もくじ
ロールス・ロイス・ファントム ★★★★★
ー 妥協のない超高級車
ー 圧倒的な洗練性
新型ロールス・ロイス・ファントム試乗 類を見ない高級感と高品質 不動の最高峰
アルピーヌA110 ★★★★★
ー シンプルな古き良きスポーツカー
ポルシェ911 GT3:ベスト・ドライバーズカー
ー 911 GTシリーズでも最高のハンドリング
ー 720Sとも接戦
ヴォグゾール・インシグニア:中古車部門1位
ー 実用的でお買い得感が売り
ホンダ・シビック・タイプR:お手頃ドライバーズカー1位/読者投稿1位
ー 混戦するホットハッチ
ー ホンモノの機敏さ
ー 読者投票でもベスト
ロールス・ロイス・ファントム ★★★★★
妥協のない超高級車
ロールス・ロイス・モータース・カーズ・リミテッドの看板を守るひとびとがいかに善良であっても、その手のうちにあるブランドのあまりに偉大なる威光に、ついつい独善的になってもおかしくはない。
妥協のない超高級車をつくることを許されたメーカーがほかにあろうか? もちろんあるはずなどない。だからこそ、デザイナーや技術者から組み立てをになう工員にいたるまで、この会社で働くひとびとの目指すところは単純明快になるわけだ。
「単純」といってはみたが、それはもちろん「容易」を意味するわけではない。8代目ファントムを襲名するクルマをつくるにあたって、複雑怪奇な技術をまとめあげ、その結晶としてくもりひとつない洗練さ・上品さ・快適さと優美さをもってこのようにすばらしく走らせることは並たいていのことではない。
ファントムの乗り心地は快適どころか、すべてにおいて「世界最高のクルマ」にふさわしい。夢みたいなものだ。
新型は先代よりモノコックが強化されて全長がやや短くなったが、重量はむしろ増えた。その裏づけともいえるが、アダプティブ・エアサスペンション、アクティブ・スタビライザー、四輪操舵、先進的な遮音材入りランフラットタイヤをはじめありとあらゆる装備をそなえる。
世界一静かで快適で、運転もやさしい全長5.76m・車重2780kgのセダンをつくる設計者になってみたとしよう。いったいどこから手をつければいいのか、どこまでやればいいのか途方にくれるだろうことはかんたんに想像がつく。
ファントムのV12を設計するには、設計に使うコンピュータもそれに見あった性能が必要だったにちがいない。
圧倒的な洗練性
その性能についていうと、このグッドウッドの魔術師が0-161km/h加速も48-113km/hスルーギア加速も、フォード・フォーカスRSより短い時間でこなしたことはご存知だろうか。
そういう情報がロードテストであきらかになるとつい大喜びしてしまうのがわれわれの性だが、ファントムの場合より意味をもつのは、もちろん巡航における洗練性のほうだ。
そこにおおきく影響する騒音レベルは、アイドリング中でもわずか34dbにすぎない。これならイギリスの街の雑踏の音のほうが大きいくらいだ。110km/hまでスピードをあげても、後席のご主人さまにもらす音は60db。ふつうのセダンは50km/hでもこれより騒がしい。
この静けさも、新型ファントムの味わいのほんの一端にすぎない。まごうことなく豪華絢爛で、ひとをやさしく迎えいれて包みこみ、場違いなほどきらびやかに見せてくれるクルマだ。
でも実際のところは、仮に機械としてのできや豪華さが大したことがなくとも、億万長者は列をなしてファントムを手にいれようとするのだ。
ただ運転してすばらしいというのはこのクルマのほんの一面にすぎず、顧客にとっては大したことではない。しかし、かつてなく力をつけているようにみえるロールス・ロイスの、そこで働く多くのひとびとの誇りを左右することではあるだろう。
アルピーヌA110 ★★★★★
シンプルな古き良きスポーツカー
クルマとは無数のパーツの集合体だが、ただ足しあわせたよりはるかにすぐれた力をもつこともある。そしてわれわれは毎週、クルマを今度はこまかく切りきざんでより分けこまかく分析するわけだが、そんな表計算ソフトをいじくればすむ作業だけでは雑誌のテストとはいえない。
まず細部までたしかめることは、全体としての判断をくだす手段にすぎないのだ。本号でアルピーヌA110に2018年ふたつ目の5つ星をあたえるにあたっても、もちろんそうした。
