物流拠点でトラブル 英国で部品不足に
英国の自動車メーカーであるJLR(ジャガー・ランドローバー)は11月2日、部品の供給遅れにより英国内で故障車の修理対応が進んでいないことについて謝罪の意を表明した。
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JLRのエイドリアン・マーデルCEOは、英レスターシャーに新設した部品物流ハブ「マーシア・パーク」で遅延が生じ、国内で数千台の修理が滞っていることについて、「大変不本意なこと」と述べた。JLRは国内の部品供給網を縮小し、18の倉庫をマーシア・パークに集約している。
英国の『カー・ディーラー・マガジン』誌が最初に報じたところによると、マーシア・パークでの遅れのためにディーラーが交換部品を調達できず、英国各地で約1万台が修理待ちの状態にあるという。その後のAUTOCARの取材で、ディーラーは中古部品を使用するよう勧告されていることが明らかになった。
マーデルCEOは取材に対し、部品遅れにより「アフターサービスのパフォーマンスに悪影響が出ている」ことを認め、今後数か月以内に解決することが最優先事項であると述べた。
「(供給網の)移行は計画的なものでしたが、当初の計画よりも時間がかかっています。誤解のないようにお伝えしておきたいのは、これは誰も望んでいないということであり、ここで一緒に仕事をしているパートナーとの組織として、わたし達にはこの変化に対する責任があります」
「わたし達は謝罪しなければなりません」
「大変不本意なことであり、車両盗難の件と同様、この組織のトップ、そしてパートナー企業(ユニパート・ロジスティクス社)のトップに関わることでもあります」
マーデルCEOは、問題解決に向けてユニパート・ロジスティクス社と定期的に連絡を取り合っているとした。
また、10月には、マーシア・パークが稼動して以来初めて、ディーラーへの出荷待ち部品の数が減少したという。マーデルCEOは英国で約1万台のJLR車が部品を待っているという報道内容を認めつつ、その数字は減少し、今日の集計では5000台以下になっていると述べた。
「かなり大きな進歩を遂げていますが、はっきり言って、まだ終わっていません。現実的には今四半期ではなく、来四半期になる可能性が高いです」
「我慢の限界」とクルマ手放すオーナーも
JLRの部品供給遅れに対し、英国のユーザーからは不満の声が挙がっている。
遅れの原因が新設されたマーシア・パークにあることは、10月にJLRのクライアント・ディレクターであるアンドリュー・ウーリスクロフト氏によって明らかにされた。
「マーシアがボトルネックになっており、注文が滞っている」とウーリスクロフト氏は述べ、部品不足のため「ワークショップ(整備工場)の営業はほとんどストップしている」とした。
ウーリスクロフト氏によると、JLRは代車も、修理のために顧客のクルマを保管するスペースも使い果たしており、こうした状況は11月末まで続くと予測されるという。
部品遅れに直面したオーナーの1人、ボブ・アーシェルさんは、自身のレンジローバー・スポーツP400eが4月にワイヤーハーネスの不良と診断されたと話す。
「ランドローバーに何度も電話をかけていたので、わたしはもう我慢の限界だったんだと思います」とアーシェルさん。9月にようやく新しい交換品が届いたが、その時にはすでにクルマを手放していたそうだ。
一部ディーラーでは「ずさん」な対応も
一方、英国のディーラー従業員が取材で語ったところによると、新品部品の遅れを解消し、修理を迅速化するため、メーカーから中古部品を使用するよう指示されているという。
「JLRはこの半年間、クルマを修理して修理工場から出すために、非純正部品を調達するようディーラーに指示してきました」
「あるJLRのシニアマネージャーは、必要であれば中古部品を使うよう提案しましたが、ディーラーからは嘲笑されていました」
AUTOCARはその真偽を確認するために改めて従業員に連絡を取ったが、本人からの返答はなかった。
しかし、この主張を裏付けるように、4年前に購入したレンジローバー・イヴォークが故障した際、ランドローバーの正規ディーラーが中古部品を使って修理したというオーナーの体験談を聞いた。
キャッスル・ダグラスに住むローラ・ブラノックさんの話によると、イヴォークで故障が発生したのは4月のことだった。6月にディーラーの点検を受けたが、新しい交換部品は12月上旬まで手に入らないと告げられたという。
息子を定期的に病院に連れて行くためにクルマを必要としているブラノックさんは、8月に消費者支援団体であるリジェクト・マイ・カー(RMC)に連絡を取り、支援を求めた。RMCの介入後、数日で部品が入手可能になり、交換作業を行った。ブラノックさんはその後、RMCの事業所にクルマを持ち込み、修理状況を検査することになった。
検査の結果、エンジンとターボチャージャーが整備されていたが、オイルはほとんどなく、23の故障コードが表示された。
「わたし達の経験では、(英国で)最もクレームの多いブランドはJLRで、部品不足による修理不能がそ原因の第1位です」と、RMCの創設者でマネージング・ディレクターのイアン・ファーガソン氏は語る。
ファーガソン氏はブラノックさんに対し、この件を追求している間はクルマを運転しないよう伝えたという。
修理を担当したディーラーはAUTOCARの取材に応じなかった。
JLRの広報担当者は、ブラノックさんのイヴォークの修理にはランドローバーの純正部品のみが使用され、彼女の車は保証期間外であると述べた。英国における中古部品の使用については、次のようにコメントしている。
「一部のディーラーで発生している一時的な部品の遅れを解決し、お客様への影響を最小限に抑えることがJLRの最優先事項です」
「当社のディーラーが交換や修理のために現地で調達した部品を使用することは、例外的な状況において長年行われてきた慣行です。ただし、その部品が目的に適合し、JLRの仕様に合致している場合に限ります。このことは、保証契約の一部として明示されています」
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みんなのコメント
イギリスの自動車産業がなぜ衰退していったのかよくわかる一件です。
品質面でも大量生産しているメーカーは新車でも何か不具合が起きるので覚悟が必要です。