北米が誇る自動車界の祭典『Monterey Car Week(モントレー・カー・ウイーク)』の一環として、世界的に有名なアメリカ西海岸“Pebble Beach(ペブルビーチ)”にて、メルセデスAMG製のトラック専用スペシャルモデル『Mercedes-AMG GT3 Edition 130Y Motorsport(メルセデスAMG GT3エディション130Yモータースポーツ)』が発表された。
同ブランドのモータースポーツにおける130周年の歴史を祝う同車は、この2024年初頭にジュール・グーノンの手で豪州大陸の“聖地”マウント・パノラマのラップレコードを破った“アンリミテッドGT3”をベースとし、わずか13台のみの生産が予定されている。
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ファクトリードライバーの手で非公式のラップ記録を樹立した“魔改造”メルセデスAMG GT3エボと同じく、エアリストリクターがないことに加えて特別な排気システムの装着により最高出力680HP(500kW)、最大トルク730Nmを発揮するAMG製の6.3リッターV8自然吸気エンジンを搭載。
さらに軽量構造コンセプトと重量配分が最適化されたカーボンコンポーネントやマグネシウムホイールにより、この特別モデルは空車重量1275kgとAMG GT3史上最軽量版とされ、これにより2kg/hp未満という驚異的なパワーウェイトレシオを実現している。
車体側では、ダウンフォースを最大化するように再設計されたルーバーを筆頭に、アンダーボディのスプリッターや拡張されたアクティブエレメント、サイドスカート、リヤディフューザーを備え、さらにワイド化されたリヤウイングはF1やDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)から着想を得たDRS(ドラッグ・リダクション・システム)を備え、その作動時にはドラッグが低減され315km/h以上の最高速を可能とする。
これにより垂直荷重の増した前後アクスルでは、公認GT3車で必須のスチールブレーキではなく、カーボン製のブレーキローターに置き換えられている。
■次期GT3車両の搭載エンジンはターボか
エクステリアデザインはメルセデスAMGのレースの歴史を彷彿とさせるもので、シルバーは1950年代のシルバーアローに敬意を表し、ブルーは1952年にカレラ・パナメリカーナとル・マン24時間レースの双方で優勝した『メルセデス300SL』を直接的に反映したもの。
同じくインテリアでも、ひと際目を惹くシートの青いチェック柄の生地は、1955年にファン-マヌエル・ファンジオやスターリング・モスらがドライブした『300SLR』にインスピレーションを得ている。
この発表に際し、メルセデスAMGはこのクルマが「自然吸気エンジンを搭載した最後のGT3モデルになる」と明言しており、これにより直近にも設立された子会社アファルターバッハ・レーシングGmbHによって現在も開発が続く後継車には、ターボエンジンが搭載されることがほぼ確定した。
「このユニークな『Mercedes-AMG GT3 Edition 130Y Motorsport』は、現在の当社のモータースポーツ・ポートフォリオの頂点に立つものだ」と語るのは、メルセデスAMGモータースポーツの責任者であるクリストフ・サゲミュラー。
「世界13台限定というだけでなく、当社の象徴的なAMG製6.3リッターV8自然吸気エンジンを搭載した最後のGT3バージョンでもある」と、一説には新型AMG GTクーペではない別モデルの可能性が囁かれる次期GT3車両の搭載エンジンも示唆したサゲミュラー。
「この限定版では、公式のホモロゲーション認証以外で“何ができるか”も示しており、数多くの技術的改良と軽量コンポーネントを統合している。このように当社は記念すべき年に新たなマイルストーンを設定し、関心のあるユーザーに提供していくつもりだ」
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