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日野コンテッサ1300クーペ(昭和40/1965年4月発売・PD300型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト029】

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日野コンテッサ1300クーペ(昭和40/1965年4月発売・PD300型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト029】

この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第29回目は、ルノー4CVの流れをくむ4ドア5座RRセダン、日野コンテッサの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

進歩したパワートレーン搭載のスポーティ版も
現在は乗用車部門から撤退している日野自動車工業が、フランスのルノー4CVの国内組み立て(ライセンス生産)を開始したのは昭和28(1953)年のことだった。生産はほぼ10年間にわたって続けられたが(昭和38年まで)、その間、昭和36(1961)年にコンテッサ900がデビューした。

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もちろんルノーの国内組み立てで学んだ技術とノウハウをベースにした作品で、その設計は昭和31年から開始され、 33年1月に試作車第一号が完成している。

コンテッサはリアエンジン車の4CVの流れをくんだ4ドア5座のRRセダンで、エンジンは4CVの748ccを上回る893ccの直4OHVだった。ルノーの影響は設計の至るところに反映しており、当時の欧州車がそうであったようにボア×ストロークも60×79mmの超ロングストロークが採用されていた。

サスペンションもルノーゆずりの前がウイッシュボーン/コイル、後がスイングアクスル/コイルの4輪独立懸架方式が採用されていた。このへんも当時の国産車としては斬新だった。

4CVと異なる最大の特徴は、電磁式ハンドル・チェンジを持ったギアボックスを取り入れたことで、これはRR車固有のデメリットである、長いケーブル操作によるギア・チェンジの不利をなくすためだ。さらに同社は神鋼電機との共同開発による電磁クラッチもオプションとして設定している。

このコンテッサ900の最初のスポーティ版は昭和37(1962)年7月登場のSタイプだが、これだけでは終わらなかった。昭和39(1964)年8月、コンテッサはフルモデルチェンジを行い、4ドアセダンのコンテッサ1300を発売したのだ。

エンジンは新設計のGR100型、直4OHVタイプで排気量は1251cc(71×79mm)、最高出力55ps/5000rpm、最大トルク9.7kgm/3200rpmを発生した。連続高速走行を前提として、耐久性を上げるためクランクシャフトは5個のベアリングで支持され、またバルブ配置はスムーズな吸排気が可能なクロスフロー・タイプを採用するなど、かなり進歩したメカニズムも特徴だった。

スペシャリティカーの始祖として輝く、華やかなクーペ
そして同じ年の12月、ジョバンニ・ミケロッティのオリジナル・デザインによる1300クーペが発表された(セダンもミケロッティ・デザイン)。

このクーペのエンジンは同一排気量ながら圧縮比を8.5から9.0に高め、SUキャブを 2連装して、最高出力65ps/5500rpm、最大トルク10.0kgm/3800rpmを発生した。車重が945kgであるから、馬力当たり荷重は14.5kg/ps(SAE)と当時としては良好なものになる。

1300クーペはミケロッティの傑作のひとつに数えられる。当然のように内外から高い評価を受け、昭和40(1965)年7月イタリアで行われた第5回国際エレガンス・コンクールをかわきりに、昭和41年9月の1966年度国際自動車エレガンス・コンクール(ベルギー)、 昭和42年6月の第4回サンミッシェル自動車エレガンス・コンクール(ベルギー)においてセダン/クーペはともに3年連続して権威の高い名誉大賞を受けている。

スタイルの美しさだけでなく、レースでの活躍もめざましく、昭和41年(1966年)11月の第9回リバーサイド・タイムスGPレース (USA)でクーペが総合優勝し、翌42年のルソン島一周耐久レースでも1、2位を独占した。

国内のレースにおいてもその活躍は目覚しかった。リアエンジンの特徴である、オーバーステア気味の操縦特性はかなり顕著だったし、高速での直進安定性にはやや問題はあったものの、ラック&ピニオン式のステアリング・システムはシャープなステアリング・レスポンスを示す。またサスペンションにしてもロールを十分に抑えた設定となっており、そのハンドリングにはきわめてスポーティかつユニークなものがあった。

価格は85万8000円と、フェアレディ1500(88万円)よりわずかに低く設定されていたが、ウッドパネルのインストルメント・パネルなど内装にも行き届いた配慮がなされ、スポーツ・タイプである以上に日本で初めてのスペシャリティカー的な性格を備えたモデルとして、特異な存在となっていた。またDOHCエンジン搭載の計画もあったがそれは実現せず、昭和42(1967)年8月に生産終了となった。

HISTORY&IMPRESSION
HISTORY
<コンテッサ900>
日本最古の自動車メーカー日野自動車(当時日野ヂーゼル工業)は昭和28年にルノー公団と技術提携に調印、ルノー4CVを国産化。その技術を生かしコンテッサ 900を36年に発売、そして39年にコンテッサ1300が誕生する。日野自工は41年、乗用車部門から撤退を決定したため3年余しか生産されなかった。

IMPRESSION
オリジナルの4ドアセダンはコラム式MTが標準だったが、クーペはフロア4速でグッとスポーティ度を上げたモデル。コーナリングでテールヘビーを感じさせるのは、設計上フロントが軽すぎたためだろう。それでもOHVエンジンはトルク特性に優れ、とても使いやすかった。最高速度は145km/h程度だったが、運動性能は個性的で楽しいものだ。

日野コンテッサ1300クーペ(PD300型)諸元
●全長×全幅×全高:4150×1530×1340mm
●ホイールベース:2280mm
●車両重量:945kg
●エンジン型式・種類:GR100型・直4OHV
●排気量:1251cc
●最高出力:65ps/5500rpm
●最大トルク:10.0kgm/3800rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:5.60-13 4PR
●新車価格:85万8000円

[ アルバム : 日野コンテッサ1300クーペ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

5件
  • che********
    25年ぐらい前、当時地元の人里離れた少々山奥にあった怪しげな解体屋さんで、4段ぐらい積まれたいちばん下にこれがあって驚いたことを思い出す。
  • kit********
    クラッチペダルがないと思ったらこういうことか
    ただでさえめずらしいノニ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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