ビッグマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツの新型「Eクラス・カブリオレ」に田中誠司が試乗した。今や希少な、4座オープンの魅力とは?
最良の選択肢か
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いろんなクルマに乗り、いろんな人々を見るなかで、メルセデス・ベンツのEクラス・カブリオレは、裕福なクルマ生活の終着駅のような存在である、と、筆者は認識してきた。
多くの人が最初は大衆車や中古車からカーライフを始める。成功すれば自分のステータスが高まり、家族が成長するのとともに走らせるクルマも大きく、高価になっていく。
しかしやがては人生の拡大路線も収束していく。そんなとき、高級感と堅牢さを兼ね備え、4人が快適に座れて、取りまわしがよく、しかもオープンカーでもあるEクラス・カブリオレは、最良の選択肢であるに違いない。
と、期待水準がとても高い中で、メルセデス・ベンツはいったいどんなクルマをつくりあげてきたのか、というのが今回見極めたいテーマである。
2018年にフルモデルチェンジしたEクラス・カブリオレは、2020年10月にフロントグリルなどのデザインを改めるとともに、音声対話システム「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」や安全運転支援システム、ステアリング・ホイールなどをアップデートした。
4種のエンジンにそれぞれひとつのグレードが設定される中で、今回のテストカーは258ps/370Nmを発揮する2リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載するミドルグレードの「E300 カブリオレ スポーツ」である。
スポーティにもラグジュアリーにも自在に対応可能
編集者からステアリングを渡されてすぐ、都心からハイウェイを北上する。静粛性に配慮したソフトトップをクローズしたキャビンは平穏そのものだ。後席も、若干バックレストが立ち気味ながら、おとなでも長距離移動をこなせるニースペースを確保している。
このE300より上のクラスのモデルには、エアスプリングをもつ「AIR BODY CONTROLサスペンション」が標準搭載されていて、とりわけコンフォート・モードにおいては、たおやかなボディの動きを保ちながらランフラット・タイヤであるミシュラン・プライマシー3 ZPの上下動を受け流してくれる。
4シーターのカブリオレは、フィクストヘッドのクーペはもちろん、2シーターのロードスターと比較してもボディの開口部が広いため、剛性を確保するのが難しいはずであるものの、このEクラス・カブリオレにはまったく不足を感じなかった。
エアサスペンションを与えられたCクラスやGLCクラスにも共通する美点として、コンパクトなのに重々しいボディが路面の凹凸をいとわず突き進んでいく様が、かつてのタイプ124のミディアムクラス/Eクラスを彷彿とさせる。
実際のところ車体は4845×1860×1430mmと、見た目ほどコンパクトなわけではなく、車両重量もおなじエンジンを積む「E300クーペ・スポーツ」を100kg上まわる1870kgに達する。しかしながら9段オートマティック・トランスミッションにより引き出される258ps/370Nmのパワーは、必要にして充分。
心地よい回転感覚というほどでもないものの、トップエンドで最後に盛り上がりをちょっと見せてからシフトアップするのが気持ちいい、控えめなスポーツユニットである。ハンドリングのほうも、可変式サスペンションのモード切り替えにより、スポーティにもラグジュアリーにも自在に対応可能だ。
悩ましい選択
オープンカーならではの装備として、ウィンドシールド上部と後席背後にスポイラーが立ち上がり、車内への風の巻き込みを防ぐ「エアキャップ」が試乗車には備わっていた。
これを立ち上げておけば、郊外のカントリー・ロードの流れに合わせた穏やかなスピードにおいては、車内にはかすかな風しか舞い込まないので、物足りなくすら感じるほどだ。暖かい空気を首元に直接当ててくれる「エアスカーフ」も、肌寒い時期には役立つだろう。長くカブリオレを作ってきた会社らしいおもてなしだ。
さすが、とうならせる完成度を示すEクラス・カブリオレを注文するとして、悩ましいのはこれらの装備とグレード、価格の兼ね合いだ。
エアキャップやエアスカーフを装着したければ、1226万円の「E 450 4MATICカブリオレ スポーツ」または1364万円の「Mercedes-AMG E53 4MATIC+カブリオレ」を選ぶか、試乗車と同様、956万円のE300に本革シートやブルメスター・サウンドシステムなどと一体となった91万4000円の「エクスクルーシブ・パッケージ」をくわえる必要がある。871万円の「E200カブリオレ・スポーツ」にこれらの装備の設定はない。
E300+エクスクルーシブ パッケージとE450の差は199万8000円、180kg、109ps。E53 AMGとの差は337万8000円、220kg、177psである。
「どうせなら、もう300万足して、AMG行っとく?」
という色気と財力がある人は、おそらくこのクルマが終の棲家ではないのだろうし、AMG専用装備の充実や下取りも考慮に入れて、E53を選んだほうがいいんじゃないか? と、想像する。
いっぽうで、軽くて使い切れるだけのパワーを備えるE300カブリオレ・スポーツを手に入れて、穏やかに走らせるという選択も、大人ならではのセンスとして尊重したい。そのほうがEクラス・カブリオレの世界観に合うようにも思う。6カ月以上の納車待ちを覚悟で、11色のボディカラーと4色のソフトトップ、6種類のインテリアを自分の好みに組み合わせたなら、大人の魅力はさらに引き立つだろう。
文・田中誠司 写真・安井宏充(Weekend.)
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