A110の別記事のくりかえしになるが、ここでもう一度強調しておきたい。すがすがしいまでにシンプルな古き良きスポーツカーのたたずまい、すぐさまドライバーを魅了する親しみやすさ、そして別にとんでもない速さも洗練された機動性がなくとも、おもしろさについては一目瞭然なクルマということだ。
お手ごろなスポーツカーには、あとなにが必要だろう? そんなのないよというかもしれないが、レトロなスタイルをうまく再構築したA110のスタイルは、憎いくらい思わずほしくなってしまうではないか。
ポルシェ911 GT3:ベスト・ドライバーズカー
911 GTシリーズでも最高のハンドリング
またおなじみのジレンマにはまってしまった。われわれのよくやる手とはいえ、もう新車では買えない昨年のベスト・ドライバーズカー911 Rにもう一度ご登場願うか? はたまたその事実上の後継車GT3にするか? どうせ現実には両方を手にすることなどできないではないか。
結局、実質的な選択をとった。手に入る新しいほうで、ヴァイザッハのGT部門が現在、唯一送りだすクルマ、GT3だ。911 Rよりも出来ばえが良いか、少なくともおなじ路線をなぞっていることを信じて。
そうにちがいない。2016年にベストに選ばれた911 Rはホンモノのドライバーズカーだった。軽量化され、ロードユースに的をしぼりながらもサーキットでも魅力的だったのだ。そしてその選考から数カ月後、わたしは911 GT3をおなじ道で、そしておなじアングルシーのサーキットで走らせ、前にもましてチューンされたすばらしいエンジンと、911 GTのなかでも最高のハンドリングをそなえたクルマだと実感した。
2017年のベスト・ドライバーズカー審査は、カッスル・クームへ場所を移しておこなった。われわれお気に入りのサーキットで、近くには細く曲がりくねった道も多い。ただ今回は大雨のおまけつきだった。
720Sとも接戦
こういうコンディションのサーキットでむしろ光るクルマもある。アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオなどはまさにそれで、惜しくも表彰台こそ逃したが、ステアリングを握るとぐいぐい引きこまれてしまう。この種のコンテストでは下位に沈むことの多い4ドア車としては、目を見張るできだ。
お次は、大きくてホイールベースも長くのろまにみえるV8搭載のアストン マーティンDB11だ。たしかにサーキットでは扱いやすく楽しいクルマだが、911などと比べると公道ではあまりに幅広く尊大なかんじだ。それでももっともおだやかなアストンというキャラクターが支持されて、3位に入った。
GT3にもっとも食いさがったのは、マクラーレン720Sだった。200点中わずか5点の差だった。油圧アシストのステアリングは手ごたえもすばらしく、ハンドリングのバランスは非の打ちどころがない。サーキットの項目ではGT3の90点に対して92点と、むしろこちらに高い点数がついたほどだ。
反面、ロードカーとしてはGT3に軍配があがることになる。公道でのハンドリングはGT3のほうが好ましく、720Sの86点に対して93点がついた。タイヤの状況を溢れんばかりに伝えてくるステアリングはもちろん、コンパクトなボディと良好な視界のおかげで、悪天候の田舎道を流すだけでもぞんぶんに楽しめるのだ。
考えてみれば、それは現実のドライブでもよくある状況だ。たしかにもともと休日のためのクルマかもしれないが、日常にだってじゅうぶん使えるのだ。
ヴォグゾール・インシグニア:中古車部門1位
実用的でお買い得感が売り
うるわしい名前だったヴォグゾール・ヴィクターによろしくと伝えてほしい―まあ、できるはずもないが。「インシグニア」というと、どうしても冬に猛威をふるう病気みたいに聞こえてしまってこまるのだが、まあ名前のことはおいておこう。この古きよき雰囲気をかもしだすクルマは、現実的な実用性とお得感を考えると多くの美点を持ち、中古車部門の王者にふさわしい。
もっとも、お得感はもともとの売りだ。2009年に登場したとき、ベースグレードのSでもエアコン、電動ミラー、クルーズコントロール、ステアリングのオーディオリモコンが標準だった。上位のSEやエリートともなればそれこそ大盤ぶるまい。ワイルドにいきたければSRiといううってつけのグレードがあるし、そのうえ狂ったかのようにすばらしい走りをみせる高性能4WDのVXRだってある。
2013年にはエンジン、サスペンション、内装などに大幅改良をうけたので、それ以前のモデルよりも価格はすこし上がっている。
