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回顧録 ロータス2イレブン vs アリエル・アトム300 vs エルフィンMS8クラブマン vs ケーターハムR400 vs ブルック・ダブルR 後編

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回顧録 ロータス2イレブン vs アリエル・アトム300 vs エルフィンMS8クラブマン vs ケーターハムR400 vs ブルック・ダブルR 後編

もくじ

前編
ー クレイジージャーニーの始まり
ー ロータスとの対話
ー ロータス史上最大級の刺激
ー 恐怖さえ感じさせるエルフィン

205GTI vs フォーカスRS vs メガーヌ・トロフィーR vs シビックR vs ゴルフGTI 前編

後編
ー ブルックは21世紀のスーパーカー
ー 古典的な味わいのケーターハム
ー 二者択一
ー 勝敗やいかに

ブルックは21世紀のスーパーカー

それとは逆に、誰もがわれ先に乗りたがったのがブルック・ダブルRである。今までほとんど無名だったブリティッシュ・スポーツカーだが、われわれが先日行った0-100-0テストにおいて、アリエル・アトムに次いで見事2位の座を獲得したことでその名前を知った人も多いはずだ。

われわれも264psを発生する2.2ℓのコスワース・エンジンを積むブルックの直線路での速さは体験済みだったが、一般道でこれほどシャープなハンドリングと高いコーナリング能力を示すとは思わなかった。ブルックはケーターハムR400に匹敵するハイペースで走ることができ、しかも終止落ち着いた挙動を示す。実用上の欠点は少なくないが、ブルックはカントリーロードで恐ろしく速い。それは明らかにR400を上回るペースだった。  

ブルックの速さの秘密は、優れたトラクションと見事に躾られた正確なステアリング、凄まじい加速性能(0-161km/h=7.7秒)、優秀なブレーキ、そしてスロットルによるコーナリングラインの修正が自由自在のシャシーである。見た目は1960年代のレーシングカーのようだし、室内もそれに準じた雰囲気だが、走りは21世紀のスーパーカーと評していいと思う。

もし自分のクルマだったら、もっと横方向のサポートがしっかりしたドライバーズシートと左足のフットレストが欲しい。ハードなドライビング時に身体を支える手段がステアリングホイールとシフトレバーしかないのはいくらなんでも辛い。ブルック社の規模を考えれば、ダブルRは素晴らしい偉業の賜である。そして彼らの話によれば、ダブルRは今後スーパーチャージャーを装着して、さらに速いクルマになる予定だという。

古典的な味わいのケーターハム

今やすっかり地味な存在になってしまったのがケーターハムである。ここ何年かのあいだに登場したライバルの数を考えれば、まあそれも仕方ない。だが、セブンと同じドライビング体験ができるクルマはいまだ存在しない。R400はこのグループで最速ではないし、もっともハンドリングが優れているわけでもないが、依然として初代セブンのフィロソフィーに忠実なクルマであり、相変わらず独特の好ましいフィールを持っている。  

R400は昔ながらのドライビングスタイルで走らせるのが正しく、そうすれば最高に愉しめるクルマだ。前後輪ともに2イレブンやアトムほどグリップが強力ではないので、当然、コーナーではタイヤが滑り始めるスピードは低い。しかしその挙動が極めて素直なため、アンダーステアやオーバーステアが現れても大きな問題とはならない。セブンのドライビングの醍醐味はまさにそこにある。特に右足で215psを操るこのモデルではなおさらだ。  

今回のテストでR400に関してなによりも驚いたのは、このグループのなかで文句なしにもっとも実用的なクルマであるということだ。ケーターハムに対してこんな評価が下される機会は滅多にない。

サイドスクリーンを装着すると、高速道路ではアトムや2イレブン、ブルックに比べて遥かに快適に走れる。トランクと呼べるようなスペースが一応備わるのもこのセブンだけだ。ちょっとした勇気があれば、日常生活でも十分使えるだろう。それを2イレブンやアトムやブルックでやるのは正気の沙汰ではない。エルフィンでやったら友達をなくす。

二者択一

この戦い、最終的にはロータス2イレブンとアリエル・アトム300の対決となった。どちらも、あまりにもファナティックで、恐ろしいほど速く、カントリーロードを真剣に飛ばすには相当な覚悟が求められる。それでもどちらが速いかと訊かれれば、それはアトムである。  

2イレブンに乗った後では信じがたいことだが、純粋な加速勝負ではアトムのほうが2イレブンよりもはるかに速い。2イレブンは160km/hまでおよそ9秒を要するが、アトムはわずか6.8秒で走り切ってしまうのだ。アトムの0-160km/h加速はマクラーレンF1と同レベルである。しかもパイプフレームに囲まれただけの素通しのコックピットでは、数値以上に速く感じられる。  

アトムの真の魅力は、それだけのパフォーマンスに(ほぼ)見合ったシャシーを備えているところである。斬新なスタイリングと極めて開放的なドライビングポジションも他では味わえない魅力であろう。コーナーへは高いグリップ力に頼ってハイスピードで飛び込むのがこのクルマの流儀だ。

アトムはそのままぐっと踏ん張る感じでクリアするが、若干ボディのバウンシングが伴う。それに対して2イレブンは、アペックスを狙う誘導システムをセットしたら、後はそれに任せて走るような感覚。走行ラインに影響を与えるようなボディロールはほとんど皆無である。  

アトムではこれが合法だなんてとても信じられないほどエキサイティングな走りが愉しめる。2イレブンはハイペースで走る能力があまりにも優秀すぎて、ロボットが走らせているような錯覚に陥ることがあるが、アトムならそんなこともない。乗り心地も2イレブンよりもソフトだ。ただし、冷静に判断すれば、ステアリングはアトムより2イレブンのほうが優秀である。  

勝敗やいかに

ではどちらがウィナーなのだろうか。



最終的には個人の判断に委ねられることになるだろう。これほどマニアックなハードコア・スポーツカーの場合、それは仕方がない。どちらも日常の移動手段としては非現実的だから、オーナーとなるのは当然、金銭的にかなり余裕のある人のはず。M5や911ターボといった速くて快適なサルーンと一緒にガレージに収まるケースが多いと推察する。そういう立ち位置のクルマとして、両車はともに魅力的で、素晴らしいデキである。

私ならロータスを選ぶ。テストからの帰り道、私はさらに4時間半に渡って寒さに耐え、早く家に帰って暖かいベッドで眠りたいと思いながらも嬉々として2イレブンのステアリングを握った。たぶんこれが答えだ。



途中、M25号線で1台のアトムに出会った。もちろん、今回のテストに借り出した広報車とは別のクルマである。そのドライバーはこちらに手を振りながら、颯爽と追い抜いて行った。これから夜のドライブを愉しもうと意気込んでいたに違いない。私も手を振り返したが、それはどこか心温まる瞬間だった。そこからの家に帰り着くまでの時間が、少し短く、暖かく感じられた。

こういうのもまた、ハードコア・スポーツカーを所有する醍醐味のひとつなのである。

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