今まで鳴らなかった音が出て収まらないなら要点検
ブレーキを踏んだ時に、キィーという異音が出ることがある。この異音は「鳴き」と呼ばれるが、その主な原因は下記のとおり。
【今さら聞けない】クルマのディスクブレーキとドラムブレーキの違い
(1)ブレーキパッドが減ってきた場合
ブレーキローターを押さえつける、ブレーキパッドの摩材自体がすり減ると、磨耗センサー(パッドセンサー)が音を出して、残量不足を知らせる仕組みになっている。音が出たら整備工場などで点検してもらおう(※センサーがないクルマも一部にある)。
(2)パッドを交換した直後
ローターもしくはパッドの表面のどちらかが荒れている場合は、「あたり」がつくまでブレーキが鳴くことがある。とくにパッドだけ新品に交換した場合は、100kmぐらい走らないと、表面が馴染まない場合があるので、緊急時以外は急ブレーキを踏まないようにして、ブレーキのナラシをしよう。ごく稀に、組み付け不良ということもあるので、一応点検をオススメしたい。
(3)キャリパーの摺動部やパッドのシムのグリース切れ
パッドの裏には鳴き防止用のシムが入っていて、このシムが振動を吸収することで、鳴きを防いでいる。このシムには、ブレーキ専用のグリースが塗布されているのだが、このグリースが切れると異音が出る。またキャリパーのスライドピンなど摺動部のグリース切れも要点検。
(4)パッド・ローターの扁摩耗・歪み
パッドやローターの表面が劣化している場合は、ペーパーをかけて表面をきれいに整えたり、パッドの角の面取りを行うことで、鳴きの発生を抑えることができる。また、ローターのひずみが大きい場合は、表面を専用の機械で研磨してもらうか、新品に交換する必要がある。
制動性能重視のパッドの場合トラブルではなくても音が出ることも
(5)キャリパーのオイルシール・ダストシールの劣化
キャリパーのシール類は消耗品。5年に1度ぐらいはオーバーホールが必要。キャリパーのメンテナンス不足で、パッドが片減りしていたり、戻りが悪くなっていることも考えられる。
(6)パッドの摩材の問題
スポーツ走行など、ブレーキに大きな負荷をかけても、熱によるフェード現象が起きにくい、スポーツパッドに交換している場合は、摩材の関係で鳴きが出やすいこともある。スポーツパッドのなかでも、ストリートがメインのノンアスベストタイプなら、鳴きもダストも少ないものが多い。サーキットユース向きのメタル系パッドは、制動力や耐熱温度が高い代わりに、鳴きやダストは出やすくなる。輸入車の高性能車も、ブレーキの効きを重視し、ダストや鳴きには目をつぶる傾向がある。
簡単にいえば、制動力と鳴きやダスト量はトレードオフの関係になるので、ブレーキ性能を重視するなら、ある程度鳴くのは仕方がないと思って諦めることも必要だ。
(7)冷間時・走り出しだけ音が出る
真冬の朝などは、ローターもパッドも冷え切っているので、表面が硬くなり、異音が出やすい環境になる。しばらく走れば、ローターもパッドも温まり、鳴かなくなるようになるので気にしなくてもOK。また、洗車のあとや雨上がりで、ローターの表面に錆が浮いているときも異音が出ることもあるが、これもしばらく走れば錆が削られ解決する。
そのほか、ブレーキローターやキャリパー周辺の汚れも原因だったりするケースもあるので、汚れが目立つようなら、まずはブレーキクリーナーで洗浄してみることも有効だ。
いずれにせよ、何かパーツなどを交換したわけでもないのにブレーキを踏むたびに鳴きが出るようになったら、一度メカニックに見てもらおう。そのまま放置するのが、一番危険だ。
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