クルマの進化は止まらない! ということで、新しい機能も理解が追いつけないほど実用化されている。でも本当のところその機能は私たちのカーライフを本当に便利に、安全にしてくれているのか? 今回は、ぶっちゃけどうなの? を使用者の生の声をいつも耳にしているディーラーの営業マンの声を参考に検証してみたい。
文/関谷明日香、写真/トヨタ、写真AC
使い方がわからない、使ってない…これ、いらなくないか…と愚痴りたくなる余分な機能5選!
ストレスを感じることのほうが多い!? 「タッチパネル」
タッチパネルは便利ではあるが、指先が乾燥していたりすると反応しないことも。反応速度が遅いと、イライラのもとに……。また、ミスタッチも多くなってしまう。タッチパネルの操作時間は物理ボタンの数倍もかかるという実験データも報告されている
最近のクルマは鍵をシリンダーに差して回してエンジンをかけるという機械的なシステムのものも少なくなってきている。インパネまわりも同じで、ボタン操作ではなくタッチパネル式が主流。
知り合いのディーラーの営業マンによれば、「インパネまわりがシンプルでスッキリするのは良いのだが、指で同じ画面をベタベタ触り、指跡が付くのが気になる」と、タッチパネルが好きではないというお客さんは多いのだとか。
筆者のクルマもタッチパネルなのだが、反応が悪い時があり、「ちょっと、そっちじゃない!」と思わずツッコミたくなることも多い。加えて、運転しながらモニターをチラチラ見ながら操作しなくてはいけない、クルマが揺れると操作しづらいなど、けっこうストレスだ。
ひとつひとつボタン操作をするという”アナログ感”がちょっと面倒くさいが、今考えると使いやすかったなぁっと懐かしく思う人も少なくないはずだ。
結局、自力駐車になってしまいがちな「自動駐車機能」
自動駐車機能は多種多様。トヨタのパーキングアシストだけでも5種類もある。最高レベルと言えるのは、アドバンストパークで、区画線で区切られた場所での縦列駐車はもちろんのこと、事前に駐車位置を登録すれば区画線のない駐車場など、さまざまな環境下での駐車操作をアシストしてくれる(画像はシエンタ)
クルマを運転していて、苦手なことのトップ3に入るであろう駐車。特に初心者の人にとっては、かなりハードルの高いテクニックと感じるはずだ。
近年、そんな駐車嫌いのドライバーにとっては救世主とも言えるシステムが実用化され、搭載車も急増中。それが自動駐車機能だ。スイッチを押すだけでハンドルやアクセル、ブレーキを自動で制御して、ほぼ自動で車庫入れや、駐車ができてしまうのだ!
しかし、ほんとに便利で実用性の高い機能かというと、実際のところそうとも言い切れない模様。
自動駐車機能搭載車オーナーばご存じだろうが、使用するためにはいくつかの制限があるのだ。例えば、路面が土や砂利のような白線のない駐車場などには対応していなかったり。また、たとえ白線があってもかすれていたりすると使えないなど……。
白線問題に関しては徐々に改善され、ヤリスのアドバンスト パークシステムのような事前に登録した自宅の駐車場や、停めたい駐車枠の近くでスペースを読み込ませて登録すれば白線がなくても駐車ができるようなシステムも開発されてはいるが……。
こちらは実際に営業マンが自動駐車機能搭載車を購入した顧客から聞いた話。「空いてる平日ならまだしも、混んでる休日とかにいちいち登録して→読み込ませて→なんて正直やってられない。結局、いつも自力運転で駐車しちゃってる。なんかハイテクでカッコいい! と思って搭載車にしたけれど、いらなかったかな」。
いずれにせよ、ひと口に自動駐車機能といっても、できること、できないことがシステム(車種)ごとに異なっているというのも機械が苦手という人にはツラいところ。購入時には、システムの違いはしっかり理解しておくことは必須だ。
キャンセルするならはじめから付けないでしょ「アイドリングストップ」
アイドリングストップ機能搭載車ユーザーに聞くと、キャンセルを頻繁にしているという声も多い。「それならいらないじゃん!」と言いたいところだが、環境保護に観点からすると、それは言っちゃいけないことなのだ……
ご存じのとおり、アイドリングストップとは信号待ちや渋滞などで一時的に車両を停車するとエンジンが自動的に停止する機能のこと。
2019年10月1日より導入された「グリーン化特例」をきっかけにさまざまな自動車メーカーが燃費が良く、環境に優しいクルマを続々リリース。その頃からアイドリングストップ機構が標準装備されている車両が増えていった。