ディーゼル車もおすすめだ。ちょっとエコ運転すれば平均で24.8km/ℓの燃費をたたき出すこともできる。なかでも実利主義に徹するなら、CO2排出量99g/kmで道路税が免税になる2.0 CDTiがある。これほどいいクルマなのだから、ヴォグゾールにはふさわしい名前をちゃんと用意してほしい。
ホンダ・シビック・タイプR:お手頃ドライバーズカー
混戦するホットハッチ
スーパーカーとおなじく、ホットハッチ市場を支配するのは一芸に秀でたクルマだ。どれもハッチバックでアツい…という点だけはおなじだが、それぞれの得意分野ははっきりわかれている。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTIはある程度の面白みもある気がおけない相棒だし、楽しさの面を際立たせたゴルフRでも日常をおろそかにはしていない。
フォード・フォーカスSTはゴルフGTIと似ているが楽しさのほうに軸を置いているし、フィエスタSTではそれがいっそうはっきりする。そしてフォーカスRS。ドライビングをつきつめたクルマという点ではルノー・メガーヌRSと双璧をなすだけに、毎日付き合うとなるときついかもしれない。
そのフォーカスRSに通じるものがあるメガーヌは、パワーでは劣るが喜々として曲がりインコースにねばりつく。
これら強敵を前に、先代ホンダ・シビック・タイプRの立ち位置ははっきりしていたとは言いがたかった。モデルライフの終盤になってあらわれ、2年というみじかい生産期間中、ウルサくて狭いうえ出来もたいしたことがないという評価を抜けだせなかった。
ホンモノの機敏さ
しかし今度のはまったくちがう。ベースのシビックじたいがはじめからタイプRを想定して開発にあたったとされ、タイプRの要件にあわせた設計箇所が逆に他のモデルにいくぶんしわ寄せをきたしたところさえある。フロアは浅いし、着座位置と天井も今の基準では低すぎる。
そうしてできあがったタイプRは、たんにFFハッチバック車としてニュルブルクリンク北コースの最速ラップをたたき出せただけでなく―それだけでも大した偉業ではあるが―、ホンモノの機敏さを手にいれた。
扱いやすいだけでなく、コーナリングも乗り心地もすばらしい。直線の速さはいうに及ばず、しかも高速道路では6速に入れてしまえば、落ちついて快適で洗練された高速巡航能力にどっぷりひたることもできるのだ。
そしていちばん特異なことは、シビックは何でもうまくこなせてしまうのだ。ライバルたちが自分の守りぬいてきた特長から1歩も踏みださないのを逆手にとり、ホンダがそれらの特質を融合させて自分の持ち味としてまとめあげたのは、必然だったのかもしれない。もはや死角の見当たらない3万1525ポンド(471万円)のタイプRは、し烈な競争にうち勝ってお手ごろドライバーズカー部門の勝者となったのだ。
もっとも、ルノー・スポールが送りだす新しいメガーヌの挑戦をはねのけて連覇を目指すとなると、これからもたゆまぬ改良が必要となるだろう。
読者投票でもベスト
「史上最高のホットハッチは?」という問いへの4250以上の回答のうち、わずかに0.5%の得票をえた初代アウディS3にはここでは触れない。それより、大勝したのは新型ホンダ・シビック・タイプRだった。オーナーかどうかにかかわらず、ひいきが働いたようだ。
それはともかく、2位のじつに2倍以上となる20%の票を獲得して、読者が選ぶ部門ベストの1位に輝いた。その2位となったランチア・デルタ・インテグラ―レと3位のプジョー205 GTiはわずか1票差。
それに続くのはアルファ・ロメオ・アルファスッド、フォード・フィエスタST。選外で目をひくのはアルファ147 GTA、BMW M140i、3代目フォード・フォーカスRS、初代と7代目のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI、ルノー・クリオ・ルノースポール182トロフィーだ。
どれほど対象車と投票にばらつきがあったかは、「その他」が最多得票を占めたことでおわかりかと思う。29%ほどの投票者はリストにないクルマを選んだ。ルノースポール・メガーヌ・トロフィーRを選んだ85人の方、わたしもおなじです。
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