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【試乗】2021年度輸入車販売ランキング2位となったフォルクスワーゲン ゴルフについて、GTIに乗りながら考えてみた

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【試乗】2021年度輸入車販売ランキング2位となったフォルクスワーゲン ゴルフについて、GTIに乗りながら考えてみた

2021年度の輸入車販売ランキング(日本自動車輸入組合:JAIA調べ)で、フォルクスワーゲン「ゴルフ」が2位となった。鈴木ケンイチ レポーターが、そんなゴルフのトップグレード「GTI」に試乗しながら、ゴルフについて改めて考察してみた。

第8世代のゴルフが登場したことで人気を回復
輸入車ランキング1位の座は、以前にも紹介したが2016年度から6連続でMINIが獲得している。ゴルフは、それに次ぐ2位が定位置となっていたが、2020年はフルモデルチェンジの谷間ということで、順位を6位まで落としていた。しかし、新型となる第8世代のゴルフが2021年6月に日本での発売が開始されたことで、一気に順位を回復した。そこで今回は、第8世代のゴルフ(以下、ゴルフ8)のトップグレードであるGTIに試乗しながら、ゴルフ8のアウトラインや人気の秘密を考察してみたい。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

まず、ゴルフ8は、「デジタル化」「電動化」「ドライバーアシスタントシステム」の3つの進化が特徴だ。「デジタル化」に関しては、運転席に座っただけですぐにわかる。メーターは10.25インチの液晶ディスプレイを採用したデジタル コクピット プロを全車標準装備。これはセンターコンソールのディスプレイまでなだらかにつながっている。また、シフトノブはスイッチ式になり、新しさを演出している。

「電動化」は、48Vマイルドハイブリッドを1.0eTSIと1.5eTSIに採用した。48Vで稼働するスタータージェネレーターを使って、エンジン始動や発電だけでなく、エンジンのアシストと減速エネルギーの回生までを行うものだ。そして「ドライバーアシスタントシステム」は、最新の運転支援システムを搭載した。前走車を追従するACC(アダプティブ クルーズコントロール)とレーンキープアシストを融合させたトラベルアシストは、0~210km/hで作動する。ハンドルには静電容量センサーが採用されたので、ACCの作動中は握り込まなくても触っていればいいだけとなっている。

一方で、プラットフォームやエンジンといった車体の基本的な部分の多くは、先代からのキャリーオーバーとなる。とはいえ、内容は進化しているのだが。また、ゴルフはフォルクスワーゲンの主力モデルらしく、幅広いラインナップを誇る。日本仕様でも、1Lと1.5Lの48Vマイルドハイブリッド、2Lのディーゼルターボ(TDI)、そして2Lガソリンターボ(GTI)が設定されている。さらに、ステーションワゴン版のヴァリアントもあり、こちらは1Lと1.5Lの48Vマイルドハイブリッドのみとなる。

ゴルフ8の各グレードに共通しているのは「洗練」
さて、筆者はゴルフ8の日本導入からこれまでの1年の間に、すべてのグレードに試乗してきた。パワートレーンや足まわり、内装などの仕様の違いはあったが、基本的な印象は非常に似通ったものであった。それはつまり、ひとことで表せば「洗練」だ。特に好印象であったのがシャシだ。

走らせてみて、すぐに気づくのは、ステアリングの軽さだ。だがそれは緩んでいるのではなく、わずかにジワリと切るだけで、しっかりとクルマは反応する。しかも、それが過敏ではないのがいい。足まわりがよくできているということだろう。そして速度を上げていくほどに安定感が増してゆく。中低速の街中では扱いやすく、高速道路ではビシッと真っ直ぐに走ってくれる。プラットフォームを先代から継続利用したことが、この洗練の走りを生んでいるのだろう。

また、デジタルを謳うメーターやディスプレイまわりも、すっきりと見やすい。表示させる情報を取捨選択して整理している。ただし、燃料残量の表示が小さくて分かりにくい点だけは、改良を期待したい。それでもパッケージングは、オーソドックスそのもの。奇をてらわない、まさに王道。鉄板の使いやすさだ。

メーターやシフトスイッチなど目に見える部分に「デジタル化」という新しい要素を採用しつつも、その実、中身は非常にオーソドックス。これこそ、洗練といえるだろう。そうして磨き上げた中味に、48VマイルドハイブリッドやTDI、GTIという変化をつけたというのが、ゴルフ8なのだ。

走りっぷりはパワートレーンごとに異なるが、1Lの直3ガソリンターボ+48Vマイルドハイブリッドでも、市街地走行なら十分なレベルだ。発進時や低速時はモーターがアシストし、不足を感じさせない。その上の1.5L 直4ガソリンターボ+48Vマイルドハイブリッドは、街中での走りっぷりは1Lと大きく変わらないが、高速域での伸びや余裕は確実に一歩上。高速道路での移動が多い人は、1.5Lを選んだほうがいいだろう。いずれも、48Vマイルドハイブリッドの採用で燃費はいい。

ディーゼルも良いけれど、やはり楽しいのはGTIだ
燃費とパワーをさらに望むなら、2L 直4ディーゼルターボのTDIに限る。ディーゼルの振動は気にならず、低回転から力強く、さらに高速域でもパンチ力がある。しかも燃費はガソリンの48Vマイルドハイブリッドよりいい。やはり、伝統あるフォルクスワーゲンのディーゼルエンジンは高いレベルにある。

そして、ゴルフには初代から「GTI」がラインナップされている。スピードはもちろん、ファンなハンドリングも楽しませてくれる、トップグレードのホットハッチだ。本国仕様では4WDと組み合わせた「ゴルフR」もあるが、現在のところ日本仕様には設定されていない。

パワートレーンは、最高出力245ps/最大トルク370Nmというハイパフォーマンスな2L 直4ガソリンターボエンジンに7速DCTを組み合わせ、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックも標準装備。赤いラインの入ったフロントグリルやタータンチェック柄のシートなど、GTI伝統の専用アイテムが装備され、走り出す前からワクワクする気分にさせてくれる。

だが、GTIはスペックから想像されるような過激なクルマではない。ジェントルに扱えば、行儀よく、ゆったりと走らせることができる。しかし、ワインディングや高速域などで、いつもより深めにアクセルを踏み込めば、GTIの底力を垣間見ることができる。なんといってもニュルブルクリンク サーキットで、FF世界最速を競うモデルのひとつだ。ドライバーの意のままに、より高いスピード域へ、あっという間に連れて行ってくれる。

それでも、そんなときでもゴルフらしい、4輪がしっかりと路面をつかんでいるという信頼感が保たれている。この安定感が、ホットハッチと呼ばれるGTIでも変わらずに味わえるというのが、ゴルフの凄みなのだろう。どのモデルに乗っても、基本の乗り味は同じ方向を向いている。これこそがゴルフの伝統であり、そして魅力と言えるだろう。(文:鈴木ケンイチ/写真:Webモーターマガジン編集部)

■フォルクスワーゲン ゴルフGTI 主要諸元
●全長×全幅×全高:4295×1790×1465mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1430kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1984cc
●最高出力:180kW(245ps)/5000-6500rpm
●最大トルク:370Nm/1600-4300rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・51L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:225/40R18
●車両価格(税込):466万円

[ アルバム : フォルクスワーゲン ゴルフGTI(8代目) はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

7件
  • ドイツ車好きになった切欠がゴルフ
  • 大半のゴルフユーザーは3気筒1ℓモデルに乗っている。
    GTIのスペックをどうだと言わんばかりに紹介する記事に悪意を感じる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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