ドラマチックさとラップタイムで911を凌駕
ポルシェ718ケイマン GT4 RSは同じ銘柄のライバル、911 GT3をドラマチックさやサーキットでのラップタイムで凌駕した。0.2秒という、僅かな差ではあったが。
【画像】トップ3からベストを選ぶ フェラーリ296 GTB ポルシェ718ケイマン GT4 RS 911 GT3 全147枚
近年のBBDC選手権のノミネート車両は、高出力化と高価格化の傾向にある。それでも、718ケイマン GT4 RSほど強い印象を残すモデルは決して多くはない。
一般道でのコーナリングは素晴らしい。見事にバランスし、驚くほど自然で純粋。7速デュアルクラッチATは、パドル操作へダイレクトに反応する。パンチの効いたシフトチェンジや、鮮烈で生々しいフィーリングにも称賛する意見が相次いだ。
路面の凹凸を実感させる硬い足まわりが、運転の楽しさを減じているという声も挙がった。ノミネート車両の多くが、一般道と高い親和性を示したこととは対称的といえる。
それは、サーキットへ主軸が置かれていることの表れでもある。ポルシェのGTでRSを名乗るモデルは、そもそもそういうものだ。
ラップタイムを刻むように積極的にサーキットを攻め続けても、718ケイマン GT4 RSは極めてタフ。審査員たちはレブリミットまで回しきり、飽きることなくアングルシー・サーキットを巡っていた。
ただし、コーナリングラインの調整をより容易にし、旋回初期のアンダーステア傾向を弱めた方が良いと評価する意見もあった。クルマとの一体感も、理想とする高さではなかったかもしれない。
能力に秀で多面的で安心感すら与える
それでは、2021年のディフェンディング・チャンピオン、ポルシェ911 GT3はどうだったのか。718ケイマン GT4 RS程はハードコアな仕立てではなくても、やはり魅力的なことに変わりはなかった。
新手のハイブリッド・スーパーカーや、大富豪向けのレストモッド・フェラーリがノミネートしただけに、911 GT3への期待値は初めさほど高くなかった。最後まで勝ち残ると、筆者は予想していなかったのが正直なところだ。
これほど素晴らしいスポーツカーを、読み誤るなんて。能力に長け多面的で、ドライバーの感覚を研ぎ澄まさせ、しっかり心を掴む。公道を走らせれば、秀でたマナーで安心感すら与えてくれる。
一般道でもサーキットでも、存分に謳歌できるパワフルな水平対向6気筒エンジンを積んでいる。シフトパドルで操る7速デュアルクラッチATは迅速に反応し、ドライバーズカーとしての訴求力を高めている。MTではなくても。
サスペンションやステアリングもブリリアント。それぞれが完璧に調律され、お互いが調和し、統合されている。フラット6がもたらす以上の総合力を生み出している。
ところが、審査員5名全員が同じ印象ではなかったようだ。911 GT3と718ケイマン GT4 RSとで、感じ方の違いが興味深い。
かなりの僅差で決まった2022年の勝者
試乗を終え、マット・プライヤーはひと回り小さいポルシェより「自由度が高く、より楽しい」。と発言。リチャード・レーンは、718ケイマン GT4 RSへ完全には馴染めなかったと感じたようだ。過剰なグリップとアンダーステアが影を落としていた。
反面、アンドリュー・フランケルは「2021年で感じた、最高の充足感を呼び起こすものではありませんでした」。と911 GT3を評価している。ジェームス・ディスデイルは、「1年が過ぎても、魅力が薄れることはありません」。と、逆の感想を抱いていた。
筆者は、911 GT3の四輪操舵システムが叶える公道での高精度な操縦性と、サーキットでの意欲的で懐の深い動的特性を再確認することができうれしかった。ハードコアな718ケイマン GT4 RSは、純粋なドライビング体験の喜びでは及ばなかった。
最後の最後まで、議論は続いた。出色の仕上がりの3台に対し、5名の審査員はそれぞれ異なる評価を与えていた。お互いの得点を突き合わせた時、失望の声と同調する頷きが入り乱れた。明確な勝者は、いなかったといっても良いかもしれない。
毎年のようにBBDC選手権の最後では触れているが、今年もかなりの僅差で決まった。ちょっとした運命のあやで、今回とは違った結果が導かれた可能性もゼロではない。
というわけで、2022年の英国ベスト・ドライバーズカーはポルシェのいずれかか、フェラーリ296 GTBか? その結果は(7)にて発表させていただこう。
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