現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【新エンジンの洗練度は過去最高】ランドローバー・レンジローバー D350 MHEVへ試乗 直6ディーゼル+ISG

ここから本文です

【新エンジンの洗練度は過去最高】ランドローバー・レンジローバー D350 MHEVへ試乗 直6ディーゼル+ISG

掲載 更新 1
【新エンジンの洗練度は過去最高】ランドローバー・レンジローバー D350 MHEVへ試乗 直6ディーゼル+ISG

3.0L直列6気筒ディーゼル+48VのISG

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)

【画像】ランドローバー GLSとベンテイガ 全123枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


50年に及ぶ歴史を持つ、ランドローバー・レンジローバー。これまで、燃費を気にするべきではないと考えてきたオーナーも多いはず。

確かにこのクラスのSUVを新車で買える人なら、必要なガソリン代くらいは払えるだろう。初期のレンジローバーの燃費は、4.2km/L前後。むしろ昔は、ガソリン代を心配しなくていい財力を持つ、という自慢のような雰囲気もあった。

しかし近年は違う。大型高級SUVであっても、エネルギー効率とCO2の排出量を配慮する必要がある。そして、メーカーは努力と成果を大きな声で主張する。世界の環境基準は厳しくなる一方だ。

ジャガー・ランドローバー(JLR)も、蚊帳の外にはいられない。レンジローバーのモデルチェンジが2021年へと控える中で、マイルド・ハイブリッド(MHEV)版が追加された。たとえ1週間でも、無駄にはできないと考えているのだろう。

3.0Lの直列6気筒ディーゼルエンジンに、2種類のマイルド・ハイブリッドが設定される。D300とD350だ。レンジローバーには、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)版も存在し、発売から1年近くが経つ。でも、このマイルド・ハイブリッド版とは別物。

エンジンは、モジュラー設計によるオールアルミ製のインジニウム・ユニット。4気筒と6気筒を、英国ウォルヴァーハンプトン郊外の近代的な工場で作り分けている。ランドローバーだけでなく、ジャガー・ブランドのモデル用としても。

従来までの、フォード由来のV6とV8エンジンが置き換えられる。ランドローバーにとっては、生産効率でのメリットも大きいはず。

50年の歴史で最も洗練されたエンジン

今回試乗したのは、D350。WLTP値での燃費は10.9km/Lで、CO2の排出量は241g/kmとなる。最高出力は350ps、最大トルクは71.2kg-mと充分にたくましい。0-100km/h加速は、先代のV8エンジン版より0.7秒短く、7.1秒でこなす。

試乗車はオートバイオグラフィーと呼ばれるグレードで、21インチのホイールを履く。最高速度は225km/hだ。

JLRによれば、直列6気筒ディーゼルのマイルド・ハイブリッドでは、CO2の排出量を13%ダウン。パフォーマンスを向上させつつ、NOxの排出量も削減しているという。

大雑把にいうと、先代のV8エンジンに匹敵する動的性能を得つつ、先代のV6エンジン相当の車重に留めている。そうはいっても、2275kgある。

V8エンジンと比較すると、フロント周りが主に軽くなっている。前後の重量配分が改善されることで、走りも良くなるはず。実際コーナーを曲がってみたが、印象は特に従来と変わらなかった。

試乗車で一番印象深く感じたのが、直6エンジンの滑らかさと静かさ。ランドローバーも強調する部分だ。エンジン始動時やアイドリング時のあまりの静かさには、驚かされる。

走行中は、不足ないパワーとトルクがリニアに湧き出る。レンジローバーに積まれたユニットとして、最も洗練されたものだといっていい。ガソリンエンジン版を凌駕している。

エンジンのオートストップ・スタート機能も付く。でも、ほとんど感知させないほど、動作は目立たない。

長距離でも一切の苦労知らずという特長

トランスミッションをスポーティなモードに変え、アクセルペダルを深く踏み込み、キックダウンさせて全力加速を試みる。そうしてやっと、ガラガラしないエンジンサウンドが、遠くから聞こえてくる。アクセルペダルの操作に対する振動も、ゼロといっていい。

パワートレインからのノイズはほぼなく、独立懸架式のサスペンションはとてもしなやか。長距離でも一切の苦労知らずといえるレンジローバーの長所を、さらに高めている。

エンジンが静かだとしても、風切り音やロードノイズ、トランスミッション・ノイズなど、余計な音が引き立つこともない。ランドローバー本社からロンドン郊外に向けて、積極的に運転してみたが、筆者が経験した中で最も静かで落ち着いた走りの1つだった。

新しいパワートレインは、次期レンジローバーに搭載されてもおかしくない仕事をしている。イチオシのユニットといえそうだ。

試乗では、レンジローバーのコーナリング能力を見極められるだけのペースでは走れなかった。だが、電動のパワーステアリングは、改善の余地があるだろう。適度に反応は良いものの、軽すぎる。

ブレーキは素晴らしい。強力で制動力の調整もしやすい。大きなペダルの踏みごたえも、しっかりしている。以前のレンジローバーは、強いブレーキングで自重にうろたえることがあった。しかし、そんな悪癖も昔の話だ。

