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老兵タルキーニが2年ぶり勝利。バービッシュの新型アウディも初優勝を記録/WTCR第3戦

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老兵タルキーニが2年ぶり勝利。バービッシュの新型アウディも初優勝を記録/WTCR第3戦

 7月10~11日にスペインのモーターランド・アラゴンで争われた2021年のWTCR世界ツーリングカー・カップ第3戦は、直前のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)改訂により競争力を回復した第2世代アウディ勢が躍進し、予選ポールポジションを獲得したフレデリック・バービッシュ(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ)が、レース2で新型アウディに世界戦初優勝をプレゼント。リバースグリッドのレース1は、59歳の鉄人ガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRCヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラ・コルセ)が確実に好機を捉え、2年越しのWTCR勝利を飾っている。

 昨季はヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR/シアン・レーシング・リンク&コー)による史上最年少タイトル決定の舞台ともなったここスペインのトラックは、レースウイーク前から週末の高温予報が出されており、金曜公式練習から灼熱のドライコンディションで進められた。

WTCR第3戦を前にホンダ、ヒュンダイは増量、アウディ、クプラは軽減。4車種のBoPを再調整

 そのプラクティスから猛威を奮ったのがアウディの新型サルーン4台で、BoP重量30kgの削減と最低地上高を80mmから70mmへとダウンさせた第2世代RS3 LMSは、最初のセッションでトム・コロネル(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・DHLチーム・アウディスポーツ)を先頭にワン・ツー・スリーを記録すると、続く2回目ではナサニエル・ベルトン(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・DHLチーム・アウディスポーツ)が最速をマーク。そして公式予選では「ほぼ完璧なラップだった」というバービッシュが、2分06秒169のポールタイムを刻んでレース2の最前列を確保した。

 一方、今回のBoPでは数値上の変化を受けなかったシアン・レーシング勢は、依然として「直線速度の低さが勝負を厳しくしている」とこぼしながらも、テッド・ビョーク(リンク&コー03 TCR/シアン・パフォーマンス・リンク&コー)が0.021秒差のフロントロウを獲得。

 3番手のジル・マグナス(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ)を挟んで、こちらは10kgのBoP重量増となったノルベルト・ミケリス(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRCヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラ・コルセ)、そして選手権首位のジャン-カール・ベルネイ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/エングスター・ヒュンダイN・リキモリ・レーシング・チーム)が続くトップ5に。

 20kg軽減措置を受けたクプラ・レオン・コンペティションTCRのミケル・アズコナ(ゼングー・モータースポーツ・サービスKFT)は予選9番手が精一杯。そしてBoP重量10kgと規定最大60kgのコンペンセーションウエイトを搭載し、グリッド最重量級の1345kgとなったホンダ・シビック・タイプR TCR勢は、トップ10にさえ絡めない結果となった。

■「外から見るほど簡単ではなかったよ」と鉄人タルキーニ

 その予選トップ10リバースグリッドが採用されたレース1は、ポールシッターのタルキーニが2番手アズコナと3番手エルラシェールを抑え切り、順当にホールショットを奪う幕開けに。

 するとここでもストレートラインの相対的戦闘力に苦しむエルラシェールは4番手コロネルから猛烈なプレッシャーを受け、2周目にはサイド・バイ・サイドの勝負で敢えなくポディウム圏内から陥落。続け様にベルトンにもオーバーテイクされ、混走バトルでの厳しさを感じさせる。

 6周目には3番手コロネルが僚友のベルトンに2番手アズコナ追走を託すように先を譲るも、10周のチェッカーまでに地元のヒーロー攻略はかなわないと判断したコロネルは、最終周でふたたびチームメイトをパスして表彰台圏内に復帰。これで3位コロネル、2位アズコナに先んじて、タルキーニが2019年のハンガリー以来となる2年ぶりの世界戦優勝、今季初勝利を手にした。

「リバースポールを勝利に変えられたことには満足しているが、レースは外から見るほど簡単ではなかったよ」と、まずは安堵の言葉を口にした鉄人タルキーニ。

「アズコナは良い仕事をして最後までプッシュしていたが、我々のマシンは重量がありながらも競争力を維持していた。ヒュンダイ・モータースポーツの努力に改めて感謝したい」

 引き続き気温が32度超を記録するなか、タイヤのマネジメントが鍵となったレース2は、前戦でもグリップ低下に苦しんだフロントロウ2番手のビョークを尻目に、ポールシッターのバービッシュがホールショットを奪うと徐々にリードを拡大していく。

 その背後では、3番手マグナスがヘアピンでリンク&コー03 TCRを突く勢いを見せたが、オーバーテイクには至らず。さらに後方では4番手ミケリスが「右フロントから大きな振動が発生している」と無線で訴え後退し、代わって4番手に立ったベルネイのエラントラにも同様の振動が発生してしまう。

 そのミケリスは8周目にベルトンにもかわされると、続く周に今度はコロネルのアウディがトラブルから無念のストップ。この車両回収で週末初のセーフティカーが導入される。

 1ラップ後のリスタートもなんとか無事にこなしたバービッシュ以下、ビョーク、マグナスの上位勢は順位変動なく13周のフィニッシュラインを通過し、タイヤのトラブルを抱えたままのベルネイが薄氷の4位、アウディのベルトンが5位でチェッカー。ミケリスは残り2周の最終コーナーで懸案の右フロントが限界を迎え、残念ながらそこでレースを終える結果となった。

「今日は“メガ”スタートが切れて、その後のペースも良好だった。(背後の)テッドがタイヤを労っていると考えていたから、終盤に向けてすごく警戒していたんだ。でもセーフティカーを無事に乗り越え、チームに素晴らしい結果を持ち帰れてうれしいよ」と、第2世代アウディ初勝利を挙げたバービッシュ。

 この4位により、選手権リーダーのベルネイが得点を82まで伸ばし、2位エルラシェールを8点上回る結果で首位固め。続く2021年WTCRの第4戦は、7月31~8月1日にイタリアのアドリア・レースウェイで争われる。

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