現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 後編

ここから本文です

2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 後編

掲載
2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 後編

スポーツクーペ作りに対する経験の豊富さ

三菱スタリオンのG63B型シリウス・エンジンは、圧縮比が7.6:1と低い。ターボのブースト圧が高まるまで、生気に欠けた印象がある。2500rpm以下ではトルクが細く、3500rpmまで回しても目立った変化は得られない。

【画像】2.0Lターボクーペ 日産フェアレディZ 三菱スタリオン S30と最新Z FTOとGTOも 全115枚

1980年代後半らしい、パンチ力のあるドッカンターボ的ではない。しかしそれ以上の回転域に達すると、メカニカルな高音を響かせながら、本領が発揮される。タービンの回転を保つように適切なギアを選択し続ければ、積極的な三菱を堪能できる。

とはいえ、RB20DETエンジンは傑作だと実感する。同時に、日産のスポーツクーペ作りに対する経験の豊富さも、フェアレディZ 200ZRを通じて伝わってくる。

ステアリングラックはラック&ピニオン式で、反応はタイト。手のひらへ充分に情報が届く。今回の例では、モモ社のステアリングホイールへ交換されており、パワーアシストに対して小径過ぎた。実際より、操舵には力が必要だった。

スタリオンはボール・ナット式と旧式で、ギャランΣをベースにする古さの一端が見える。切り始めが軽すぎ、ステアリングホイールは大きすぎ、スポーツカーとしてはレシオがスローだ。

安定しないほどテールが身軽という訳ではないものの、フロントが重く、オーバーステアへ転じやすい。ドライバーが楽しめるともいえるが、狙い通りに操縦するには、もっと応答の素早いステアリングが欲しくなる。

カーブが連続する道で楽しいスタリオン

それでも、片手で一気にカウンターステアを当てることは可能。意欲的で確実に腕を動かせば、スタリオンのウェッジシェイプ・ボディを振り回せる。

ドライビングポジションはやや高めながら、車内は広々としていて視界に優れる点は強み。シフトレバーとブレーキペダルの感触は悪くない。だが、クラッチペダルはストロークが長すぎる。ステアリングホイールは不自然に胸元へ近い。

200ZRへ乗り換えると、すべてが自然ですぐに馴染める。傑作の初代、240Zの後継であることを実感させる。人間工学というレイアウトの基本を重視する姿勢が、3代目でも貫かれている。

ただし、英国のカーブが連続する一般道で、より楽しいのはスタリオン。両車ともサスペンションは適度に引き締まっているが、僅かに軽い印象があり、身のこなしがタイト。ドライバーの遊び心に応えてくれる。

200ZRも、コーナーを機敏に縫っていける身軽さを備える。重心位置が低いのか、横方向のグリップ力では勝る。サーキットでは速いかもしれないが、スタリオンの方がいつもの道では笑顔になれる。

この違いは、正直なところ不思議ではある。車重は1310kgに対し1308kgでスタリオンの方が軽いとはいえ、たった2kgだ。同じ2+2のシートレイアウトだが、200RZの方がホイールベースで約75mm、全長も約130mm長いためかもしれない。

多くの人が認める流麗なスタイリング

もっとも、シャシーチューニングの影響が大きいように思う。Z31型のフェアレディZでは最軽量な200ZRだとはいえ、アメリカンなプラットフォームの姿勢から逃れることはできていない。

ホイールベースが短い2シーター・シャシーに、300ZX用の調整式スポーツ・サスペンションが組み合わされれば、違った味わいになるはず。理想をいえば。

とはいえ、Z31型の魅力を200ZRもしっかり宿している。多くの人が認める流麗なスタイリングで仕立てられた、快適なグランドツーリング・クーペだ。

今回ご登場願ったシルバーの200ZRは、モデル中期のフェイスリフトを受け、前期のやや賑やかなデザインの角が丸められている。面構成がスムーズになり、スッキリとモダンさを増している。

