新開発モーターで659psと111.9kg-m獲得
BMWが拡充を進めるバッテリーEVのラインナップで、フラッグシップ・サルーンの座に君臨するi7。そこへ追加されたM70 xドライブのスペック表には、Mのイニシャルへ相応しい数字が並ぶ。
【画像】新開発モーターで659psへ BMW i7 M70 xドライブ 同クラスのBEVサルーンと比較 全106枚
i7 xドライブ60 Mスポーツは、従来の7シリーズの概念を塗り替えるほど、秀でたモデルに仕上がっていた。その上へ据えられるのが、このi7 M70 xドライブだ。新開発の駆動用モーターが、リアアクスルへ与えられたことが最大のトピックといえる。
BMW独自開発のユニットで、特許を取得した6相構造を採用するらしい。同社によると、従来のモーターを2基搭載するより、新しいモーターの方が得られる出力が高く、エネルギー効率にも優れるとか。
最高出力も大幅に向上し、フロントアクスル側の駆動用モーターとの合計で、659psを達成している。最大トルクは111.9kg-mにもなる。その結果、0-100km/h加速を3.7秒でこなすという。
実際に体験してみると、その勢いはまさに驚異的。ステアリングホイール裏のブーストパドルを弾いてフルパワーを開放し、右足を傾けるだけで、ワープするような突進が始まる。ラグジュアリーなインテリアとは、まったく釣り合いが取れない瞬発力だ。
走りは間違いなく高次元 快適性も犠牲にせず
2695kgも車重があるリムジンでありながら、カーボンファイバー製シェルで構成されたスーパーカーさながらに、乗員の背中はソフトなシートへ押し付けられる。ホームシネマのようなモニターで映画鑑賞するリアシートのオーナーを、不快にさせるに違いない。
加えて、極めて意欲的な身のこなしや、鮮明な操縦性にも舌を巻く。まさに、BMWのMパフォーマンスの水準にある。
ダンパーと後輪操舵システム、アクティブ・アンチロールバーは入念にチューニングされ、自在なトルク分配を叶えた四輪駆動システム、xドライブが融合。全長が5391mmもあることを意識させずに、理想的な環境の一般道を楽しませてくれる。
ステアリングの精度も非常に高く、走りは間違いなく高次元。普段は運転手へお任せするオーナーも、時々フロントシートで運転に夢中になろうと思うかもしれない。特に、軽く急いでいるようなペースとの相性は素晴らしい。
大きなボディを、小さく感じることまではないだろう。だが、BMWらしい熱意がある。さらに、xドライブ60が実現する、世界トップクラスの快適性も犠牲にはなっていない。
実際、デフォルトのドライブモードでは、サスペンションとパワートレインの特性はxドライブ60と同一だという。むしろ、21インチ・ホイールが軽い専用品となるため、バネ下重量が減り、理論的には乗り心地は一層優れると考えていい。
完成度と訴求力ではi7 xドライブ60へ軍配
一方で、高額なM70 xドライブを選択したいと強く思わせる、合理的なストロングポイントまでは備わらないともいえるだろう。i7に限らず、トップグレードにはありがちな事実ではあるのだが。
新しい駆動用モーターが叶える動力性能は、感動的なものかもしれない。だが、運転の楽しさを引き上げるほどではないとも思う。
専用ステアリングホイールのほか、豪華なインテリア・オプションを選べるものの、視覚以外に洗練性が増すわけではない。Mパフォーマンス専用のボディトリムで、差別化されるとしても。
駆動用モーターのエネルギー効率が増したとはいえ、航続距離が伸びるわけでもない。i7 xドライブ60とM70 xドライブには、同じ105.7kWhの駆動用バッテリーが搭載されるが、1度の充電で走れる距離はWLTP値で1割ほど短くなる。
そのかわり、M70 xドライブには、マックスレンジ・モードが新設定された。走行に不必要な機能をすべて停止させることで、航続距離を15%から25%程度伸ばすことが可能だという。
目下のところ、BMW i7 xドライブ60が完成度と訴求力の最も高い電動リムジンであるという事実に、変化は生まれないようだ。
BMW i7 M70 xドライブ(欧州仕様)のスペック
英国価格:16万1963ポンド(約2932万円)
全長:5391mm
全幅:1950mm
全高:1544mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:3.7秒
航続距離:552km
電費:4.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2695kg
パワートレイン:ツイン励磁同期モーター
バッテリー:101.7kWh(実容量)
急速充電能力:195kW
最高出力:659ps
最大トルク:111.9kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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みんなのコメント
…こんな車を使っている企業がCO2削減を目的にEVを作るのって無理がないか?しかもカーボン使用って(笑)。二枚舌にしか思えないし、企業の方向性が右往左往しているのが良くわかる。