ラリークロス界の“聖地”でもあるスウェーデン・ホーリエスで8月20~22日に開催される2021年WorldRX世界ラリークロス選手権第2戦に向け、かつてのPPIHCパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムや往年のサファリラリーを征服し、FIAヨーロッパ・ラリークロス・チャンピオンシップ(現EuroRX)でのタイトルを獲得したパー・エクルンドのスポット参戦が決定した。御歳75歳の文字どおり“レジェンド”が参戦する『Euro RX1』クラス開幕戦や『Euro RX3』などを含め、週末は総勢60台のエントラントが見込まれている。
WRC世界ラリー選手権の現役時代にサーブ、トヨタ、ニッサンなどで活躍を演じ“Pekka(ペッカ)”の愛称を持つエクルンドは、サーブの96や99、セリカ2000GT、ニッサン200SXなどで通算12回の表彰台を記録。地元スウェーデンやイギリスの国内選手権ではチャンピオンを獲得するなど、ラリー界で確固たる実績を残してきた。
WorldRX開幕戦は元王者2名を撃破した弟ケビンが制覇。ハンセン・ブラザーズが1-2発進
1970年代からサーブのファクトリー契約(ワークス)ドライバーとしてWRCを戦うかたわら、ラリークロス競技にも積極的に関与してきたエクルンドは1990年代に入ると、このカテゴリーで目覚ましい活躍を演じ、現在のWorldRXへと繋がる欧州ラリークロス選手権のディビジョン1で、1999年にサーブ9-3 T16をドライブして自身初のヨーロッパ王者を獲得。その前年度を含め、2003年まで6年連続のシリーズトップ3を記録するという輝かしい戦績を残している。
その後、20004年にスウェーデン国内ラリークロス選手権のタイトル獲得を最後に第一線からは退き、フルシーズンエントリーではなく散発的なイベント参戦でドライビングを楽しんできたエクルンドだが、世界がコロナ禍に見舞われた2020年には『フォルクスワーゲン・ビートルRXスーパーカー』でRallyX Nordic(ラリーXノルディック)やEuroRXに参戦。600PS超えとなる現代のトップカテゴリーマシンも見事に操り、その腕前に衰えがないことを証明してみせた。
この6月に75歳を迎えた“ペッカ”は、その「誕生日プレゼントとして」今回の2021年Euro RX1クラス開幕戦へのエントリーを決断し、キャリア初期から多くの時間を過ごしたというトラックで「ラリークロスの現役世代に対し、自分自身の“若さ”を測定することを楽しみにしている」と意気込みを語った。
■レジェンドにとって最後のレースに? カギを握るのは奥様か
「ここは50年近く前にサーキットの建設を手伝い、そこで開催された最初のラリークロス・イベントで優勝を飾った、とても懐かしい思い出がたくさんある場所であり、そんなトラックとは真の連帯を感じているんだ」と、ラリークロス界の“聖地”の生みの親でもあることを明かしたエクルンド。
「私の家からもっとも近いサーキットではないかもしれないが、それは第二の家のようなものだ。非常に簡単に言えば、私にとってホーリエスこそがラリークロスなんだ」
サイズ感とそのレイアウトゆえに「失敗を恐れる必要がなく」、ドライバーのエキサイティングで高品質なアクションを生み出し、人里離れた場所にあるこのトラックは観戦するファンにとっても「これ以上の場所はないだろうね」と続けたエクルンド。
「去年の夏、空の芝生の土手でレースをするのは奇妙な経験だったよ。ファンはこのトラックの魅力全体の非常に大きな部分を占めているからね。彼らの熱意は紛れもなく最上の雰囲気を作り出し、すべてを特別なものにする。今年はそんな観衆の前で走れることも楽しみなんだ」
エクルンドの2021年FIA格式選手権参戦はこれが初となるが、彼の偉大なキャリアにとってこれが最後の出場になるかどうかは、意外な要因が鍵を握っているとかいないとか。「そう、私がまだレースに出ていることは妻には話していないからね。どうか内緒にしておいてくれよ?」
7月23~24日のWorldRX開幕戦バルセロナでは、プジョー208WRXスーパーカーで参戦するケビン・ハンセンが勝利を飾ったWorldRXだが、今回エクルンドがエントリーする『Euro RX1』開幕戦にも、世界的カーター兼ラリーXノルディック王者であり、WorldRX最高峰クラスも経験するトーマス・ブリンテソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)や、同じくDAレーシングなどでWorldRXを戦ったジャン-バティスト・デュブール(プジョー208RXスーパーカー)、2017年EuroRX王者のアントン・マルクランド(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)、そして開幕戦ファイナリストのオールインクルーシブ・ミュニッヒ・モータースポーツ代表レネ・ミュニッヒ(セアト・イビーザRXスーパーカー)らが名を連ねている。
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当時のタイヤとボディ剛性で絶妙にコントロールしていたお方。