多くの300ZXとは対象的に、この200ZRのインテリアはストライプ柄のクロスでシートが仕立てられ、内装はブラックが基調。スポーティな印象で好ましい。キャビンがコンパクトでルーフが200mm短い、2シーターが筆者の好みではあるけれど。

1980年代の日産車らしく、プラスチック然とした部品は多いものの、うんざりするほどではない。エアコンの操作パネルはブラシ仕上げのクロームメッキで、上級感を漂わせている。

Z31型フェアレディZのベスト

スタリオンのスタイリングは、比較すると少々古びて見える。ポルシェ924やマツダRX-7、シボレー・カマロなどの影響を感じる直線的なボディはハンサムながら、1980年代初頭の雰囲気も漂わせる。その後の、曲線を組み合わせた時代との距離がある。

インテリアはほぼブラック一色。メータークラスターの両脇に、ヘッドライトなどのボタンが並んでいる。シートはレザー張りで快適。サポート性に優れ、角度などの調整域も大きい。

サイドウインドウの位置は高く、包まれ感がある。サスペンション・ストラットの取り付け位置やバルクヘッドなどを、サルーンのギャランΣと共有するためだろう。

40年の時を経て改めて試乗した、2台の日本製2.0Lスポーツクーペ。200ZRの方が装備は充実し、快適で、操縦系のレイアウトも適正。見た目も美しいと思う。

一方で欧州のワインディングを軽快に飛ばすなら、筆者はスタリオンを選びたい。300ZXと比較された、新車当時も同様な結果が導かれていた。とはいえ、200ZRはその差を縮めている。

日産が200ZRを日本以外へ提供しなかったことは、正しい判断だったとは思えない。300ZXのウイークポイントを、完全に克服しているわけではないが、Z31型フェアレディZのベストといっていいだろう。

協力:フェアモント・スポーツ&クラシック

三菱スタリオンと日産フェアレディZのスペック

三菱スタリオン EX(1982~1990年/英国仕様)

英国価格:1万6149ポンド(新車時)/2万5000ポンド(約402万円)以下(現在)
販売台数:4万9659台(合計)
全長:4400mm
全幅:1685mm
全高:1320mm
最高速度:214km/h
0-97km/h加速:6.9秒
燃費:7.1-10.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1308kg
パワートレイン:直列4気筒1997ccターボチャージャーSOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:179ps/6000rpm
最大トルク:24.9kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

日産フェアレディZ 200ZR(1983~1989年)

英国価格:2万875ポンド(300ZX/新車時)/2万5000ポンド(約402万円)以下(現在)
販売台数:4万9659台(Z31型合計)
全長:4535mm
全幅:1690mm
全高:1310mm
最高速度:180km/h
0-97km/h加速:7.6秒
燃費:7.1-10.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1320kg
パワートレイン:直列6気筒1998ccターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:180ps/6400rpm
最大トルク:23.0kg-m/3600rpm
ギアボックス:5速マニュアル

