大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、オーストリア、イギリスと好調な2戦を過ごしたハースとチーム代表の小松礼雄に焦点を当てた。
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【F1チーム代表の現場事情:マクラーレン】新人ボス、ステラの2年目の進化。ドライバーからの批判も真摯に受け止め
2023年にハースは非常に苦労した。予選では強さを見せたものの、レース・パフォーマンスがひどく、思うようにポイントを稼ぐことができずに、コンストラクターズ選手権で最下位10位に沈んだ。そしてシーズン終了後、ギュンター・シュタイナーがチーム代表から退き、小松礼雄がそのポジションを引き継ぐという、体制変更が行われた。
シュタイナーとはアプローチが異なり、エンジニアリングにフォーカスする小松の起用は、当初は少し奇妙にも見えた。しかし彼は、自分が何を達成したいか、どうすればチームを改善できるかについて明確なビジョンを持ち、それをオーナーに対して示していたことがわかった。
今シーズン開始直後からマシンの競争力が向上したことがはっきりしたが、もちろん、今季序盤の改善をもたらした作業のほとんどは、小松が代表に就任する以前に行われていたものだ。小松代表は安堵する暇もなく、新しい役割を担ったことで対応すべき、さまざまな問題に追われることになった。たとえば、ドライバー間のインシデント、多額の損害をもたらすクラッシュ、アップグレード、ドライバーマーケットなど、多岐にわたる多数の問題だ。
スペイン、オーストリア、イギリスは、ハースにとって波乱の3連戦だった。バルセロナで厳しい週末を過ごした後、レッドブルリンクでは、ハースのふたりはレースでトップ10圏内を走った。異なる戦略を採ったふたりは、一時期同じポジションを争い、プレッシャーが高まる場面もあった。しかしチームはその状況をうまく処理し、ニコ・ヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンの両方の気持ちを傷つけないよう気を配りつつ、チームメイト間のバトルで大きく時間をロスすることを避けた。
その結果、ヒュルケンベルグは6位、マグヌッセンは8位を獲得。今シーズンの中団争いが非常に熾烈であることを考えれば、これは素晴らしい結果であり、小松代表もチームの仕事ぶりに満足していた。ふたりが持ち帰ったポイントにより、ハースはコンストラクターズランキングを7位に上げ、後ろを気にするよりも、ひとつ上のRBとの戦いを目指せる立場になった。
次のイギリスGPに向けて、ハースは重要な計画を立てていた。そのひとつは、2025年のドライバー発表だった。木曜朝、2025年のレギュラードライバーのひとりとして、オリバー・ベアマンとの契約を正式に公表。イギリスGPで新たなイギリス人F1ドライバー誕生が発表されたことで、チームには大きな注目が集まった。
イギリスGPでチームが計画していたもうひとつの大きなことは、大規模なマシンアップグレードの投入だった。ここ何年か、ハースは必ずしも常にアップグレードを成功させてきたわけではない。小松代表は、イギリスGP前には、今回のアップグレードについて多くは語らず、まずはコース上でのパフォーマンスを確認しようとしていた。
励みになる金曜日を過ごした後、小松代表は「アップデートは期待どおりに機能した」と述べるにとどまり、それ以上の情報や予測については口にしなかった。そうして迎えた予選はどうだったかというと、ヒュルケンベルグがフェラーリ2台に勝って6位を獲得。しかも余力があったと認めたほどだった。
ハースの新パッケージのパフォーマンスは、決勝でも発揮された。難しいコンディション下で、適切なタイミングでピットインの判断を下すことにより、ヒュルケンベルグは2戦連続で6位を獲得した。今シーズン、中団チームが入賞することがどれほど難しいかを考えると、これは驚異的なリザルトだ。
見事なパフォーマンスを示したレッドブルリンクとシルバーストンには、チームオーナーのジーン・ハースが出席していた。2戦連続で良い結果を記録したことで、小松代表はチームを改善し続けていることを証明し、彼を信頼したのは正しい判断だったことを、ジーン・ハースは実感することができたはずだ。
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