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実はとても重要な自動運転レベル3とレベル4の境界線

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実はとても重要な自動運転レベル3とレベル4の境界線

【連載】もしもAIがいてくれたら

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第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第32回:忘年会シーズン到来!進化するバーチャル飲み会でAIに何をしてほしい?

乗ってみたい!公開飛行試験に成功したSkyDriveの〝空飛ぶクルマ〟「有人機SD-03」

自動運転「レベル4」では人間が必要なくなる

2021年12月23日に、警察庁が特定の条件下で運転を完全に自動化する「レベル4」の自動運転車を地域の移動サービスで使用するための許可制度を創設する方針を固めたとの報道がありました。過疎地で運行する無人巡回バスへの活用などが想定されているとのことです。いよいよ自動運転車が路上を走るようになるのですね。

自動運転は、日本では、現在、高速道路の走行などに限ってシステムに運転を任せられるレベル3まで実現しています。天候悪化など緊急時など自動運転継続が難しくなった状況では人間が運転する必要があるレベル3と異なり、レベル4では人間のドライバーは必要なくなります。

まずは、限定された地域で遠隔監視のもと特定のルートを無人走行する巡回バスでの実用化から開始し、徐々に高齢者の利用が見込まれる地域などへと拡大し、2025年度をめどに、自家用車や物流トラックが高速道路をレベル4の自動運転で走行できるところまで進めたい勢いです。2025年に自動運転が実用化されると言われていましたので計画通りですね。

そのような流れでやはり気になるのが安全性です。

自動運転で先行しているテスラについては@DIMEでも取り上げました(クルマというよりコンピュータ!?AIを搭載したテスラ「Model 3」に乗ってみてわかったこと)が、そのテスラについて気になる事故の報告が相次いでいます。

記憶に新しいところでは、12月11日に、フランスで、テスラModel 3が、自転車の1人と歩行者3人をはねた後、バンに衝突し、7人が重傷を負ったという事故です。ドライバーはブレーキをかけようとしたが、車が加速したと話しているということですが、実際のところはわかりません(テスラ社は技術的不具合を否定しています)。

一般道ということで、完全自動運転ではなく、レベル3だったのではないかと思われますが、もともと、システムとドライバーが連携するレベル3は最も危ないと言われていました。ある程度車が自動的に運転してくれていると、人間の側は油断します。リラックスしてしまっているところで、緊急事態という難しい状況で運転を任されても、すぐに切り替えて対応するというのは、難しいでしょう。

「レベル3」だと人とAI、どちらに責任がある?

そもそも、レベル3の場合、どちらに責任があるかわかりにくいです。ブレーキを踏まずに足をリラックスさせていることができると、アクセルとブレーキの踏み間違いが起きそうな気がするため、車が暴走した、と主張しているドライバーは、もしかしたらアクセルとブレーキを踏み間違えているのかもしれません。

こんなことが起きるなら、実は完全自動運転のレベル4の方が安全ですが、コンピュータも不具合が生じる可能性は0ではありません。日本政府の方針でも、「システムが車を安全に停止させる機能を持つことが前提」としていますが、これはとても重要です。そもそも、なぜ自動運転が必要なのか?という原点に帰れば、人が仮にアクセルを踏んでしまっても、システムが危ないと判断したら安全に停止する、ということが大切です。

完全自動運転は実用化されていないにもかかわらず、人間が運転しなくてよくなることを前提にした技術開発や導入が進められていることが気になります。テスラModel 3も、走行中にドライバーが車内のインフォテインメント画面でゲームをプレイできる機能が搭載されており、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が調査を開始しているとのことです。完全自動運転に移行することや、助手席にいる人が遊ぶことを想定しているのかもしれませんが、自動運転でなくても、スマホでゲームをしながら運転してしまう人もいるほど、ゲームは人を惹きつけます。ドライバーがゲームをしてしまうことを誘発するのではないかと思います。

安全な完全自動運転が実証される前に、自動運転車への導入を想定した様々なエンタテインメント系VR技術を目にするようになりました。「車は安全に移動する手段」という前提を忘れずに技術開発を進める必要があるでしょう。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。

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