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サーキットへ歩み寄り アルピーヌA110 Rへ試乗 ダウンフォース29kg増 車重34kg減

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サーキットへ歩み寄り アルピーヌA110 Rへ試乗 ダウンフォース29kg増 車重34kg減

見た目のイメージチェンジは小さくない

ポルシェ911にはGT3が、BMW M3にはCSが追加された。ベースの仕上がりが素晴らしいだけに、カーボンファイバー製ボディキットに高性能タイヤが組まれた、サーキット仕様が用意されてもまったく不思議ではない。911 GT3では、エンジンまで別物だ。

【画像】サーキットへ歩み寄り アルピーヌA110 R 競合のスポーツモデルと写真で比較 全143枚

アルピーヌA110にも「R」が追加された。しかし、上記の例ほどサーキット・フォーカスというわけではないようだ。サスペンションは、この手の仕様としては柔らかく、300psの最高出力は既存のA110 Sと変わらない。

ボディサイズはコンパクトで、車重は1082kgと軽量。確かにサーキットへ歩み寄っているが、一般道も存分に楽しめる特別な仕様といえるだろう。

A110 Rへ施された、見た目のイメージチェンジは小さなものではない。カーボン製ボディキットは、911 GT3のようにボディへ自然に馴染んではいない。

ボンネットとディフューザー、サイドスカート、スワンネックのステーで吊り下げられたリアウイングなどは、特別なアイテムであることを隠さない。ブラックのホイールも、専用のカーボンファイバー製となる。

物議を呼ぶのが、リアウインドウが存在した部分に与えられた、不透明のカーボン製カバー。運転席から、直接真後ろの様子を確認することはできない。

サーキットでの能力を求めるなら魅力的

これらのボディキットにより、最高速度では29kg増しのダウンフォースを得られるという。車内へ2脚据えられた、座り心地に優れるカーボン・シェルのサベルト社製バケットシートと合わせると、A110 Sから34kgの軽量化も果たしている。

ただし、今回の試乗車にはフォーカル社製のサウンドシステムが組まれていた。シートの後ろに、車重が増えるであろうサブウーファーが載っていた。

前述の通り、1.8L直列4気筒ターボエンジンの最高出力はA110 Sから変わらず。シャシー側では、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2タイヤと、フロントで10%、リアで25%剛性を増したアンチロールバーが与えられている。

サスペンションには、ザックス社製のコイルオーバー・ユニットが組まれる。車高は標準で10mmダウンし、調整式なため、さらに10mm落とすことも可能。減衰力は、伸張と収縮を個別に20段階で変更できる。

より優れたグリップ力と、シリアスな操縦性を得る内容だといっていい。これまでのアルピーヌとは、方向性が異なるレシピでもある。変化したドライビング体験に、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれない。

繊細で身軽な操縦性の虜になってきたドライバーなら、向上したグリップとの引き換えに、その特長が2割ほど減じたことへ気が付くだろう。反面、コーナリングスピードやライン調整の精度など、サーキットでの能力を求めるなら、一層魅力的に感じるはず。

慣性が存在しないかのように鋭敏

AUTOCARでは既にA110 Rへサーキットで試乗しているが、コース上では格上のモデルを打ち負かせられる実力を確認している。次のレベルに達したA110といえた。

今回は、英国の一般道で試乗したわけだが、筆者は従来の魅力を80%も残していることに喜べた。確かに乗り心地は以前より硬いものの、減衰力が調整され、ポルシェ718ケイマン GT4 RS級のストイックさまでには振られていない。

凹凸の目立つ路面でも、A110 Rは比較的滑らかに処理してくれる。シームレスとはいえないが、流暢な足さばきは維持されている。極めて機敏な、リアエンジンのような挙動も変わりない。

高められたグリップ力は、軽くなった車重と相まって、一層ドライバーを運転に惹き込む。乾燥した路面の限り、トラクションは底知らず。慣性が存在しないかのように、鋭敏に進行方向を変えていける。

高速コーナーでプッシュすると、ステアリングホイールが徐々に重くなり、アンダーステアへ転じつつあることを教えてくれる。熱くなりすぎた気持ちを鎮めるように。

唯一、一般道を走るスポーツカーとして、リアウインドウが存在しないことはマイナス。カメラとモニターによるデジタルミラーも備わらないため、サイドミラーに映る範囲へ頼るしかない。

またレーシーなハーネスも、普段使いには少々大げさ過ぎる。週末にサーキットへ向かう場面なら、気持ちを引き締めてくれると思うが。

従来のA110とは異なる種類のアルピーヌ

A110 Rは、従来のA110とは異なる種類のアルピーヌだと考えれば良い。特徴の変化度合いとしては大きくないかもしれないが、これまで評価を高めてきた方向性とは確かに違っている。

9万4990ポンド(約1529万円)という英国価格は、お安くない。それでも、シリアスさを増した仕上がりを理解すれば、高すぎると感じることはないだろう。

ロータス・エキシージは生産を終えた。718ケイマン GT4 RSのオーダーも、今からは難しいだろう。車重約1tの有能なミドシップ・スポーツカーが、2023年の欧州に存在するという事実を大いに歓迎したいと思う。

アルピーヌA110 R(英国仕様)のスペック

英国価格:9万4990ポンド(約1529万円)
全長:4181mm
全幅:1798mm
全高:1252mm
最高速度:284km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:14.5-14.7km/L
CO2排出量:154-156g/km
車両重量:1082kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6300rpm
最大トルク:34.6kg-m/2400-6000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

4件
  • 1トンで300psいいねえ
    ターンパイクとか走らせたら気持ち良さそう
    って1500万か、、
  • エキシージ乗りだが、後ろから来られたら結構イヤ。4Cなんかはそうでもないんだけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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