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【悩ましい】新型メルセデス・ベンツSクラス ちらつくEクラス、魅力的な先代型

掲載 更新 39
【悩ましい】新型メルセデス・ベンツSクラス ちらつくEクラス、魅力的な先代型

新型Sクラス価格 HV併用しつつ割安

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

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editor:Taro Ueno(上野太朗)

2020年に日本で最も多く販売された海外ブランド車はメルセデス・ベンツであった。

5万6999台を登録しており、2位のフォルクスワーゲン(3万6574台)、3位のBMW(3万5712台)に大差を付けた。

メルセデス・ベンツは高級車の代表的なブランドで認知度も高い。

そのメルセデス・ベンツの中で、最も登録台数の多い車種はコンパクトなAクラスだ。2020年には1万673台を登録したが、高級車ブランドのイメージリーダーとしては、Lサイズのボディを備えるSクラスが筆頭に挙がる。

このSクラスが2021年1月28日にフルモデルチェンジを受けた。8年ぶりの刷新だ。

ボディは全長が5180mmの標準タイプと、5290mmとなる「ロング」の2種類がある。全幅は1920mmに達するから、標準タイプでも車内は十分に広い。

グレードは標準タイプ、ロングともに、直列6気筒3Lのガソリンターボとクリーンディーゼルターボを用意する。駆動方式はすべて4WDだ。

機能と価格のバランスから、Sクラスで最も安価な設定となる車種はS 400 d 4マティックになる。価格は1293万円に達するが、レーダーセーフティパッケージを始めとする安全装備はフルに標準装着される。

そしてガソリンターボのS 500 4マティックは、モーター機能付き発電機によるハイブリッドシステムを搭載して価格は1375万円だ。

そうなるとディーゼルのS 400 d 4マティックは82万円安い。

S 400 d の燃料代 2Lガソリン程度

WLTCモード燃費は、S 400 d 4マティックは14.3km/Lだから、全長が5mを軽く超えるLサイズセダンでは良好だ。

軽油の価格がガソリンに比べて約20円/L安いこともあり、燃料代は2Lのガソリンエンジンを搭載する国産のミドルサイズセダンと同等に収まる。

運転支援機能 Sクラスに見られる工夫

関心の高い運転支援機能のアクティブディスタンスアシスト、車線変更も支援するアクティブレーンチェンジングアシストは従来型にも採用されていたが、新型では精度を高めた。

センサーも各種のレーダー、360°カメラ、駐車時の支援に使われる超音波などを豊富に装着する。

日本メーカーの開発者は「センサーを数多く装着すると価格が大幅に高まるから、なるべく数を抑えたいです」と述べる。

新型Sクラスは前後左右をセンサーでカバーした。

衝突被害軽減ブレーキを作動できる安全装備も進化した。アクティブブレーキアシストは、交差点の右左折において、歩行者や自転車と衝突する危険が生じた時でも衝突被害軽減ブレーキが作動する。

衝突時の安全対策 リアエアバッグ

衝突時の安全対策としては、ロングボディ仕様の後席に、リアエアバッグを用意した。

リアエアバッグはリアコンフォートパッケージに含まれ、オプション価格は125万円と高いが、リアエンターテインメントシステムなども含まれて後席の安全性を快適性を大幅に引き上げる。

走行安定性、どのように高めている?

走行安定性を高める機能としては、4WDシステムと併せてリア・アクスルステアリングを採用した。

60km/h以下では後輪を前輪とは逆方向にステアして、小回り性能や機敏な操舵感覚を向上させる。

駐車モードやシティモードでは、最大4.5°まで後輪を傾ける。60km/hを超えると、後輪を前輪と同じ方向に最大で3°向けることにより、後輪の接地性を高める。

このほかまったく新しいシステムとしては、生体認証システムも採用した。ドライバーの顔、声、指紋の認証により、運転姿勢などと読み込ませることが可能だ。

内装ではメーターパネルも液晶タイプになり、車内の見栄えは軽快で明るい印象になった。

新型SクラスとEクラス 比べると

メルセデス・ベンツの中心的な車種としてはEクラスが用意され、E 450 4マティックエクスクルーシブは、SクラスのS 500 4マティックと同じ直列6気筒3Lガソリンターボエンジン(M256型)を搭載する。

そしてE 450 4マティックエクスクルーシブの価格は1144万円だ。S 500 4マティックは1375万円だから、同じエンジンを搭載しながら231万円高いが、堂々とした風格のある外観、乗り心地の違いなども考えるとS 500 4マティックが買い得に思える。

一方、Eクラスで割安なのは、793万円のE 220 dスポーツなどだ。

SクラスとEクラスでは、一部のエンジンに重複が見られるが、Eクラスで買い得なのは、今では直列4気筒1.5-2Lのガソリンターボエンジンになった。

価格は高めに思えるが、妥当な設定

メルセデス・ベンツの販売店でSクラスの反響を尋ねると、以下のような返答だった。

「現時点(2021年1月下旬)では宣伝も活発におこなっていないため、契約はさほど伸びていません。しかし既に情報をお伝えしたSクラスのお客様からは、時々問い合わせを受けます」

「既に在庫車を取り寄せてあり、好みに合えば1か月程度で納車できます。しかし気に入った在庫車がない場合は、6~10か月を要します」

納期は短くないが、輸入車を在庫車ではなく新規に発注した場合は、1年近くに達することもある。そこまで考えると、納期は妥当だろう。

ちなみに従来型の在庫車は残っているのか。この点も尋ねた。

「在庫車はまだ購入できます。新型では値引きは難しいですが、在庫車なら先代型なので、ベーシックなグレードでも120万円程度は値引きできます」

新型を選ぶか、先代型を選ぶのか?

以上のように新型Sクラスは、安全装備や運転支援機能を進化させながら、4輪操舵の採用もあって走行安定性と乗り心地を大幅に向上させた。

Eクラスにも同様のエンジンを搭載するグレードがあるが、売れ筋ゾーンからはずれることもあり、Sクラスの方が割安な印象を受ける。

また先代型のS 400 d 4マティックスポーツリミテッドは1260万円だったから、前述のように120万円の値引きができれば価格は1140万円といった価格だ。

この価格差なら新型を選ぶ方が良いだろう。

1000万円を超えたクルマになると、120万円の値引きよりも新鮮味を大切にしたい。

また3~5年で乗り替える場合は、旧型よりも新型の売却額が当然に高い。この段階で120万円前後の値引きは十分に取り戻せるから、やはり新型をねらいたい。

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