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立ち位置、絶妙である──新型レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550e試乗記

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立ち位置、絶妙である──新型レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550e試乗記

新しい「レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550e」は、“スポーツ”の名にふさわしい電動プレミアムSUVだった! サトータケシがリポートする。

電動化へまっしぐら「このまま持って帰るので包んでください」と、言いたくなるほど出来のよかったレンジローバー・スポーツのPHEVについて書く前に、JLR(ジャガー・ランドローバー)の新しいブランド戦略を紹介したい。

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これまではジャガーとランドローバーの双頭体制であったけれど、今後は“JLR”というひとつの塊になる。そしてレンジローバー、ディフェンダー、ディスカバリー、ジャガーという4つのブランドでJLRを構成することになる。

JLRのグローバル戦略でキモとなるのが電動化で、まず2025年よりジャガーのフルEV化がスタート。2030年には、レンジローバー、ディフェンダー、ディスカバリーにもBEVの選択肢が用意されるというロードマップが描かれている。

たっぷり充電されている状態ではEVとして走り、電気が減るとエンジンが始動してハイブリッド車に変身するPHEVは、日本における現在の充電インフラを考えるとスマートな選択肢だ。

JLRが“PHEV推し”だとわかるのは、2025年モデルより日本仕様の価格を引き下げていること。たとえばレンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550eは2024年モデルの¥18,500,000から¥16,850,000にプライスダウン、3.0リッターの直列6気筒ガソリンターボエンジン+マイルドハイブリッドシステムを積むレンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP400が¥15,740,000だから、ほぼ同等なのだ。PHEVを普及させたいというJLRのヤル気が伝わってくる。

レンジローバーとはカブらないといった前置きが終わったところで、レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550eをじっくりと眺める。

レンジローバー・スポーツとレンジローバーは基本骨格が共通で、したがって2995mmのホイールベースもおなじ。ただし、ボンネットからフロントマスクに至る前半部分と、後端に向かってなだらかな弧を描くルーフラインなどの後半部分はレンスポ専用設計。

全長と全高はレンジローバー・スポーツのほうがひとまわりコンパクトで、2台を並べると、どちらにもレンジローバーらしい統一感があるものの、威風堂々としたレンジローバーに対して精悍なレンジローバー・スポーツと、絶妙のさじ加減で差別化が図られている。

ドライバーズシートに収まってプラグイン・ハイブリッド・システムを起動、走り出すと、見た目だけでなくドライブフィールもレンジローバーのPHEVとは明らかに異なることを体感する。

まず、ステアリングホイールからの手応えがガッシリとしている。ハンドルが重いというのとは違って、路面のコンディションをダイレクトに伝えてくれる感覚だ。よし、やってやろうと、気合が入る類のステアリング・フィールだ。

ステアリング・フィールと同様に、乗り心地も硬派でしっかりとしている。カタいといえばカタいけれど、不快に感じないのは路面からの衝撃の角がきれいに整えられているからだ。エアサスペンションのセッティングをはじめとして、背の高いクルマをスポーティかつ快適に走らせる術をこのブランドは知り尽くしている感がある。

ワインディングロードに入ると、ハンドリングの正確さに舌を巻くことになる。こんな感じで曲がりたい、というハンドル操作に対して、思い描いていたような軌道を描いてくれるのだ。

レンジローバーのPHEVと共通のプラグイン・ハイブリッド・システムは、「EV」モードで走っているときはスムーズで滑らか、このクルマの持つラグジュアリーなキャラを強調するけれど、「Hybrid」モードにすると、スポーティさを際立たせる。モーターのアシストによって特に低回転域のレスポンスが向上、アクセルペダルを踏んだ瞬間にバチンとトルクを伝えてくれるのだ。

そしてパワートレインのモードとは別に設定されているドライブモードを「ダイナミック」モードに切り替えると、全長5.0mに近いボディがコンパクトになったと感じるほど、足まわりもパワートレインもぎゅっとタイトに引き締まる。

とはいえ、前述したように足まわりのセッティングは絶妙だから、粗っぽさや子どもっぽさはない。スポーティなSUVは数あれど、出しゃばらないのに上質さを伝えるインテリアの設えなどとあわせて、このクルマはツイードのジャケットが似合う大人のスポーツに仕上がっている。

レンジローバーとはカブらない立ち位置をとりつつ、“スポーツ”の名にふさわしいキャラクターが与えられているあたりが、実にうまい。そして電動化の時代を見据えたブランド再構築の手法やPHEVの価格設定などを見るにつけ、実にしたたかなブランドだと思わされた。

文・サトータケシ 写真・ジャガー・ランドローバー・ジャパン 編集・稲垣邦康(GQ)

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