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初期モノ「テスタロッサ」が4150万円!「モノスペッキオ」でも少々お安めのフェラーリとは

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初期モノ「テスタロッサ」が4150万円!「モノスペッキオ」でも少々お安めのフェラーリとは

純然たる北米仕様が敬遠された結果につながった

フェラーリ「テスタロッサ」は、言わずと知れたネオクラシック・フェラーリの代表的モデル。そして、高騰状態の続く現在のクラシックカー/コレクターズカー市場においても流通量が多いことから、ネオクラシック・スーパーカーの分野では、価格の変動が比較的大きいモデルのひとつと見なされている。

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そんな市況のもと、北米フロリダ州アメリア・アイランドを舞台に毎年3月に開催される大規模コンクール・デレガンスに付随して、今年もRMサザビーズ北米本社の主導によって“AMELIA ISLAND”オークションが大々的に開かれた。その競売会場には一台のアイコニックなフェラーリ・テスタロッサが登壇していた。

「バブル時代のスーパースター、テスタロッサとは?」

フェラーリの輝かしい歴史の中でも、とくに際立つ存在のひとつとして全世界のカーマニアから敬愛されているテスタロッサは、1973年のリリース以来、長年フェラーリのフラッグシップとして君臨してきたBBシリーズの最終型、“512BBi”の後継モデルとして1984年のパリ・サロンに登場。当時の最新12気筒ベルリネッタである。

1950~60年代の名作レーシングスポーツへのオマージュから名づけられたこのモデルは、1973年のデビューから連綿と進化を図ってきたBB系ユニットを4バルブ化。390psまでスープアップしたボクサー12気筒5リッターのエンジンを、同じくBB系からホイールベースを50mm延長した鋼管スペースフレームに搭載したもの。290km/hの最高速度を標榜した。

1980年代カルチャーを象徴するスーパーカーとして世界中のファンを魅了

いっぽう、新時代のフェラーリを宣言するごとき意欲的なボディは、もちろんピニンファリーナが架装。デザインワークは同社に所属していたスタイリスト、故エマヌエーレ・ニコジアが中心になって手掛けたとされる。

そして、今や伝説として語られる北米のTVドラマ『マイアミバイス』でも、主人公ソニー・クロケット刑事の愛車として大活躍するなど、1980年代カルチャーを象徴するスーパーカーとして世界中のファンを魅了。バブル期の華やかな時代を象徴する“ポスターカー”として、当時の若者たちの憧れの的となってきた。

テスタロッサは、1991年にビッグマイナーチェンジ版である「512TR」にあとを譲るまで、7177台が生産されたと言われている。なかでもこのオークション出品車両は、熱心なコレクターにとっては魅力的なスペックの持ち主だったようだ。

「オリジナリティ高し、されどUS仕様はちょっとお安め?」

2023年3月4日に開催された、第24回RMサザビーズ“AMELIA ISLAND”オークションでは、2018年に85歳で逝去した実業家で、熱心なクラシックカー愛好家としても全米にその名を知られていたテレンス・E・アデリー氏のコレクションが全8台出品されていた。この「ロッソ・コルサ(Rosso Corsa:レーシングレッド)」のボディに、黒革レザーを組み合わせたフェラーリ・テスタロッサはそのうちの一台で、同氏のコレクションに30年以上も収められていた個体だという。

出品されたテスタロッサは、シャシーNo.#63753。1986年4月にマラネッロ本社工場からラインオフしたUSスペックの一台で、その後1990年にアデレー氏が入手したとのことである。

テスタロッサ・ファミリーの中で最も希少な存在

この個体のようなテスタロッサ最初期型を印象づけるのは、運転席側のドアミラー。イタリア語では“モノスペッキオ(Mono-Specchio:シングルミラー)”、英語圏では“フライングミラー”、そして日本のフェラーリファンの間では“片耳”などと呼ばれることもある、片側だけの特異なデザインのものである。

また、センターロック式のアロイホイールが組み合わされるのも、前期モデルの外観における特徴。だが、ミラーのデザインは1986年ごろ、ホイールハブは1987年初頭ごろに5穴に変更されたことから、初期型“モノスペッキオ”はピニンファリーナのスタイリングを純粋に表現したオリジナルデザインと考えられ、テスタロッサ・ファミリーの中で最も希少な存在とされてきた。

メカニカルコンディションは万全

さらに、正規で輸出・販売されたUS仕様であることを示すように、左右フロントバンパーおよび左右リアフェンダーには反射鏡が設けられるほか、リアのエンジンカバーのシュラウド後端に収められたハイマウント・ブレーキランプ。あるいはリアバンパーとナンバープレートの間に挟み込まれた、日本仕様と共通となる大型の樹脂製パネルもしっかりと残されている。

そしてテスタロッサの特徴である、幾何学的デザインのヴェリア・ボレッティの計器に刻まれたオドメーターは、RMサザビーズ北米本社によるカタログ作成の時点で、わずか3600マイル(約5800km)しか走っていないことを示している。その少ないマイレージを物語るかのように、エクステリア/インテリアともに新車時のオリジナル状態が、良好なコンディションのまま維持されている。

ちなみに今回のオークション出品に向けて、このテスタロッサはミシガン州ウェスト・ブルームフィールド・ヒルズの正規ディーラー“カウリー・フェラーリ・オブ・デトロイト”でエンジン整備が行われたばかりとのこと。メカニカルコンディションは万全と謳われていた。

じわじわと上昇傾向を見せているヤングタイマー・フェラーリ

ひと頃は、最初期型のモノスペッキオなら5000万円超えが当たり前。中・後期の5穴ホイールモデルでも3000万円前後の価格で取り引きされる事例が多かったテスタロッサ。しかし、ここ1~2年はかなり市場も落ち着きを取り戻し、モノスペッキオ以外なら2000万円前後の価格設定が大方を占めていた。そんな市況のもと、3月4日に行われた競売では30万7500ドル、日本円に換算すれば約4150万円で落札となった。

2022年あたりから、またじわじわと上昇傾向を見せているヤングタイマー・フェラーリのマーケット相場にあって、オリジナル性の高い“モノスペッキオ”としては少々安めのハンマープライスは、たとえアメリカのオークションであっても、純然たる北米仕様であることが、ちょっとだけ敬遠された結果とも推測されるだろう。

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