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震災から10年…「復興の象徴」 新型アクアは販売日本一に返り咲けるか

掲載 更新 34
震災から10年…「復興の象徴」 新型アクアは販売日本一に返り咲けるか

 2021年7月19日、トヨタの新型アクアが初のフルモデルチェンジを果たした。初代モデルは、かつて販売台数日本一に輝いたクルマだ。新型にも大きな注目が集まっている。

 しかし、現在コンパクトハイブリッドにはライバルが多く、身内のヤリスハイブリッド、日産のノートe-Power、ホンダのフィットe:HEVなど、強者が揃う状況である。

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 果たして新型アクアは再び、販売日本一に返り咲けるのだろうか。元トヨタディーラー営業マンの筆者が、新型アクアの販売展望について解説していく。

文/佐々木亘
写真/TOYOTA

【画像ギャラリー】約9年半ぶりにフルモデルチェンジ!! トヨタ新型アクアの内外装をみる

初代アクアは東北復興のシンボルマーク

東日本大震災の東北復興のシンボルマークとして、初代アクアが発売された。発売から1カ月での受注は12万台を計上した(全長4050×全幅1695×全高1455mm/ホイールベース2550mm)

 初代アクアが登場したのは、2011年12月26日。東日本大震災が発生したこの年に、メイド・イン・東北を掲げて発表された。

 「東北復興の小さな光になってくれたらいい」と、生産工場である関東自動車工業(現在のトヨタ自動車東日本岩手工場)社長が話していたのを、宮城出身の筆者は今でも思い出す。

 アクアは、燃費性能世界一、そして東北復興のシンボルマークとして、メディアでも大きく取り上げられた。

 初代の発表から1カ月での受注は、月販目標台数1万2000台の10倍にあたる、12万台を計上する。このなかには、東北復興の一助にと、アクアを購入した人もいるのではないだろうか。

 新型の生産も、トヨタ自動車東日本岩手工場にておこなわれる。しかし、震災から10年の節目にと、2011年と同じように注文数が伸びる保証はどこにもない。

 アクアの代名詞であるハイブリッドも、ヤリス、ノート、フィットなど多数のクルマに搭載され、今やコンパクトカーでも当たり前の技術になった。アクアを取り巻く環境は、この10年間で大きく変わっている。

 新型アクアが、日本一の座に返り咲くためには、背景やブランドに奢ることなく、真っ向から実力で勝負して、ライバルに勝ち切る強さが求められるだろう。

新型アクアの予約受注は「情報の少なさ」がややネックに?

2021年7月19日、新型アクアが発表、同日発売された。約9年半ぶりのフルモデルチェンジとなる(全長4050×全幅1695×全高1485mm/ホイールベース2600mm)

 6月25日から始まっていたアクアの予約受注は、大きな盛り上がりを見せずに終了した。初代発表から10年が過ぎ、買い替えに動くアクアオーナーは一定数いたが、販売店が期待していた予約台数に達してはいない。

 これは「情報開示が少なく、売りにくかった」ことが、大きな原因となっている。

 予約開始時には明らかになると予想されていた内外装のデザインは、記者発表までベールに包まれたままで、メーカーから販売店へ向けた通達等でも、アクアのデザインは描写されなかった。

19日の記者会見の時に新型の内外装のデザインが判明した。予約受注開始時には、デザインがわからず、アクアというネームバリューで購入するユーザーはいたが、購入をしぶるほうが多かった

 実際にトヨタ販売店で営業スタッフに話を聞くと、こう語ってくれた。

「アクアという名前を信じて購入してくれる人はいますが、デザインがわからないため、多くはクルマを見てからか、カタログが届いてから検討すると言われています。注文数は、まだ想定の半分程度です。実際に注文が大きく動き出すのは、19日の記者発表後でしょう。22日からの4連休が勝負ですね」

 記者発表後は、現在のアクアオーナーへ提案を続けながら、無難な立ち上がりを決めたいところだ。同門のヤリスはもちろん、日産ではノートオーラが発表され、話題を集めている。

 アクアというネームバリューに任せ、販売自体が「待ち」の姿勢になってしまうと、販売施策が失敗する可能性は高い。トヨタ販売店が得意とする、提案主体の営業スタイルが、新型アクアでは特に重要となるはずだ。

ヤリスとの棲み分けは? 販売台数日本一奪還の期待値は「60%」

ヤリスが発売から1年経過したが、販売の勢いは衰えず、2021年6月時点で11万9112台の販売実績を上げている。ユーザー層は、比較的若年層が多い。※集計台数はヤリスクロスも含むシリーズの販売台数

 2021年6月現在の累計で、登録車ではヤリス(編注:SUVのヤリスクロスも含むシリーズ台数)が11万9112台、軽自動車ではN-BOXが10万1454台の販売実績を上げている。

 特にヤリスの販売ペースは、登場から1年以上経過するが衰えを知らない。年間で24万台前後、月販平均は2万台弱という驚異的な販売台数である。アクアがヤリスを超えるのは、至難の業になるだろう。

 現状では、アクアが販売台数日本一の座を取り戻す可能性は、まだまだ低い。しかし、可能性がゼロではないと筆者は考える。アクアのユーザー層は、中高年層が多い。比較的若年からの支持が多いヤリスとは正反対のユーザー構成だ。

 したがって、販売店が棲み分けをできれば、トヨタ内でヤリスとアクアの共食いは最小限に食い止められる。各販売店の管理顧客で、半数以上を占める中高年層ユーザーへアクアを積極的に販売していけば、ヤリスを超える販売実績も、見えてくると思うのだ。

新型アクアの月販目標台数は9800台で、これはヤリスの同7800台より多い。地道な乗換え提案営業を武器に日本一奪還を目指す

 初代アクアは特定のチャネル専売車ではなく、全チャネル取り扱いのクルマだった。各チャネルに満遍なく提案候補のユーザーがいるため、提案型営業に取り組みやすい車種といえる。

 新型アクアが日本一へ復権するために必要なのは、爆発的ヒットではなく、着実な積み上げだ。大振りをせず、コツコツと当てていく。地道な乗り換え提案が、最も効果的な営業活動になっていくだろう。外(他社客)よりも中(トヨタオーナー)へ目を向けたい。

 これを踏まえたうえで、アクアが販売台数日本一に返り咲く可能性は、期待値も込めて60%と予想する。ヤリスの勢いに食らいつきながら、今は、アクアからアクアへの乗り換えをしっかりとすすめて、まずは販売の地盤を固めていきたいところだ。

◆  ◆  ◆

 記者発表まで謎に包まれていた新型アクアが、ついにベールを脱いだ。とても「いい。」クルマに仕上がっているようである。ここからは、「販売のトヨタ」の腕の見せ所となる。

 個人的には、東北復興のシンボルとなったアクアに、再び販売日本一の称号を獲ってもらいたい。新型アクアに期待しながら、販売動向を見守っていこう。

【画像ギャラリー】約9年半ぶりにフルモデルチェンジ!! トヨタ新型アクアの内外装をみる

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みんなのコメント

34件
  • >復興関係ないでしょ
    >被災した沿岸部に工場や関連企業があって大量雇用して沿岸地域に金が落ちていればまだ復興とか言ってもいいけど
    この工場は内陸部でしょ
    復興をいいように使ったビジネスだね
    >アクアが売れて被災地に何かしてんのかな?
    >復興って言えば売れると思ったんじゃない


    アンチの知識、怖いわぁw
  • このクラスの自動車で、¥200万以上し、諸経費オプション等入れたら、¥250〜300万高すぎる。
    収入は少ない割に物価だけはどんどん上がる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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