「マスタング」シリーズ最強モデル
米国を代表するスポーツカーの1つ、フォード・マスタングの市販最強モデルが欧州に上陸した。800馬力を超えるスーパースポーツカーとして、公道走行の認可の取得を待っている。
【画像】フォードが「本気」で作った公道用レーシングカー【フォード・マスタングGTDを写真でじっくり見る】 全24枚
フォードは現在、欧州で新型「マスタングGTD」の購入申し込みの受け付けを開始している。申し込み期間は7月19日まで。価格は国によって異なり、オーストリアでは52万5500ユーロ(約8920万円)、ドイツでは35万9900ユーロ(約6100万円)、英国では31万5000ポンド(約6320万円)からとなる見込みだ。
ちなみに米国価格は32万5000ドル(約5130万円)から。いずれもポルシェ911 GT3 RSを大きく引き離し、フェラーリ296 GTBなどのスーパーカーと肩を並べる価格設定だ。
マスタングGTDは主にサーキットでの使用を想定して開発・設計されているが、現在、欧州では公道走行可能な車両として登録するための審査が行われている。
フォードは「これが得られない場合、マスタングGTDは特定の市場でサーキット専用車となる」とし、WLTP燃費データは市場投入前に公表すると述べた。
欧州向けの生産は来年春に開始される予定だが、英国に右ハンドル車を導入するかどうかはまだ明らかではない。また、生産予定台数も未公表だが、非常に限定的なものとなるだろう。
欧州車に勝つために生まれたスポーツカー
フォードによると、マスタングGTDは「欧州スポーツカーの最高峰に挑む」ことを目標に、「一握り」のエンジニアによって開発されたという。
ドイツのニュルブルクリンク・サーキットでの目標ラップタイムは7分以下で、これはポルシェ911 GT2 RS、ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ、メルセデスAMG GTブラックシリーズなどと比肩する数字である。
フォードのジム・ファーリーCEOは、「マスタングGTDはスーパーカーに対するあらゆる既成概念を打ち砕くでしょう。われわれはサーキット用のロードカーではなく、公道用のレーシングカーを作ったのです」と語った。
開発には、フォードGTを生産したモータースポーツ関連企業マルチマティック社も深く携わっているという。
事実上、耐久レースに参戦するマスタングGT3を公道向けに作り直したモデルと言える。「GTD」という車名は、米IMSAスポーツカー選手権のGTDクラス(FIAのGT3に相当)にちなんだものだ。
スーパーチャージャー付き5.2L V8エンジンの目標出力は800psを超え、実現すれば2019年のシェルビーGT500(最高出力760ps)をも凌ぐ、史上最強のマスタングとなる。サーキット専用車のGT MkIVよりもさらにパワフルだ。
ドライサンプ方式、2基のエアインレット、「並外れた音」を発生するというチタン製アクティブバルブ・エグゾーストなど、標準車と大きく異なるチューンが施される。駆動力は、軽量カーボンファイバー製シャフトによってフロントのエンジンからリアのトランスアクスルへと伝達される。このシャフトはトランスミッションではなくエンジンから直接駆動を受けるため、エンジンに合わせて最大7500rpmで回転する。
F-22戦闘機のチタン素材を再利用
シャシーも特殊だ。フロントサスペンションは古典的な不等長型ダブルウィッシュボーンをさらに洗練させたデザインで、上部に三角形のウィッシュボーン、下部に2つのリンクを備えている。これにマルチマティック製アダプティブ・スプール・バルブ(ASV)ダンパーが組み合わされ、ソフトウェア制御により数ミリ秒単位でのダンピング調整を可能とする。
コイルオーバーには通常のシングルスプリングではなく、硬さの異なる2つのコイルスプリングが採用された。ステアリングはラック&ピニオン式で、V8エンジンの前面には頑丈なスタビライザーが走る。リアでは、8速DCTとリアサスペンションを鋼管フレームにマウントし、ASVによりフロントと連動させる。
トランスアクスルをリアに配置したこともあり、前後重量配分は50:50を実現。可変トラクションコントロール・システムも搭載される。車両重量は明らかにされていないが、カーボンファイバー製ボディパネルなどの軽量設計により、マスタング・ダークホース(1768kg)を下回る可能性が高い。
トレッド幅は標準よりも約100mm広く、フロントには325mm幅のタイヤを装着し、路面グリップを高めている。制動力を確保するため、フェードに強いというブレンボのカーボンセラミック製ブレーキディスクを採用し、エアダクトにより冷却性能も高めた。ホイールは20インチの鍛造アルミか、オプションでレーシングカーを模したマグネシウム合金も選択可能だ。
巨大な油圧調整式リアウイング、ボンネットのエアダクト、エアスクープ、フロントスプリッター、リアディフューザーなど数多くのエアロパーツによってダウンフォースと安定性の向上を図っている。
インテリアは標準車に近く、無線ソフトウェアアップデート機能付きのデジタルディスプレイなどを採用した。また、ダイヤル、ビルドプレート、パドルシフトはすべて、退役した米空軍のF-22戦闘機からチタン素材を再利用して3Dプリントしたものだという。
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みんなのコメント
レーシングカーを買うとしたら、安い価格?
と言う感じが良いね〜