動的性能と経済性の両面で魅力を増した

今回の試乗では200kmほどの距離を、交通の許す範囲でハイペースに走行したが、得られた燃費は11.7km/L。少し甘めに出る傾向があるから、実際は11.0km/Lくらいかもしれない。それでも、悪くない数字だといえる。

正面面積が大きい大型SUVだから、高速なほど燃費も悪くなるが、パフォーマンスを考えれば評価できる。日常的な運転環境なら、カタログ値の10.9km/Lの燃費を出すことも、英国なら難しくないだろう。

新しいパワートレインを搭載したレンジローバー D350は、動的性能と経済性の両面で、大きく魅力を増したといえる。最高出力300ps、最大トルク66.2kg-mに8速ATが組み合わされた、より安価なD300も、訴求力は高いはず。

両者の違いの差を感じるには、直接乗り比べて確かめるしかない。D300も、基本的にはD350並みに優秀なのだろう。

ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)のスペック

価格:8万5995ポンド(1160万円)
全長:5000mm
全幅:1990mm
全高:1836mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:10.9km/L
CO2排出量:241g/km
乾燥重量:2275kg
パワートレイン:直列6気筒2997ccツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

こんな記事も読まれています

雨の日の死傷事故は晴れの日の4倍!? いま濡れた路面でもきちんと止まる「低燃費タイヤ」が増えている理由とは
雨の日の死傷事故は晴れの日の4倍!? いま濡れた路面でもきちんと止まる「低燃費タイヤ」が増えている理由とは
VAGUE
日産「新型2ドアクーペ」発表! 「匠の手組みエンジン」搭載&迫力フェンダー採用! 深夜な“紫”も超カッコイイ「Takumi Edition」米に登場
日産「新型2ドアクーペ」発表! 「匠の手組みエンジン」搭載&迫力フェンダー採用! 深夜な“紫”も超カッコイイ「Takumi Edition」米に登場
くるまのニュース
これは便利だ! サイズ調整できる傘型サンシェード
これは便利だ! サイズ調整できる傘型サンシェード
月刊自家用車WEB
いざ冒険の旅へ。スバルで巡る八丈島ドライブ【フォレスター・クロストレック】
いざ冒険の旅へ。スバルで巡る八丈島ドライブ【フォレスター・クロストレック】
グーネット
ハンドメイド「タイレルP34」とF3000「レイナード93D」を7月14日開催「サンブレフェスタ(道の駅おおた)」に展示決定!
ハンドメイド「タイレルP34」とF3000「レイナード93D」を7月14日開催「サンブレフェスタ(道の駅おおた)」に展示決定!
外車王SOKEN
待たせたな!! [新型フォレスター]は燃費大幅アップ間違いなし! スバルの次世代[e-BOXER]はトヨタのTHSをついに搭載へ
待たせたな!! [新型フォレスター]は燃費大幅アップ間違いなし! スバルの次世代[e-BOXER]はトヨタのTHSをついに搭載へ
ベストカーWeb
「高速のコース特性」が原因か。ルクレールとサインツがスペインGPの苦戦は上海に似ていると分析
「高速のコース特性」が原因か。ルクレールとサインツがスペインGPの苦戦は上海に似ていると分析
AUTOSPORT web
ベスパ「LX 125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ベスパ「LX 125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
一人でくつろぐには最高の空間! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
一人でくつろぐには最高の空間! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
受注停止で待てないから即納中古は!? [ヤリスクロス]の中古がとんでもないことになっていた
受注停止で待てないから即納中古は!? [ヤリスクロス]の中古がとんでもないことになっていた
ベストカーWeb
HRC USが2025年からメイヤー・シャンクと提携しIMSAでの役割を拡大。2台のARX-06を投入へ
HRC USが2025年からメイヤー・シャンクと提携しIMSAでの役割を拡大。2台のARX-06を投入へ
AUTOSPORT web
WTRアンドレッティ、2024年限りでアキュラ/HRC USとの提携を終了「別の方向に進む必要がある」
WTRアンドレッティ、2024年限りでアキュラ/HRC USとの提携を終了「別の方向に進む必要がある」
AUTOSPORT web
なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
ベストカーWeb
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
グーネット
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
ベストカーWeb
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
グーネット
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
AUTOSPORT web
ディーラーOPチラシで見る“名車・迷車の魅力”『TOYOTA スプリンター(80系)』
ディーラーOPチラシで見る“名車・迷車の魅力”『TOYOTA スプリンター(80系)』
グーネット

みんなのコメント

1件
  • レンジーローバーも、フォード製のV6とV8エンジンを自社のセッティングして採用してたが、先だって直6ガソリンエンジンをBMWから供給され今回は、直6ディーゼルエンジンのお披露目。
    次はV8もBMWのV8を自社設定にセッティングして出して来る話だから、前回BMWの傘下にランドローバーが入ってた時にランドローバーへの評価が上がったから、今回も二匹目のドジョウの狙いかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835.03267.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.04200.0万円

中古車を検索
レンジローバーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835.03267.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.04200.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村