■世界的なEV化、国内では地域差が課題に
世界中で広まる自動車の電動化ですが、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)において、日本はインフラ整備が整っていないなどの理由から普及は難しいとの意見があります。本当に普及させることはできるのでしょうか。
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2020年11月、日本政府が純粋なガソリン車の新車販売を2030年を目処に禁止する方向で調整をおこなっていると、各メディアが報道しました。
正式な発表はありませんが、自動車大国の日本においてこれが確定すれば、国内だけでなく世界の自動車市場に大きな影響を与えることは間違いないと予想されています。
純粋なガソリン車の新車販売が禁止された後は、電動車(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車)のみが新たに発売されるモデルとなります。
しかし、ハイブリッド車の普及が進んでいるものの、ある統計では未だ国内でのEV普及率は1%を切っているとのことです。
もし、今後の規制がさらに強化され新車販売のすべてがEVまたはFCVなど完全にエンジンが搭載されないクルマになった場合、本当に国内で普及するのでしょうか。
現在、世界中では自動車の電動化に向けてさまざまな動きが出ています。
最近で記憶に新しいのは、2020年9月に、アメリカのカリフォルニア州知事が2035年までにガソリン車の新車販売を禁止することを州政府に指示したことでしょう。報道後はSNSなどで大きな話題を呼び、世界の自動車オーナーを驚かせました。
また、それ以前にも、2019年3月に中国海南省政府は「海南省クリーンエネルギー車発展計画」を発表しており、2035年までに新エネルギー車(NEV)の割合を50%に高めるとしています。
そして、その影響もあってか、各自動車メーカーは続々とEVを発売、もしくは発売予定としています。
国産EVの代表格といえば、2010年から発売されている日産「リーフ」が挙げられます。
三菱「i-MiEV」に続く量産EVとして登場し、2017年には現行の2代目モデルも発売されました。
加えて、日産は2020年7月にSUVタイプのEV「アリア」を発表。2021年中頃に発売予定としていますが、早くも販売店には見積もり依頼の問い合わせがあるほど、特定のユーザーからは非常に高い関心を集めているようです。
2020年10月には、ホンダ「Honda e」が発売されました。コンパクトな車体と初代「シビック」をオマージュしたといわれる可愛らしい見た目が話題を呼び、街中コンパクトEVとして販売に期待が寄せられています。
実際のところ、現在国内ではどれほどEVは売れているのでしょうか。発売から10年目を迎える初代国産EVのリーフにおける販売状況からみてみましょう。
まず、ある首都圏日産販売店スタッフは次のように話します。
「初代モデルが発売時はそれなりの販売がありましたが、最近のほうが売れている印象です。
これは充電スタンドが増えたことが大きな要因でしょう。これが『大衆車』になるためには、充電インフラを含めまだまだたくさんの課題があると思います。
リーフは量産EVとして誇り高いクルマですので、もっとたくさんの人に乗っていただければ嬉しいです」
都心部では、それなりの売れ行きのようでした。充電スタンドの増加や、家庭用充電グッズの普及が主な要因でしょう。
しかし、地方部では状況は異なるようです。地方都市の日産販売店スタッフは次のように話します。
「初代モデル、2代目モデルもそこまで売れていません。やはり、インフラが整っていないためでしょう。
家庭用充電設備を持つ人でも、外出先で充電ができないとして購入に至らないという人もいらっしゃいました。
地方では、クルマが重要な移動手段ですので、止まってしまうリスクを皆様考えられます。
簡単にロードサービスを呼べる環境でもないので、さまざまな角度から不安定な燃料を持つEVの普及は非常に困難だと思います」
※ ※ ※
地方では、やはりインフラ整備の関係から、都心部ほどEVが普及しているわけでは無いようでした。
また、ガソリンのように持ち運びが簡単なわけではないので、電欠時の不安はより大きいようです。
国内でのEV普及は、やはりインフラ整備という壁がまだまだ立ちはだかっているようです。
■最大の課題であるインフラ、ここ10年はどうだった?
では、実際に充電インフラ設備は、初代リーフ発売時からこの10年でどれほど整ったのでしょうか。
全国の充電設備の情報を公開しているWebサイト「GoGoEV」を運営しているゴーゴーラボの担当者は次のように話します。
――この10年間で、充電スタンドは全国でどれほど増加したのでしょうか。
当サイト、GoGoEVを立あげたのがちょうど10年前で、三菱 i-MiEVや日産 リーフの一般販売が開始された時期です。
その当時、登録していた全国の急速充電設備(CHAdeMO充電器)は都道府県が補助金を使って設置を試みたもので、多い所でも十数件ほどで全国で100カ所あるかないかでした。
その後、販売店が積極的に設備投資したことや、自動車会社・電力会社などの各社が共同出資する形でNCS(日本充電サービス)を立ち上げたことと政府の補助金投入もあって、2014年以降急速に充電設備の設置が進み、2年間でCHAdeMO充電器は4000箇カ所から5000カ所ほどになったと記憶しております。
現在は、当サイトの掲載情報の通り設置箇所はCHAdeMO充電器が約7600カ所・普通(200V)充電器が約1万4000カ所となっております。
CHAdeMO充電器の規格は、この10年間で0からこの数まで設置されたもので、200Vの設備も一部流用されてものが当時からありましたが、僅かなものでしたので、上記数字が増加したものと思って頂いてよいかと思います。
――2030年までの10年間で、充電スタンドはどれほど普及するとみられているのでしょうか?
今後の見通しに関しては、正直難しい所が多々あります。
現在の新規設置の設備といえば、CHAdeMO充電器は海外自動車メーカーのディーラーへの設置・道の駅・高速道路のSAやPAに月、数十件程度となっており、一時期に比べれば鈍化したことは否めないです。
要因としては、設置コストや維持管理の問題などで、充電で採算が取れるかの問題があり、あくまでもサービスとしての提供に留まる現状では、大きく伸びるかは難しいのではと思います。
また、10年前に設置された設備の老朽化なども出ており、初期に設置されたものの、入替えないしは撤去がここのところ始まっております。
前述の通り、2015年前後に急速に増えた設備の更新がこの先にあり、補助金があったから設置したけど、今後のコストを考えると維持してゆく難しさがあるのではと思います。
一方で、世界の自動車のEV化への加速や、政府の脱炭素社会への方向性から、EVへ注力されるとなると、充電設備の拡充へもつながるものではとは思います。
※ ※ ※
充電インフラ設備は、この10年でおよそ100倍近くも増加しているようでした。
意識しなければ気がつきませんが、着々とEVにまつわる設備は全国的に整ってきているようです。
しかし、その多くは未だ都心部に集中しており、地方部は発展途上である状況に変わりはありません。
また、設備の老朽化による修復にも費用がかかるため、10年という節目を迎えた2020年はインフラ整備の新たな課題を解決しなければならない状況のようです。
世界的な、自動車の電動化は進む一方ですが、果たして日本はどれほどEVを「大衆車」として広めることができるのでしょうか。
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みんなのコメント
何かと騒いで記事になるテスラなんか50万台程度しか売ってない会社。
EVなんか未だ便利なインフラなど存在せず(莫大な先行投資が必要だから)、買ってるのはもの好きだけなのが現実。
使えそうなレベルになったら買えばいいだけだよ。
理由は個人的なものですが、万一何もないところでガス欠(電欠)した場合、ガソリンなら5L(容器まで入れても重くても6kg程度)持ってくればなんとかなりますが、充電するためには何をどれだけ持ってくればいいかもわかりません。個人でできるかどうかもわかりません。
私の使用環境では、油断するとありえる状況です。