ひさびさに本物のフランス料理を食べた気がした。特に高級な星付きレストランではない。パリの片隅の普通のビストロで食べただけだが、クリーム濃厚でかつ盛り付けは斬新。それが新型シトロエンC3エアクロスだ。
全長4160×全幅1765×全高1630mmと、競争が熾烈なコンパクトSUVにあたるC3エアクロス。個性豊かなデザインと259万円からというリーズナブルな価格で、頭一つ抜ける存在になるかもしれない。正直、最近のフランス車はなんだかんだで国際化のワナにはまっていたと思う。クチでは「パリの香り」をうたいつつ、かつてのような鉄板むき出しでかつ洒落たインパネは作れなくなっていたし、走りも高速ハンドリング重視のセッティングを無視出来ない。具体的にはプジョー206の世界はもちろん、ルノー5の再来など到底望めない時代なのだ。
ラグビーW杯のために1937年のオースチンでユーラシア横断を敢行した英国人(前篇)
やはり隣に剛性感タップリのドイツ車があれば、自分もオートルートでテストしてしまいたくなるだろうし、値段の割に安っぽくない日本車や韓国車があれば、ドア内張りを無粋な樹脂で覆いたくなってしまうもの。
最高出力110ps、最大トルク205Nmを発揮する1.2L直列3気筒エンジンを搭載。ハイパワーという訳ではないが、小柄なボディのため十分なトルクが感じられる。どれほどのすっぴん美少女でも、隣をド派手でガングロ同級生に囲まれ育ったら、次第にガングロになっていく。それが市場原理であり、戦いというものなのだ。
その一方でもちろんフランス人たちは己の売りが個性と癒しであることはわかっていたから、シトロエンから「DS」ブランドを切り離して差別化を図った。しかし、まだDSは己にピッタリあった切り口を見つけきってないように小沢には思える。
しかし、シトロエンはようやく見つけたと思うのだ。時流に合ったシトロエンらしい贅沢過ぎない斬新と鮮烈を。その1つの例が新型C3エアクロスなのである。
機能・ルックス含めて良いデザインセンターコンソールの7インチタッチスクリーンでは、Apple CarPlayやAndroid Autoを利用可能。使い慣れたナビアプリを利用することができるのはうれしい。テイストの原型となったのは2014年デビューのC4カクタス。独特のキッチュなヘンテコキュート路線がまずコンパクトハッチのC3に受け継がれ、今回SUV化する過程で濃厚化されて、新型C3エアクロスに投入されている。
最大のキモはエクステリアで、英会話のノバウサギのような仏頂面に、マシュマロマンのようなふにゃふにゃフォルムは、どう考えても日本車はもちろんドイツ車では絶対に出せない奇抜さ。しかもオンナ子供に絶対にウケるキュートなテイストもある。
インテリアもエアバンプと呼ばれる独特の台形ディテールが、エアコン吹き出し口を始め、チラホラ散りばめられていて、独特な世界観を演出。シートも平板な板チョコ造形だが、ファブリック仕様の生地にしろ、高級ではないがファッション素材のようにオシャレ。金をかけずに粋に見せている。
オマケにC3エアクロスはパッケージ効率もよい。ボディサイズはベースとなったC3に対し、全長が165mm長い4160mmで全幅は15mm拡大して1750mm。長さに関してはトヨタCH-Rやホンダ・ヴェゼルよりも短い。
SHINEパッケージオプションで装着可能なパノラミックサンルーフ。同オプションでは、そのほかに17インチアロイホイールなどが付属する。また骨格はC3と同じPF1プラットフォームで少々古くさいが70mmも伸びたホイールベースと、135mm伸びた全高により室内は効率よく広い。身長176cmの小沢が前後に座れる上、ラゲッジは通常状態で410リッターとVWゴルフより広く、リアシートを一番前にスライドさせれば520リッターまで広がる。ヘタなワゴン顔負けの使い勝手なのだ。
ユニーク性ならシトロエンが随一?走り味もなかなかで、試乗車がシトロエン独自のグリップコントロール機能とセットの17インチオールシーズンタイヤを履いていたためか、多少当たりにゴツゴツ感はあったが、乗り心地はしなやか。直進性もフランス車らしく良好で気持ちいい。
SUVらしく、荷室容量も抜かりなし。410Lから最大1289Lまで拡大が可能だ。また、テールゲート下のバンパーは傷がつかないよう無塗装になっているのもありがたい。パワートレインもプラットフォーム同様、定番となった1.2リッター直3ガソリンターボ&6ATでピークパワー&トルクは110ps&205Nm。特別パワフルとは言い難いが、ダウンサイジングターボらしく低回転からトルクがあってスペック以上に走る。W+TCモード燃費もリッターあたり14.7kmと悪くない。
先進安全もクラス最高レベルとは呼べないし、同じグループのDS3クロスバックには負けるが、被害軽減ブレーキやパークアシストなどひと通りついているし、価格も259万円スタートと輸入車としては総じてリーズナブル。乗って走って室内を見た瞬間、これはC3より売れるかも? と思った次第。
いま激戦区のコンパクトSUVだが、シトロエン独自のヘンテコキュートな世界に癒し系の走りと実用性が加わったら鬼に金棒なはず。ヘタすると兄弟車のプジョー系より分かり易くフランス車らしいかも、という出来なのだ。
文・小沢コージ 写真・柳田由人 編集・iconic
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