コロナ禍にあって、国内外のレースが無観客で行われている。モータースポーツファンにとっては、間近で観戦できないもどかしさも募るばかりではなかろうか。
そんななか行われたスーパーGT選手権 第4戦決勝の翌日2020年8月10日、アフターホイールメーカーであるレイズが、同レースが行われた富士スピードウェイにて「RAYS World Tour in Japan 2020」を開催した。
もちろん大々的にというわけではなく、主催者であるレイズおよびモータースポーツに携わるごく一部の関係者、そしてメディアのみが参集。ソーシャルディスタンスを保って開催された。
「RAYS World Tour」の意味するところやイベントの狙いについて、三根茂留代表取締役社長に聞いた。
このイベントは本来、海外向けに行われるもので、レイズがグローバルに同社のブランド力を広めるために5年前から海外で行われてきたものだ。
これまで、香港、中国、シンガポールで開催し、おもにアジア圏での市場拡大を狙ってワールドツアーを展開してきた。だが、今年はコロナ禍において国外に出てのイベントもままならない状況。ならばと、日本国内からインターネットを通じてライブ配信という形で世界に発信する場を設けたのだ。
レイズの企業理念は「The Concept is Racing」であり、モータースポーツと切っても切れない関係だ。F1やGT1世界選手権といった最高峰レースをはじめ、名だたるレースの中で培ってきたノウハウと技術力を、アフターホイール製品に投入している。
確かな技術力とメイド イン ジャパンの誇りをもって送り出される魅力的な製品が、国内はもとよりグローバルで支持されている。「RAYS World Tour」はまさに世界が注目するイベントなのだ。
今回、富士スピードウェイで「RAYS World Tour in Japan 2020」を開催した理由がもうひとつある。グランドスタンドからつながる歩行者用地下通路のパドック出入り口ゲートのネーミングライツをレイズが取得。新たに「RAYS GATE」となり、このイベントがお披露目の場となったのだ。
レイズの今後については、クルマを見据えた開発を行っていくという。これまではホイールに特化した製品づくりを行ってきた。言いかえればホイール単体での性能を高めることを追求してきたのだという。レイズの強みである軽量・高剛性の設計思想をベースに、操縦安定性を考慮するなど車両特性を生かしながら、走行性能を高める製品づくりにシフトする。このようなクルマをベースにホイールを開発するというのはほかではまだ見られず、レイズの新たな強みとなるのではないか、と三根氏は語った。
加えて、これからも積極的にトレンドを取り入れていくことで、ユーザーニーズを的確に捉えたさまざまなデザイン、性能を付加した製品を造り続けていくという。ホイールは志向性の強い製品であり、すでにレイズでは多くのバリエーションを保有している。
バリエーションが拡大するということは、生産能力が懸念され、そうなると大量生産のために海外へ生産拠点を設けることも視野に入る。しかし、ニーズの多様性が進み、多くのバリエーションをそろえる決意をしてもなお、メイド イン ジャパンにこだわり続けるという。
なぜなら、今まで欧州やアメリカ発信のトレンドを取り入れてきたが、ようやく日本からも発信できるようになってきたという実感があるから。そういった土壌を地道に耕してきた成果が着実に実ってきているのだ。
そこにあるのは、何よりも確かなもものづくりによる信頼と自負。「RAYS World Tour」はコロナ禍にあっても中止ではなく日本で行った。海外へ向けてのブランド発信という点からみれば、その意義はけっして小さくはないだろう。
新製品続々! RAYS World Tour in Japan 2020「RAYS World Tour in Japan 2020」のプレゼンテーションでは、三根茂留代表取締役社長が登壇し、イベントの日本開催の経緯やRAYSの製品開発について紹介した。この20年の間に解析技術が進化し、クルマをみたものづくりにシフト。クルマの挙動に合わせた性能評価を行い製品開発に生かしている。
また、OEM供給も積極的に行っており、自動車メーカーのノウハウなども取り入れながら製品を開発しているという。
ここ数年、従来からこだわり続けてきた機能美による製品づくりに加え、デザイン性を重視した製品を展開。それらのための設備投資を積極的に進めてきた。その例として、文字彫刻をマシニング加工で施し、より意匠性を高めた製品をリリースしている。
このイベントでは発売予定のものを含めた新製品などを約100本展示。製品開発への意気込みをアピールした。
イベントには日産GT-R、フェアレディZの統括責任者である田村宏志氏も登壇。
GT-Rの純正ホイールとして採用されるレイズのホイールについて、軽量・高剛性の鍛造ホイールでなければ成立しないと高く評価。レイズの技術力にほれ込み、供給を依頼し続けてきたと経緯を語った。
続いて、イベント前日、スーパーGT第2戦を戦った日産GT-R GT500の総監督であるNISMO(ニッサンモータースポーツインターナショナル)最高責任者の松村基弘氏がステージに上がった。前日の成績がふるわなかったことはホイールのせいではないと前置きした上で、レイズホイールの役割について語った。
タイヤ開発を自由に行える特殊なカテゴリーであるGT500。そのタイヤと車体をつなぐ筋肉であり骨でもあるホイールは、タイヤへの熱管理やハンドリング時の剛性としなやかさ、軽量・高剛性、ピットワーク時の持ちやすさ、そしてカッコよさという5つのポイントがあり、真摯な姿勢で受け止め開発するレイズのこだわりに共感。GT-Rにふさわしいホイールとして2020年度からレース車両に採用したと説明した。
このほか、ゲストとして招待されたNISMOの田中利和常務取締役や、モチュールオーテックGT-Rチーム監督の鈴木 豊氏、チームAPR代表の金曽裕人氏、BMWチームスタディ代表の鈴木康昭氏といったスーパーGTを戦うチームの代表、そしてイベントでのデモンストレーション走行を担当するレーシングドライバー松田次生氏、山野哲也氏、織戸 学氏、川畑真人氏も紹介された。
〈文と写真=ドライバーWeb編集部〉
RAYS
https://www.rayswheels.co.jp
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