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「意のままの走り」に秘密あり!! 新型CX-8にみるマツダの進化とこだわり

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「意のままの走り」に秘密あり!! 新型CX-8にみるマツダの進化とこだわり

 国産メーカーのなかで特に強い個性を持ち、独特の存在感を放つマツダが、3列シートSUVの新型CX-8を12月14日に発売。近年4WD性能にも力を入れるマツダの最新SUVは、どれほどの実力を持っているのか? 同時に、CX-5やデミオなどを雪道で走らせると、マツダの車が「個性」を放つ理由が見えた。

文:松田秀士/写真:藤井元輔

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ユーノスコスモ以来!? CX-5とは“別物”のCX-8

写真はCX-5。マツダはセンサーを駆使して四輪の駆動力を自在に操る新世代4WDを各車に搭載してきているが、その実力はハードな雪道でも発揮できるのか?

 CX-8には既に公道試乗しているが雪道は初めて。最近、マツダの4WD技術は急速に進化している。

 マツダ自体がやっと最近アピールし始めたので「ホントはどうなの?」と思われがちなのだが、正直、CX-8の雪上でホントはどうなの? という点については未知数。

 まずは、CX-8の概要からまずお伝えしよう。CX-8は3列シートのクロスオーバーSUV。チーフデザイナーは、CX-5から引き続き担当する諌山慎一氏。デザイン上の一番のポイントは3列シートの最後列の居住性を確保しながらも伸びやかでスタイリッシュ、しかもエレガントなシルエットを目指したという。

 インテリアに関しては、ただ広いという既存の価値観ではなく、ある程度タイトな中に全ての乗員がマツダらしい走りの気持ち良さや上質な豊かさを感じられる空間造りを行ってきたという。CX-5からさらに上質な表現として、ウッドパネルなどホンモノの素材を使用している。国内市場に向けてフェイクではないホンモノの加飾を使うのは、マツダではユーノスコスモ以来20数年ぶりだという。

新型CX-8。ミニバンから撤退するマツダにとって、日本市場で唯一の3列シート車だ。 ■全長×全幅×全高:4900×1840×1730mm

ワンクラス上の骨格が生み出す「余裕」

左からCX-3(全長×全幅:4275×1765mm)、CX-5(全長×全幅:4545×1840mm)とCX-8

 エクステリアは見た目にも上品で、CX-5よりも大人っぽい落ち着きを感じさせる。北米向けにさらに大きなCX-9があるが、デザインテイストはこちらに近い。インテリアに派手さはないがシート表皮など素材を含む上質感がある。

 実は、CX-8の土台であるプラットフォームは、CX-5のものではなくCX-9のものを使っている。しかし、CX-9では全幅が1930mmあるため、そこはCX-5と同じ1840mmとしている。

 ここにもマツダのこだわりが見られ、CX-5のサスペンションアーム類を流用しているのかと思いきや、わざわざCX-9用のアーム類を縮めて作り替え装着しているのだという。

 これは多人数乗車を考慮して余裕のある耐荷重性を確保する目的だろう。驚いたことに、この一つ上のクラスの余裕あるプラットフォーム&アーム類を使ったことで、驚くほど雪道での居住性が良かったのだ。やるなぁマツダ!

 CX-8のパワートレインは2.2Lのディーゼルターボエンジンのみ。ただし、このディーゼルエンジンはさらなる進化を遂げていて、190ps/450Nmへと+15ps/30Nmパワーアップ。燃費性能も進化しWLTCモードで15.8km/Lとなり、72Lの大容量燃料タンクにより最大1137kmの航続距離を走ることが可能だ。

注目の3列目は「使える」ものなのか?

CX-8のリアスタイル。3列目の広さはリアデザインの犠牲となりやすく、乗り心地もリアタイヤに近いため不利だが、そこをどう仕上げている?

 この手の車で一番気になるのが3列目の居住性。マツダではこの3列目に注力したとの説明。座ってみる。座面は短く床まで低いので若干体育座り。これはどんなモデルでも同じだが、左右を含めた上半身の空間に余裕を感じる。それと背もたれが分割式の割にはクッション性も良く、特に座面のクッション材が厚いので体育座りもそれほど苦にならない。

 そして、この3列目に座っていても、走行中に運転者と声をはりあげることなく会話が可能だ。つまり静粛性が高いのだが、ものすごく静かなわけではなく、人の声の周波数帯が良く通るように作り込まれている。

 この点は、CX-5以降、最近のマツダが大きく進化した点で、車内ノイズが耳障りでない。ハンドリング面ではボディの剛性感が高く、『Gベクタリング』もより効果的にセットされなおし、フロントにリバウンドスプリング(ダンパー内にバネを入れた機構)を採用し、横Gが高い時にはロール(車体の傾き)を抑えるが、それ以外ではしなやかなストローク感だ。

マツダが考える「楽しさ」の秘密は“ある指標”に隠されていた

ドライバーがハンドルを切ったイメージ通りに車が曲がる。「操作と車の動き」をマッチさせることこそ、マツダの考える「楽しさ」の指標=躍度

 ところで、今回の雪上試乗会でのテーマは「躍度」(やくど)。マツダの試乗会は、毎回面白いアプローチで車の開発状況を説明してくれるのだが、躍度という名称にはこのボクも驚いた。躍度とは加速度の変化率のこと。もっとわからなくなりましたね。

 止まっている、あるいは走行している状態から加速し、目的の速度に達するまでにかけた時間、また逆の減速にするまでの時間。

 加減速にかけた時間が短いほど躍度は高くなり、逆は短くなる。ちょっとわかってもらえましたか? 躍度。

 それで、雪道では躍度が高いと空転して滑ります。その違いをFFモデル、4WDモデル、オールシーズンタイヤ、スタッドレスタイヤの組み合わせで経験。雪道でスムーズな運転をし、なおかつ意のままに動かす楽しさを体験。つまり、躍度は楽しさのバロメーターなのです。なかなか興味深い試乗会でした。

アクセルを踏んだイメージと車の加速がマッチしていないとスムーズな運転は不可能。雪道こそ、そうした車の出来を計るにはもってこいの舞台なのだ

 ところでCX-8ですが、雪道はアスファルト路面と違い大小さまざまな凸凹があり、これが細かな振動となってキャビンに伝わってきます。そのレベルが非常に小さく、乗り心地が良い。しかも、滑りやすい雪道でのグリップレベルが高い。4WDの性能も高く、テストコースだけでなく一般道の雪道も安心ドライブができました。

凹凸のある積雪路をゆくCX-8。雪道では適切な駆動力を伝えつつ、路面のショックをいなす足回りの実力が試される

FFのデミオ(上)と4WDのCX-5。さまざまな駆動方式を雪上で乗ることで、マツダの車作りの原点が見えた

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