地球への配慮という面ではとても意義深い機能とは言えるのだが、実際に使っていると、正直「うっとうしい」と思ってしまうことが多いというのが本音。
先の営業マンもアイドリングストップ機能搭載車を薦めると、「環境のためとは思うけど、エンジンが再始動する時の”間”がかなり気になるし、バッテリーやタイミングベルトなどの消耗が早くなるって聞いたんだけど……。購入者側のメリットを何も感じない」と厳しいお声をいただくこともあるそうだ。
「お客様が搭載車を購入したとしてもアイドリングストップキャンセラーで使えないようにはできますよ」と説明すると、「使わないなら、最初からなしのクルマでいいよ」と返答されるらしい(笑)。
ちなみに、アイドリングストップ機能が付いているとバッテリーの寿命が短くなるというデメリットがありつつも、環境のためには付けるべきと言われるが……。実は、バッテリー交換の頻度が上がることで環境への負荷が大きくなるという指摘もある。「えっ、付けるメリットないじゃん!!」と、思わず叫びたくなる人も多いかもしれない。
ディーラーにとっては稼ぎ頭!? 「デジタルインナーミラー」
デジタルインナーミラーを標準装備とする車種は増加傾向に。もちろん、ディーラーオプションやアフターパーツによる後付けも可能。ディーラーオプションとした選択する人も多いという(画像は新型プリウス)
リアウィンドウ上部に設置されたカメラの映像を液晶ディスプレイに映し出すシステムが「デジタルインナーミラー」。メリットは、車内の影響を受けずに後方を表示できるというところ。
筆者のクルマはデジタルインナーミラー搭載車ではないので、いまだ抵抗を感じる装備だが……。
実際、通常のミラーに慣れていて、デジタルインナーミラーには違和感を覚えるという人も多いらしく、先の営業マンも「イマイチ使いづらい」、「目が疲れる」などと愚痴られることが多い機能なのだとか。
とはいえ、「録画機能も付いているものも多いので、今のご時世付けておくと何かの時に良いですよ」というセールストークをすると、かなりの確率で装着を選択する人が多いらしい。ということで、使い勝手はさておき、ディーラーにとっては稼ぎ頭のオプションのひとつとなっている。
スマートな人はなくさない!? なくしたら悲劇の「スマートキー」
鍵穴にキーを挿してセルモーターを回すという昔ながらのシステムのほうが使いやすいという声はいまだに多いという
スタートキーとはその名の通り、よりクルマを賢く便利に操れる鍵のこと。クルマとキーの両方が暗号化された電波を発信し、一定の距離に近付くと互いの電波をキャッチし、自動、もしくはドアノブに触れるだけでドアの開錠・施錠をしてくれる。
エンジンをかける時は、スマートキーを車内に置いた状態でクルマのエンジンボタンを押すだけ。キーを鍵穴に差し込んで回すという動作が不要となる。
と、一見、便利そうな機能なのだがやはりデメリットになる要素もあり。
「スマートキーは電池式なので気にせず過ごしていたら、電池切れになり、出先で急に使えなくなった」という経験談を耳にすることが多い。
先の営業マンは、「キーシリンダーにカギがないため、キーの存在感が薄くなり、紛失しやすいのでご注意ください」と、お客さんに必ず注意するという。
十分に説明はするみたいだが、イマイチスマートキーの仕組みを理解出来ない顧客もいるらしく……。
例えば、夫婦二人で外出したとする。クルマを出発させスマートキーは奥さんのバッグの中へ。その後、奥さんとは別行動。奥さんはスマートキーの入ったバッグを持って降車。このようなケースの場合、エンジンはかかっていながらキーがない状況に陥り、その後エンジンを一度止めてしまうと、再始動できなくなる。当然、旦那さんはクルマが動かせない。
似たような話を営業マンは年に何回もお客さんから聞くという。こういう話を聞くと、スマートキーって本当に便利なの!? とちょっと疑問に思ってしまう。
まとめ
誰しも、先進機能は使ってみたいと思うもの。しかし、その機能が自分にとって本当に必要なのか、ちゃんと機能を扱いきれるのかを飛びつく前によく考えることは非常に重要であることは忘れずに!
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みんなのコメント
鬱陶しいだけなので