こんな記事も読まれています

爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較
THE EV TIMES
【フォーミュラE】モナコで待望の勝利果たしたエバンス、チームプレイヤーのキャシディ称賛「この優勝は彼のおかげ」
【フォーミュラE】モナコで待望の勝利果たしたエバンス、チームプレイヤーのキャシディ称賛「この優勝は彼のおかげ」
motorsport.com 日本版
[Pro Shop インストール・レビュー]レクサス RX450h(関克敏さん)by AUDIO.VISUAL.SECURITY FIST 後編
[Pro Shop インストール・レビュー]レクサス RX450h(関克敏さん)by AUDIO.VISUAL.SECURITY FIST 後編
レスポンス
もう完全に打倒サイバートラックじゃん!!  BYD初のピックアップ[新型シャーク]絶対カッコいいぞマジ!!  でも発表はお預けに【北京ショー】
もう完全に打倒サイバートラックじゃん!!  BYD初のピックアップ[新型シャーク]絶対カッコいいぞマジ!!  でも発表はお預けに【北京ショー】
ベストカーWeb
1950年代のアメ車も現役!「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート
1950年代のアメ車も現役!「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート
外車王SOKEN
アルファロメオのジュリアとステヴィオに限定車41台を販売開始。メーカー保証2年延長プランが無料で
アルファロメオのジュリアとステヴィオに限定車41台を販売開始。メーカー保証2年延長プランが無料で
Auto Prove
中上貴晶、トップから1秒以内のホンダ最上位「1分36秒台には満足。とても重要な一歩を踏み出せた」/第4戦スペインGP 初日
中上貴晶、トップから1秒以内のホンダ最上位「1分36秒台には満足。とても重要な一歩を踏み出せた」/第4戦スペインGP 初日
AUTOSPORT web
GW初日 大規模な混雑はじまる! 東名・新東名では午前中から夕方まで渋滞【4月27日の渋滞予測】
GW初日 大規模な混雑はじまる! 東名・新東名では午前中から夕方まで渋滞【4月27日の渋滞予測】
乗りものニュース
トヨタの「次期型エスティマ」!? 結構ビッグな斬新「タマゴ型ミニバン」! ぐるぐる回る「シート」搭載の「FCR」とは
トヨタの「次期型エスティマ」!? 結構ビッグな斬新「タマゴ型ミニバン」! ぐるぐる回る「シート」搭載の「FCR」とは
くるまのニュース
逃げられる気がしない!ド迫力のハーレー製白バイがGWにもてぎで緊急走行へ!
逃げられる気がしない!ド迫力のハーレー製白バイがGWにもてぎで緊急走行へ!
バイクのニュース
リカルド、F1のシートを心配するような余計なプレッシャーはないと明言「結果を出せる状況にしようとしている」
リカルド、F1のシートを心配するような余計なプレッシャーはないと明言「結果を出せる状況にしようとしている」
AUTOSPORT web
世界3位のスマホメーカー「シャオミー」がクルマ界にかけた殴り込みの衝撃
世界3位のスマホメーカー「シャオミー」がクルマ界にかけた殴り込みの衝撃
ベストカーWeb
「いつかはクラウン」に「ケンとメリー」懐かしのクルマのキャッチコピー8選。となりのクルマが小さく見えるのは?
「いつかはクラウン」に「ケンとメリー」懐かしのクルマのキャッチコピー8選。となりのクルマが小さく見えるのは?
Auto Messe Web
信号のない交差点で鉢合わせ……ってドッチ優先か迷ってない? 左方からくる車両を妨害すると道交法違反になる!
信号のない交差点で鉢合わせ……ってドッチ優先か迷ってない? 左方からくる車両を妨害すると道交法違反になる!
WEB CARTOP
F1オーストラリアGPのスチュワードを務めたハーバート、アロンソへのペナルティをめぐり「殺害予告を受けた」と明かす
F1オーストラリアGPのスチュワードを務めたハーバート、アロンソへのペナルティをめぐり「殺害予告を受けた」と明かす
AUTOSPORT web
元チームメイトのマルケスと接触、ジョアン・ミルはペナルティが「アンフェア」と怒り
元チームメイトのマルケスと接触、ジョアン・ミルはペナルティが「アンフェア」と怒り
motorsport.com 日本版
横浜ゴムの「ADVAN Sport V107」がBMW X7&XMの新車装着タイヤに採用
横浜ゴムの「ADVAN Sport V107」がBMW X7&XMの新車装着タイヤに採用
レスポンス
マツダ新型「和製スポーツカー」市販化へ! ロータリー搭載の「アイコニックSP」実際欲しい? 美しすぎる“デザイン”が評判に
マツダ新型「和製スポーツカー」市販化へ! ロータリー搭載の「アイコニックSP」実際欲しい? 美しすぎる“デザイン”が評判に
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

302.5311.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

165.8295.8万円

中古車を検索
スタリオンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

302.5311.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

165.8295.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村