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【最新の500は純EV】フィアット500新型 試作車へ試乗 エンジン版と共存へ 後編

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【最新の500は純EV】フィアット500新型 試作車へ試乗 エンジン版と共存へ 後編

電気自動車らしくスムーズで洗練された走り

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

【画像】新500 ホンダe、ミニと比較 全107枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


純EVとなった、最新フィアット500の運転席へ座る。スマートフォンをしまって、スターターボタンを押す。右足でアクセルペダルを踏み込むと、ホイールスピンするほど即時的で強力なトルクで、勢いよく走り始める。初期の電気自動車らしい振る舞いだ。

それだけではない。活発ながらも、適度に抑制が効いている。不足なく、過剰でもない。中間加速も同様。とても楽しい。

走行中は、ほとんど無音。今までのフィアット500の面影を残すボディに、最新の純EVのドライブトレインが、見事に統合されている。

電気自動車らしく、スムーズで洗練された印象を受ける。クルマの雰囲気に調和し、とても自然だ。

ドライビング・モードには、ノーマルとレンジ、シェルパの3種類がある。シェルパ・モードは、航続距離を最大限に伸ばすモード。バッテリーの残量が少なくなった時に、航続距離の不安を減らすための設定だから、普段は選ばないだろう。

ノーマル・モードはその名の通り。新しい500を2ペダルのクルマとして、普通に運転できる。

レンジ・モードでは回生ブレーキの効きが強くなり、アクセルペダルの加減のみで、ワンペダルでの運転が可能になる。基本的には良く調律できているが、8km/hを切った辺りから動作が過敏になる。回生ブレーキが強く、意図せず停止してしまうこともあった。

量産版への大きな期待

前に進む時は、走っているうちに慣れるだろう。だがバックする際は注意が必要。思わぬ加減速に、戸惑うこともありそうだ。プロトタイプだからかもしれないが、駐車の時はノーマル・モードを選んだ方が良い。

それ以外、フィアット500はシティーカーとして素晴らしい。ステアリングは軽く、視界も全方向で優れている。小回りも良くきくし、交差点や車線変更もキビキビ反応する。カブリオレの場合、ソフトトップを下げてしまうと、後方視界が遮られるけれど。

トリノの街の舗装は褒められたものではなく、乗り心地は硬めに感じた。しかし不快なほどではなく、従来の500の乗り心地から考えれば、改善といえる。

低い位置のバッテリーが、乗り心地に良い影響を与えているのだろう。高速道路など比較的滑らかな路面や、速度域が上がると、硬さは気にならなくなる。

最終的な仕上げはこれからながら、素晴らしい印象を受けた。トリノの街での試乗は、量産版への大きな期待を感じさせるものだった。

新しいフィアット500の価格と仕様は、まだ不明。ちなみに初期限定仕様のラ・プリマ・ローンチエディションは、英国政府の補助金適用後で、2万6995ポンド(377万円)となっている。

英国での販売価格は、2万1000ポンド(294万円)からが予想されている。電気自動車の低いランニングコストを考えるとメリットを感じる価格だし、ライバルのミニ・エレクトリックやホンダeよりも安い。

次世代のフィアット500のあるべき姿

インテリアやソフトウエアも、まだ完全ではなかった。それでも基本的なデザインやレイアウトは好印象で、10.25インチと大きなインフォテインメント用モニターも付いている。従来の500と比べて、大幅にアップデートされた感じを受ける。

回生ブレーキの振る舞いを見直し、ステアリングホイールの重みをもう少し足せば、最新の500が成功する下地は整うと思う。インテリア・トリムの仕上がりも楽しみだ。

新しいフィアット500は、次世代の500のあるべき姿を、見事に描き出している。過去の500を尊重し、未来を見据えることで、正しい方向へ進化したといえる。純EVになったこと以上に。

興味を持ったのなら、ぜひ読者の目で見てみてほしい。運転したいと思うはず。きっと、ガッカリすることはないだろう。

フィアット500 プロトタイプのスペック

英国価格:2万1000ポンド~
全長:3632mm
全幅:1683mm
全高:1510mm
最高速度:149km/h(リミッター)
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:320km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1330kg
パワートレイン:永久磁石モーター
バッテリー:42kWhリチウムイオン
最高出力:118ps
最大トルク:22.3kg-m
ギアボックス:ダイレクトドライブ

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