナンのキャラクターは、ほかで手に入らない。フェラーリ「プロサングエ」とも違うし、アストンマーティン「DBX707」やメルセデス・マイバッハ「GLS」とも一線を画している。そもそも「クルマの世界でライバルは存在しません」というのがロールス・ロイスのプロダクトポリシーなのだ。

イビサ島のサンジョアンなる海岸沿いのリゾート周辺が、今回の試乗コース。海岸線と、そんなに高くない山を縫うワインディングロードと、それにハイウェイ。日本でもありそうな、組合せだった。

車幅をもてあます場面もごくたまにはあったが、なにより印象に残ったのは、ワインディングロードでの意外なほどきびきびとした動きと、高速での快適性。後輪操舵システムをそなえているのと、ステアリングが正確なので、道を選ばず、気持ちよく走れる。

23インチホイールとの組合せで、扁平率が40%と薄くなったタイヤは、コーナリングにおけるしっかり感に寄与しているのだろう。かといって、乗り心地が悪化していない。ていねいに設定している印象だ。

よりスポーティなドライビングが好きなひとのために、同時にブラックバッジ・カリナン・シリーズIIも発売された。ロールス・ロイスの顧客の年齢を引き下げるのに、ブラックバッジの貢献度は大きいという。

クロームの部分がグロス(ツヤあり)ブラックになり、パンテオングリルも、なんとスピリット・オブ・エクスタシーもブラック。エンジンパワーは、最高出力が441kW、最大トルクが900Nmに引き上げられている。

さらに、足まわりがすこし硬く、ステアリングの操舵力は重めになっている。こちらのほうがちょっとスポーティで好み、とするクライアントも少なからずいる、と説明する前出のプロダクトスペシャリストのケンザ・サーディの言葉に納得できる仕上がりだ。

日本での価格は、カリナン・シリーズIIが¥46,454,040、ブラックバッジ・カリナン・シリーズIIが¥54,154,040。仕上げのパッケージオプションは豊富で、自分仕様の内外装を注文して、時間をかけて仕上げていく楽しみを味わうのも、きっと格別だろう。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

こんな記事も読まれています

クルマとしての完成度が驚くほど高かった──新型BYDシール試乗記
クルマとしての完成度が驚くほど高かった──新型BYDシール試乗記
GQ JAPAN
トヨタが手がけたホンキのアソビグルマ──新型クラウン・クロスオーバーRS“ランドスケープ”試乗記
トヨタが手がけたホンキのアソビグルマ──新型クラウン・クロスオーバーRS“ランドスケープ”試乗記
GQ JAPAN
ドライバーズシートも特等席──新型レクサスLM500h“version L”試乗記
ドライバーズシートも特等席──新型レクサスLM500h“version L”試乗記
GQ JAPAN
新型ベントレーコンチネンタルGTが、堂々デビュー!──GQ新着カー
新型ベントレーコンチネンタルGTが、堂々デビュー!──GQ新着カー
GQ JAPAN
【比較試乗】ラグジュアリーでありながらハイパフォーマンス。頂点を極めたフラッグシップSUVの世界「BMW XMレーベル vs ポルシェ・カイエン Eハイブリッド vs メルセデス・マイバッハGLS600 4マチック vs レンジローバーSV」
【比較試乗】ラグジュアリーでありながらハイパフォーマンス。頂点を極めたフラッグシップSUVの世界「BMW XMレーベル vs ポルシェ・カイエン Eハイブリッド vs メルセデス・マイバッハGLS600 4マチック vs レンジローバーSV」
LE VOLANT CARSMEET WEB
持続可能な社会と豊かな生活を両立する1台──新型レンジローバー オートバイオグラフィP550e試乗記
持続可能な社会と豊かな生活を両立する1台──新型レンジローバー オートバイオグラフィP550e試乗記
GQ JAPAN
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(1)E350e スポーツ エディションスター】PHEVサルーンの最適解は、人とクルマのつながり方にも革新をもたらした
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(1)E350e スポーツ エディションスター】PHEVサルーンの最適解は、人とクルマのつながり方にも革新をもたらした
Webモーターマガジン
カクカクSUVな新型「タンク」登場!  豪華内装×オフ仕様!? 川も渡れる…「700」を中国で試乗
カクカクSUVな新型「タンク」登場! 豪華内装×オフ仕様!? 川も渡れる…「700」を中国で試乗
くるまのニュース
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
名門アルピナが放つ「流麗な4ドアクーペ」の魅力とは? 529psの“直列6気筒ツインターボ”を搭載! 新しい「B4 GTグランクーペ」は何が進化した
名門アルピナが放つ「流麗な4ドアクーペ」の魅力とは? 529psの“直列6気筒ツインターボ”を搭載! 新しい「B4 GTグランクーペ」は何が進化した
VAGUE
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
AUTOCAR JAPAN
ライバルの「1歩先ゆく」電動サルーン 最新ポルシェ・タイカンへ試乗 感動するほど気持ちいい
ライバルの「1歩先ゆく」電動サルーン 最新ポルシェ・タイカンへ試乗 感動するほど気持ちいい
AUTOCAR JAPAN
ベントレーの新型「コンチネンタルGTスピード」がデビュー! グランドツアラーの決定版を再定義
ベントレーの新型「コンチネンタルGTスピード」がデビュー! グランドツアラーの決定版を再定義
LE VOLANT CARSMEET WEB
改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力
改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力
AUTOCAR JAPAN
「史上最高」のロード・ポルシェ 718スパイダー RSへ試乗 カップカー・エンジンを軽いミドシップに!
「史上最高」のロード・ポルシェ 718スパイダー RSへ試乗 カップカー・エンジンを軽いミドシップに!
AUTOCAR JAPAN
フェラーリ初のSUV「プロサングエ」買うなら年収はいくら必要? 価格未公表の「超人気モデル」を手に入れるために“お金よりも必要なもの”とは?
フェラーリ初のSUV「プロサングエ」買うなら年収はいくら必要? 価格未公表の「超人気モデル」を手に入れるために“お金よりも必要なもの”とは?
VAGUE
「大胆で挑戦的」なロータス・エレトレ S 迎え撃つアウディSQ8 e-トロン 電動SUV直接比較(1)
「大胆で挑戦的」なロータス・エレトレ S 迎え撃つアウディSQ8 e-トロン 電動SUV直接比較(1)
AUTOCAR JAPAN
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(2)CLE 200 クーペ スポーツ】MHEVが求めるのは、絶対性能ではなく毎日が楽しい「ハイスペック」なのかも
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(2)CLE 200 クーペ スポーツ】MHEVが求めるのは、絶対性能ではなく毎日が楽しい「ハイスペック」なのかも
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

4184.04811.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4128.06780.0万円

中古車を検索
カリナンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

4184.04811.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4128.06780.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村