■2019年秋のマイチェンで走りに磨きがかかった「インプレッサ」
2016年秋に登場した現行型「インプレッサスポーツ/インプレッサG4」は、スバルの新世代プラットフォーム「SGP(スバルグローバルプラットフォーム)を初めて採用し、動的質感や安全性が飛躍的に高まったことで注目されました。
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2019年秋には大幅なマイナーチェンジを実施し、もともと評価の高かった走りの良さにさらなる磨きがかかっています。
パワートレーンに変更は見られず、JC08モード燃費なども変わっていませんが、各部に未公表の地味な改良が加えられていることもあり、あらためて実燃費をチェックしてみました。
今回テストしたのは、5ドアハッチバックスタイルのインプレッサスポーツの最上級グレード「2.0i-S EyeSight(AWD)」で、JC08モード燃費は15.8km/L。タイヤは225/40R18サイズのヨコハマ・アドバンスポーツV105を装着しています。
パワートレーンは同じながら、205/50R17サイズのブリヂストン・トランザT001を装着する「2.0i-L」になると、JC08モード燃費は16.8km/Lで、1km/Lも良くなります。
タイヤのサイズやキャラの違いもあって、2.0i-Sと2.0i-Lは燃費以上に走りのフィーリングがかなり異なり、2.0i-Sのほうがスポーツ性が高いとされています。
2.0i-Sはフロントブレーキも1サイズ大きな16インチとなり、アクティブ・トルク・ベクタリングと呼ばれる旋回性能を高めるデバイスも装備。クルマ好き、運転好きの多くが好むのは、よりスポーティな2.0i-Sといえるでしょう。
走行ルートは、西東京エリアの一般道から圏央道/小田原厚木道路の高速道路を巡航。箱根/芦ノ湖エリアのワインディング路を経て、帰路は東名高速/圏央道を経て西東京エリアの一般道に戻るというルートです。
合計で約230km走行し、トータルの燃費は14.3km/Lでした。日本屈指のワインディングロードである箱根・芦ノ湖エリアで気持ち良さ重視のドライブを楽しんだことからすると、2リッター自然吸気エンジンのAWD車としては及第点に届いたといえるのではないでしょうか。
走り方としては、燃費重視のエコ走行から、周囲の流れに合わせた標準的なペースでの巡航、ワインディング路では燃費を気にせずスポーティに走らせるなど、さまざまな状況をトライし、ドライブモードは基本的に「I(インテリジェントモード)」を選択。山道と高速道路の一部で「S(スポーツモード)」を選択しました。
それでは、セクションごとの燃費を振り返ります。
●高速道
走行距離:64.4km
実燃費:17.8km/L
まず、往路の圏央道ではエコ運転を意識して、運転支援システム「アイサイトver.3」の全車速追従機能付クルーズコントロールを上限80km/hにセットしてドライブしました。
テスト当日は交通量が多く、走行車線は60km/hから70km/h程度のゆっくりとしたペースで流れたこともあり、燃費計の数値はグングン向上。
圏央道に乗って23km走った時点で、20km/L以上を楽々キープし続けました。競合車と比較して燃費がネックとなりがちなスバル車も、状況が良ければ十分に優秀な燃費が記録されることがわかります。
圏央道では相模原ICあたりで数キロの工事渋滞に見舞われ、ノロノロ状態から何度か停止を余儀なくされる状況となり、アイドリングストップはフルに作動するも、燃費は17km/L台に悪化。
その後渋滞を抜けると交通の流れは良くなり、上限の80km/hで巡航。小田原厚木道路では、走行車線でも制限速度の70km/hよりやや速いペースで流れていました。
圏央道から小田原厚木道路の区間燃費は17.8km/Lを記録。2リッターのAWD車としては、ギリギリ標準的な範囲といえるものの、速度のペースからするともう少し伸びてほしいところではあります。
