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タルガ・フローリオ最多勝を誇る、マセラティ ティーポ6CM

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タルガ・フローリオ最多勝を誇る、マセラティ ティーポ6CM

Maserati Tipo 6CM

マセラティ ティーポ6CM

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1939年のタルガ・フローリオ勝利から80年

2019年はタルガ・フローリオにおいて、ルイージ・ジジ・ヴィッロレージがステアリングを握った「マセラティ ティーポ6CM」が勝利を飾って以来、80年を迎える。

ミラノ出身のヴィッロレージは、1939年5月14日にシチリア島パレルモのパルコ・デッラ・ファヴォリータ サーキットを40周走行し、合計228kmを1時間40分15秒4で完走。勝利を手にしただけでなく、2分24秒6の最速ラップ(平均速度141.908km/h)も記録している。

この年は、同じく「ティーポ6CM」を駆ったピエロ・タルッフィが2位、グイド・フィオーレ・バルビエーリも3位に入り、マセラティが1-2-3フィニッシュを達成。1937年、1938年に続き、3年連続でトップ3を独占した。マセラティは1940年のレースでも表彰台を独占しており、「マセラティ ティーポ4CL」をドライブしたヴィッロレージが勝利を手にしている。

富豪ヴィンチェンツォ・フローリオに因んだレース

タルガ・フローリオは世界で最も古く、最も有名な自動車レースのひとつ。このレースはパレルモの裕福な実業家、ヴィンチェンツォ・フローリオに因んで名付けられた。当時、レース界でも有名なパトロンだったフローリオが資金を提供し、コースがオープンしたのは1906年。タルガ・フローリオは1906年から1977年にかけて、2回の世界大戦期間を除く合計62回の開催を数えた。

毎年5月にパレルモで開催されていた往年のレースでは、シチリアのマドニー山脈を通過するワインディングロードがルートの中心となっており、パルコ・デッラ・ファヴォリータ サーキットが使用されたのは、1937年から1940年のわずか4年のみだった。

175psを発揮する1.5リッター直列6気筒を搭載

エルネスト・マセラティが設計したシングルシーターの「ティーポ6CM」は、1935年にデビュー。コンベンショナルなエクステリアを持っていたが、その中身のメカニズムは当時の最先端と言えるものが詰め込まれていた。

パワーユニットはシリンダーヘッドと鋳鉄製シリンダーブロックをマグネシウム合金のクランクケースに組み込んだ1.5リッター直列6気筒。このエンジンはギヤチェーン駆動のツインオーバーヘッドカムシャフト、2バルブシリンダー、ルーツ式スーパーチャージャーを備え、最高出力175psを発揮した。

調整可能なトーションバー式フロントサス

足まわりには、サーキットの特性に合わせてスプリングのテンションが調整可能なトーションバー式フロントサスペンションという、当時としては非常に革新的な技術が採用されていた。シャシーはラダーフレームだったが、このサスペンションによってマセラティはイギリスやフランスのライバルに対して、大きなアドバンテージを握っていたと言えるだろう。

ボディワーク、特にエアロダイナミクスに関しても、最新技術が投入されていた。丸みをおびたボディ形状、連続性のあるサイドパネル、大きく傾斜したフロントセクションなどは、当時の空力研究成果を反映したものだったという。

ライバルのERAやアルファロメオも撃破

「ティーポ6CM」の活躍のピークは1938年。当時、イタリアのコンストラクター最大のライバルだった、英国ERAを退けて勝利を収めただけでなく、ペスカーラGPにおいてはアルファロメオ アルフェッタを打ち破り、勝利した。

大成功を収めた「ティーポ6CM」は、1936年から1939年にかけて27台を製造。公式レースだけでなく、各地で開催されたアマチュアレースでも数々の優勝を刻んだ。前述のようにタルガ・フローリオでは、1937年から1939年に3連勝しており、同レースにおける同一車種の最多勝利記録を持っている。

現在、当時のコンディションにレストアされた「ティーポ6CM」は、パニー二コレクションの一部として、イタリア・モデナに保存されている。

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