この記事をまとめると
■トヨタ・クラウンがフルモデルチェンジ
「クラウン原理主義者」も「SUV好き」ももうちょい待て! クラウンクロスオーバーを買っていい人ダメな人
■これまでの15代続いたクラウンからコンセプトを大幅に変更した
■今回はクラウンクロスオーバー、クラウンスポーツのライバル車を考えてみた
クラウンクロスオーバーのライバルは身内か
クラウンがフルモデルチェンジを行って路線を大幅に変更した。一般的にフルモデルチェンジで、コンセプトまで変える車種は少ないが、クラウンはそこに踏み込んだ。日本向けのセダンとして開発された先代型は、売れ行きが低迷して、登録台数は最盛期の10%だ。これでは車種の廃止に至るから、新型クラウンクロスオーバーは、海外でも販売できる人気カテゴリーのSUVになった。
トヨタではクラウンクロスオーバーの月販基準台数を3200台にしている。新型コロナウイルスの問題が深刻化する前の2019年、モデル末期だったハリアー、エクストレイル、先代クラウンの1カ月平均登録台数は約3000台だった。この売れ行きを考えると、3200台は妥当に思えるが、苦戦する可能性も高い。
その理由は2つある。まずはクラウンクロスオーバーの機能とデザインだ。SUVとして見ると、クラウンクロスオーバーはセダンスタイルだから、荷室の使い勝手が良くない。セダンと考えると、外観のフォーマルな雰囲気が乏しい。発売後の約半年は好調に受注するが、その後は失速することも考えられる。
2つ目の理由は、今後1年から1年半ほどの間に、既に外観が披露されているクラウンスポーツ、クラウンエステート、クラウンセダンも発売されることだ。クラウンクロスオーバーは、これらの身内にも顧客を奪われる。
そこでクラウンクロスオーバーのライバル車を考えたい。売れ筋価格帯が450~650万円のSUVがライバル車に想定され、とくに強敵になるのが同じトヨタ車のハリアーだ。ハリアーは上級SUVの定番で、今は同じ店舗で購入できるから必ず比較される。
さらに、クラウンクロスオーバーの買い得グレードとなるGアドバンストの価格を見ると、直列4気筒2.5リッターハイブリッドと4WDのE-Fourを搭載して510万円だ。ハリアーは、クラウンクロスオーバーと同じパワーユニットを搭載するハイブリッドZ・E-Fourが484万8000円になる。
クラウンクロスオーバーGアドバンストの価格は、ハリアーハイブリッドZ・E-Fourに比べて25万2500円高いが、クラウンクロスオーバーはハリアーに比べてボディがひとまわり大きい。後輪操舵のDRSも全グレードに標準装着するから、一概に割高とはいえない。
クラウンスポーツのライバル車は走りに重点を置いた個性派SUV
一方、クラウンスポーツは、現時点では販売されていない。販売店でも「価格などの詳細は不明」としているが、ボディサイズは、全長が4710mm、全幅は1880mm、全高は1560mm、ホイールベースは2770mmだ。クラウンクロスオーバーに比べると全長は220mm、ホイールベースは80mm短く、全幅は40mmワイドだ。
クラウンスポーツのプラットフォームはクロスオーバーと共通だが、文字どおりスポーティな運転感覚を目指す。このライバル車は、CX-60とアウトランダーだ。CX-60はハイブリッドではなくクリーンディーゼルターボが注目され、直列6気筒3.3リッターで、後輪駆動とこれをベースにした4WDを搭載する。適度に良く曲がるスポーティな走りが特徴だ。CX-60にクリーンディーゼルターボとマイルドハイブリッドシステムを加えたXDハイブリッドエクスクルーシブスポーツの価格は、4WDを搭載して505万4500円だ。クラウンスポーツの価格は未定だが、クロスオーバーの買い得グレードとなるGアドバンストの510万円に近い。
アウトランダーはプラグインハイブリッド専用車で、4輪をモーターで綿密に制御する。その効果により、峠道のコーナーを積極的に曲がる時などは、不自然に思えるほど車両が機敏に内側を向く。運転感覚の好みはユーザーによって分かれるが、走りにサプライズがあり、面白さを求めるならピッタリだ。買い得グレードは最上級のPで、プラグインハイブリッドや本革シートなども備えて価格は548万5700円だから、買い得感がある。以上のように、クラウンスポーツのライバル車は、走りに重点を置いた個性派SUVだ。
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