最新型から「インプレッサ/XV」のアイサイトver.3にも「ツーリングアシスト」が採用され、レーンキープアシストも備わっていますが、ステアリングのアシストをOFFにしても、まるで自動運転であるかのようにクルマが勝手に真っ直ぐ走ってくれている感覚が得られました。
個人的には、このメカニカルな直進性の高さをアシスト介入のない状態で味わいたいので、ステアリングのアシストはOFFにすることが多いです。
スバルのアイサイトはアシスト介入の違和感が比較的少ないほうですが、シャシの出来が良いクルマは本来のステアリングのクリアな感触を味わいたくなるものです。
また、運転支援システムの普及が進んだいまでも「制御や作動の状況が視覚的にわかりやすい」点はアイサイトがもつアドバンテージのひとつだと感じました。
クルマが前方や車線を認識しているか否かがわかりやすいので、ある程度クルマ任せにして巡航している時でも不安がなく、よりリラックスして運転できます。
ちなみに、インプレッサシリーズに搭載されるアイサイトver.3は、設定の幅の広さも美点のひとつ。
全車速追従機能付クルーズコントロールの加速レベルは4段階も選べるので、加減速にもっとメリハリがほしい、あるいはもっと穏やかにしてほしいといった要望に対応できます。
■STIチューニングのサスペンションでスポーツ性能が高まった
●ワインディング路
走行距離:40km
実燃費:7.4km/L
小田原厚木道路からターンパイクに接続するポイントで燃費計をリセット。ややキツ目の登り勾配の山道を、ゆっくり目のペースで登る区間の燃費は、7km/L台の後半から8km/L台を記録しました。
アップダウンやRが大きめのカーブが連続する区間では、SIドライブは「S」モード、ミッションはマニュアルモードを選択。
クルマ好きのドライバーが、十分な安全マージンを確保しながら走りを楽しむ際の運転モードを想定しながら走行しましたが、遠慮なく動力性能を発揮させても、燃費は7km/Lを下回ることはありませんでした。
山道では、インプレッサとボディと足回りのキャパの大きさを実感することができました。粛々と巡航しているときは控えめで地味だと感じるエンジンも、ギヤを固定して積極的に中高回転域を使うと、なかなか痛快なサウンドが味わえるという二面性を備えているようです。
サスペンションの改良にSTIの知見が活かされた最新のインプレッサは、激アツなホットハッチという感覚が得られるようになったわけではありませんが、ドライバーがその気になれば十分以上にスポーティな走りを楽しむことができます。
マイナーチェンジ前のモデルと比較して、新型インプレッサのスポーツ性は間違いなくワンランク高められたと感じました。
●一般道
走行距離:20km
実燃費:12.4km/L
東京方面への帰路は、東名高速から圏央道へ向かいます。下り勾配区間で18km/Lから19km/Lを記録するも、平坦路で100km/hを超えると燃費の伸びは鈍り、帰路の高速区間は14.7km/Lにとどまりました。
その後高速を降り、西東京エリアの一般道を20kmほど走行した区間では12.4km/Lを記録。工事が多く、短い区間で停止と発進を繰り返す状況が多かったとはいえ、もう少し伸びてほしかったところではあります。
※ ※ ※
現行インプレッサシリーズで指摘されがちな静粛性の低さについては、今回の速度域ではとくに問題は感じませんでした。トヨタ「カローラスポーツ」やマツダ「マツダ3」など、より新しい競合車と比較すればやや低いと感じるものの、取り立ててうるさく感じることはありませんでした。
また、インプレッサの走行フィールはまったく不満がなく、常時快適に走れました。従来型では、ピッチング方向の無駄な動きがあると指摘されることがありましたが、乗り心地はクラス最高レベルを取り戻したといえます。
もともと秀逸だった直進安定性も、さらに磨かれた印象が強かったです。
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みんなのコメント
下で勾配で燃費伸びるのは当たり前だ。
トータルの燃費では平々凡々。
ま、2リットルは10Km/Lと言われた時代からすれば進歩してるけど。
しょうがない。