■スズキ製660ccエンジンを積んだセブン!?
イギリスのスポーツカーメーカー・ロータスのスポーツカー「セブン」は、それまで販売されていた「マーク6」に代わるモデルとして、1957年に登場しました。
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1973年に生産を終了するも、サリー州ケータハムにあったロータスのディーラーがロータスから生産設備と製造権を獲得。ケータハムカーズを設立し、セブンの生産を引き継ぎました。余談ながら英国ではケータハム(Caterham)を「ケイタラム」と発音します。
以来50年以上にわたり、2シーターオープン・後輪駆動・ロングノーズフォルムで、エンジンはフォードなどの社外品を中心に搭載する、という基本的な成り立ちは不変なまま生産が行われています。
そんな中、驚きの一報が入ったのは2013年のこと。なんとスズキの軽自動車用ユニットを積んだセブン、その名も「セブン160」が誕生したのです。
エンジンは「ジムニー」用「K6A」型660cc3気筒ターボで、インタークーラーをケータハム製に変更して最高出力は80psをマーク。しかし日本では、軽自動車に64psの自主規制値が設定されていたため、64ps仕様の「セブン130」が導入されました。
5速マニュアルトランスミッションもジムニーから流用されたほか、ドライブシャフトや後輪の軸部分(リアアクスル)は同社の軽商用車「エブリイ」を活用。発表当時は、そのアイデアも話題となりました。
生産はケータハム本社で行われるため、これらのコンポーネンツはコンテナで輸出されていました。
しかし2014年、輸入車であるケータハムのクルマでは自主規制が必要ないということになり、日本でもセブン160の販売をスタートしました。
160という数字は、最高出力80ps・車重490kgのパワーウェイトレシオが “160”であることに由来します。
80psという数値は絶対的には低いですが、驚異的に軽い車重には十分以上。0-100km/h加速6.9秒という性能は、スズキの軽スポーツカー「カプチーノ」の9.7秒を大幅に上回るものでした。
手に余るほどのパワーを得ていた通常のセブンよりも、むしろ「本来のライトウェイトスポーツカーらしい」とも評価されました。
エンジンのみならず、車体サイズも軽自動車規格の「長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下」に収まっていることもポイントでした。全長は元々のセブンが3.4m以内だったので問題ありませんでしたが、全幅を1.48m以内とするために、フェンダーとタイヤ幅を狭くして対応。軽自動車登録を可能としました。
そのため装着されるナンバープレートは「黄色」です。価格は394万。同時期に販売されていたセブンが475万円~777万円だったことを鑑みると、リースナブルと言えました。
2017年には、「クラムシェルフェンダー」と呼ばれる長いフロントフェンダー、スミス製クロームメーターパネル、モトリタ製ウッドリムステアリングホイールを備えたクラシカルなスタイルが魅力の「セブン160 スプリント」が、さらに同年秋にはエンジンを96psまでチューン、ブルックランズエアロスクリーンやゼッケンサークルなど1960年代レーシングカー的な外観を与えた「セブン160 スーパースプリント」がそれぞれ限定発売されています。
そして2021年、セブン160の後継モデルとして「セブン170」がデビュー。エンジンを「K6A」型から「R06A型」に換装して、最高出力も85psにアップしています。
しかも車重440kgの軽量化オプションを選ぶことも可能。ラインナップは2種類で、標準モデルの「170S」と、スポーツサスペンション、LSD、カーボン製ダッシュボード、4点式シートベルト、コンポジットレースシートを備えたサーキット志向の「170R」が用意されています。
さらに2024年6月には、1970~80年代風の内外装デザインが与えられた「スーパーセブン600」と、よりクラシック風味をました「スーパーセブン600クラシックエディション」も発売されています。
※ ※ ※
スポーツカーといえばパワーウォーズに陥りがち。しかしスポーツカーとって大切なのは、パワーでななく「軽さ」や「シンプルさ」であることを教えてくれるのがセブン160/170です。
2024年9月現在、セブン170Sの価格は約811万円、セブン170Rに至っては839万円。セブン160の中古車はおおむね500~600万円台で流通しており、安価とは言えませんが、それに見合う価値があるクルマではないかと思います。
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