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先端技術満載で公道走行可能 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX コンセプトへ試乗 航続1126km以上 前編

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先端技術満載で公道走行可能 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX コンセプトへ試乗 航続1126km以上 前編

100kWhのバッテリーで航続距離1126km

グレートブリテン島の中南部に位置するロンドンから、北端のジョン・オ・グローツという町まで、無充電で走破できるバッテリーEV(BEV)を想像して欲しい。片道約1100kmある。しかも、走行速度や快適性、運転の楽しさを両立させたモデルを。

【画像】近未来メルセデス・ベンツ ビジョンEQXX 最新スーパーカーのAMG ワンとBEVサルーン 全94枚

確かに、現在の量産モデルには存在しない。だが、ドイツの老舗メーカーは実現可能だと考えている。今回筆者が試乗したコンセプトカー、メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXXは、それを証明する実力を披露してくれた。

滑らかなボディを持つ後輪駆動のBEVサルーンは、最新のパワートレインや空気力学、軽量な車体構造などのショーケース的役割を担っている。メルセデス・ベンツは、将来の量産モデルを見据えた内容だと説明する。

肝心の電費効率は、12.0km/kWh。最近発売されたメルセデス・ベンツEクラスに相当するBEV、EQEの2倍というエネルギー効率を実現している。専用開発の駆動用バッテリーの容量は100kWhで、航続距離は1126km以上が主張されている。

ちなみに、後輪駆動のEQE 350の場合、駆動用バッテリーの容量は90.6kWh。航続距離は659kmとなっている。

ビジョンEQXXが搭載する駆動用バッテリーは、中国のCATL社によって新開発されたリチウムイオン。電圧900Vで稼働し、体積1L当たり400Whという高いエネルギー密度を誇る。同等の容量で比較し、従来のバッテリーより50%小さく、30%軽量だという。

公道走行可能な先端コンセプトカー

さらにEQXXで注目すべき点が、多くのコンセプトカーとは異なり公道走行が可能ということ。すでに一般道での実験走行も2度実施済みで、過去にはドイツ・シュツットガルトから英国南部のグッドウッドまで、約1200kmを無充電で走破している。

その時にステアリングホイールを握ったのは、高度に訓練されたテストドライバー。リアルタイムにドイツの拠点とデータ通信され、技術者と密に連絡を取り合って達成したロングドライブだった。

これまでの試験を経て、メルセデス・ベンツはEQXXの能力に確信を抱いたようだ。どんなドライバーが運転しても、優れたエネルギー効率を引き出せるという自信を持っている様子。筆者にも実際に体験して欲しいと、クルマのカギを貸してくれるほど。

この滑らかな4ドアサルーンの車内へ入るのは、今回が2回目。AUTOCARを定期的にお読みいただいている方なら、2022年の春にアップした同乗レポートを目にされているかと思う。

ゆっくりと、限られたルートを往復するだけではない。ドイツ南部、インメンディンゲンの広大なテストコースと、その周辺に広がる一般道を本格的に運転させてもらうことができた。

運転席へ座る前に、改めてこのクルマの概要をお伝えしよう。横から見るとティアドロップ状の流線型ボディの後端には、モーターで展開するディフューザーを含む、多彩なアクティブエアロが実装されている。空気抵抗を示すCd値は0.17と、驚くほど低い。

244psのシングルモーターで車重1755kg

ビジョンEQXXの出発点となったのが、メルセデス・ベンツEQBのプロトタイプ。通称「エマ」というクルマだった。2021年に製作され、最新のドライブトレインやソフトウエア、パッケージング、耐久性、エネルギー効率の試験に用いられている。

プラットフォームは、メルセデス・モジュラー・アーキテクチャ(MMA)と遠い親戚関係にあるという、専用開発のもの。なお、MMAは2025年前後に発売となる、EQCなどへ採用される。

EQXXは、全長が4977mm、全幅1870mm、全高1350mmというサイズを持ち、現行のCクラスより226mm長く、50mm広く、105mm低い。一方でホイールベースは40mm短い、2800mmとなっている。

ボディ構造には高張力鋼板が用いられ、ドアはカーボンファイバー製、ブレーキディスクには特殊なアルミニウムが採用されている。駆動用モーターも、重さを意識し1基のみ。多様な軽量化対策の結果、車重は1755kgに抑えられた。

その駆動用モーターも、メルセデス・ベンツの高性能パワートレイン部門によって開発された、特別な永久磁石同期ユニット。最高出力は244psを発揮する。後輪駆動で、シングルスピードのトランスミッションが組まれている。

仕様の確認はこのくらいにしておこう。さて、運転席側のドアは大きく開く。全高は抑えられているが、見た目以上に乗り降りしやすい。

フロントシートはハードシェルで支えられ、クッションはソフト。フラットで、横方向のサポート性は期待できない。着座位置が低い一方、ペダルの取り付け位置は高めで、ドライビングポジションはスポーツカー・ライクだと感じた。

この続きは後編にて。

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