■マツダのFR戦略の本命はCX-80!
昨今はSUVの人気が急上昇しています。日本で新車として売られる小型/普通乗用車の約30%を占めており、25%のミニバンを追い抜きました。
しかもSUVは海外でも堅調に売れることから商品開発も活発で、車種の数も増えています。そのためにSUVが売れ行きを一層増やす好循環が生まれました。
【画像】5m超の巨大ボディがスゴい! マツダの最上級SUV「CX-90(米仕様)」の画像を見る(34枚)
各メーカーともSUVに力を入れていますが、マツダは特に熱心です。OEMを除くと、マツダは国内で10車種を販売していますが、この内の6車種がSUVです。
マツダはもっとも設計の新しいSUVとして、「CX-60」を2022年に発売しました。新開発の後輪駆動ベースのプラットフォームを使い、エンジンを縦向きに搭載。直列6気筒3.3リッタークリーンディーゼルターボを選べることも特徴です。
ただし新しいプラットフォームと直列6気筒エンジンをセットで開発すると膨大な費用を要します。コスト回収のために大量に生産する必要もあり、今後は同じプラットフォームとエンジンを搭載する複数の新型車が投入されることになっています。
上級セダン/ステーションワゴンの「マツダ6」もおそらくこのなかに含まれ、新型は直列6気筒エンジンを搭載する後輪駆動車に発展するでしょう。
マツダ6は2022年12月に、ディーゼルエンジンとパワーステアリングなどを改良したほか、運転支援機能の充実、特別仕様車を含むバリエーション追加などをおこなっており、新型が登場するのは2024年以降になりそうです。
そうなると次に登場する直列6気筒エンジン&後輪駆動プラットフォームを採用する車種は、新型SUV「CX-80」になると思われます。販売店では「詳細な発売日は不明ですが、2023年中には登場するでしょう」と述べています。
新型CX-80はCX-60とエンジンやプラットフォームを共通化した、3列シートを備えたSUVです。マツダは2023年2月に北米で新型「CX-90」を発表しましたが、CX-80はこれをベースに開発されます。
開発手法は、日本で販売されている3列シートSUVの「CX-8」と、北米で売られる「CX-9」の関係に似ています。CX-8は「CX-5」のロング版に見えますがそうではなく、実際はCX-9の幅を狭めて造られました。
新型CX-80も同様に、CX-60のロング版に見えますが、車両の造りはCX-90の幅を狭めたものになりそうです。
新型CX-80のボディサイズを予想すると、全長はCX-90と同程度で、5100mm前後でしょう。全幅はCX-90よりは狭く、CX-60に比べると若干広い1910mm程度になりそうです。全高はCX-60よりも少し高い1730mm前後。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はCX-90と同じ3120mmと考えられます。
新型CX-80のボディはラージサイズSUVのなかでも大きな部類に入り、3列シートを装着するために、2列シートのCX-60よりも、全長は約360mm、ホイールベースも250mmくらいは拡大されそうです。
また現在3列シートSUVとして販売されている前輪駆動のCX-8に比べると、新型CX-80は全長が約175mm、ホイールベースも190mm程度は長くなるでしょう。
新型CX-80はエンジンを縦向きに搭載する後輪駆動になるため、前輪がCX-8よりも前方に移動して、ボンネットも伸びますから、居住空間が同程度でも全長とホイールベースは拡大されるのです。
ちなみに2列シートのCX-60の居住空間は、前後方向については前輪駆動のCX-5と同程度です。それでもCX-60は後輪駆動になるため、全長はCX-5よりも165mm長く、ホイールベースも170mm上まわっています。これと同様のことが、CX-8と新型CX-80にも当てはまると推測されます。
そして新型CX-80の発売を受けて、少し時間差が生じる可能性はありますが、CX-8は生産を終えるでしょう。
■マツダのSUVラインナップはどうなる?
今後は新型CX-80がマツダの最上級SUVになり、その下にCX-60、CX-5、CX-30とラインナップが続きます。
このSUVラインナップを見ると、CX-60とCX-5は、性格が重複しやすいです。前述の通りボディはCX-60が少し大きくても、車内の広さに大差はありません。
価格は装備とのバランスを見るとCX-5が割安ですが、CX-60にも、300万円以下に抑えた2.5リッターガソリンエンジン搭載の「25S・Sパッケージ」があります。
現時点でCX-60には、後輪駆動のSUVという個性がありますが、レイアウトが同様のCX-80が発売されるとそれも薄れます。
CX-60は、車両の性格をスポーティに仕上げており、特に4WDモデルは足まわりを硬めに設定したことで、車両の進行方向を機敏に変えやすい特性になっています。
CX-60は、将来的には新型CX-80のショートホイールベース仕様に位置付けられ、同様のパワーユニットを搭載しながら走りの良さを強調。そこを見越して、CX-60は足まわりを硬めにセッティングしたといえそうです。
そのため、販売店でCX-60を試乗して、スポーツ性が強すぎると感じたら、新型CX-80を待つ方法もあるでしょう。
前述の通り、新型CX-80のホイールベースは3120mmになりそうですから、CX-60よりも約250mm長く、足まわりもマツダの最上級SUVとして快適性を重視するため、ステアリング操作に対する反応の仕方が穏やかになって乗り心地も柔軟な印象に変わり、基本的な機能は共通でも車両の性格はスポーティなCX-60とはかなり違うものになるでしょう。
また、そんなスポーティなCX-60は、現在の「エクスクルーシブスポーツ」よりもさらに高性能化されたグレードを将来的に投入する可能性もあるのではないでしょうか。
また、新型CX-80は最上級SUVになることから、価格も高くなると考えられます。
CX-60のノーマルタイプの直列6気筒3.3リッターディを搭載したグレードの価格帯は320万円から470万円。CX-8の直列4気筒2.2リッターディーゼルが330万円から490万円であることを考えると、新型CX-80の直列6気筒3.3リッターディーゼル搭載車は370万円から520万円に達すると思われます。
また、2.5リッタープラグインハイブリッドを搭載する最上級グレードは680万円前後となることが予想されます。
そしてCX-5は、後輪駆動によるスペシャルティなCX-60、新型CX-80とは異なり、直列4気筒エンジンのみを搭載する実用的な前輪駆動ベースの代表車種として進化するでしょう。全長も4600mm以下に収まるため、CX-60に比べて運転しやすく、車内の広さは同程度ですから空間効率も優れているほか、売れ筋の価格帯もCX-60に比べて安いです。
マツダのミドルサイズ以上のSUVは、大量な販売を目的とした買い得で実用的なCX-5、運転の楽しさを追求するスポーツ志向のCX-60、上級ワゴンの快適性と多人数乗車の機能を兼ね備えたプレミアムな新型CX-80をそろえ、駆動方式やエンジンの個性を生かした新たなラインナップを築くことになりそうです。
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