もくじ
ー スーパーカーと日常をともにする
ー スーパーカーと日常をともにする
ー オプションは控えめに
ー エルゴノミクスに満足 慣らしはこれから
ー テスト車について
ー テストの記録
ロードテスト(3) マクラーレン720S ★★★★★★★★★★
スーパーカーと日常をともにする
真のスーパーカー、最近ではハイパーカーと呼ばれるマシンの数々を走らせ、この紙面でインプレッションを伝え続けた30年間はとても幸せなものだった。
だが、満足できない部分もある。クルマのために数千万円の資金はとても用意できないので、たとえロードテストでどれだけ良いクルマだと分かっても、生活を共にした時のことは決して分からない。
だからこそ、今オーロラブルーのマクラーレン720Sが家のそばにあるのだ。これから6カ月にわたって、スーパーカーのもうひとつの面を探る予定だ。もちろん峠やサーキットにも連れ出すが、感想は正直想像がつく。光り輝き、乗れたことを感謝するような体験だろうが、私のような幸福なレポーターなら既に知っている通りだ。
私が興味があるのは別の面だ。これに関してはどのような結果になるかほとんど想像がつかない。このモデルに対する注目をどのように感じるだろうか。渋滞や長時間の巡航の後の疲れはどのようなものだろうか。どこにクルマを止めるべきなのだろうか。今は全幅や高いホイールへのダメージが気がかりだが、これにもそのうち慣れるのだろうか。
何より、この高いポテンシャルをどれくらい使うことができるだろうか。ほとんどいつだってどこだって追い越しが可能で、すぐに先の集団に追いついてしまうのだろうか。個人的には、言葉にできないほど720Sとの時間を楽しみにしているが、プロとしても魅力的な時間なのは間違いない。
中年ドライバーならラグジュアリーパック
このY27 MCLは新車も同然の個体で、ピレリ・ソットゼロというスタッドレスタイヤを履いている。
私個人のクルマではないので完全な自分の好みでオプションを選ぶことはできなかったが、オプション少なめの控えめなクルマという希望は通った形だ(ナンバープレートはジル・ヴィルヌーヴのレースナンバーにした。幼少期のヒーローであり、マクラーレンでF1を戦ったため、このクルマにはもってこいだろう)。
ただひとつ熱望したのはフロントアップ機能で、これがなければ我が家に帰るたびにウェールズのでこぼこ道でノーズにダメージを与えていただろう。
そして現れたのはラグジュアリーパックを選択したモデルだった。ダッシュボードやシート背後の荷室までレザーが延長されている。心待ちにしていたシートはヒーターと電動調整機能付き。確かにマクラーレンのカーボン製レーシングシートはサーキットを走るなら最高だが、中年のドライバーが長距離を走るには少々不向きだろう。選択したオプションの数はこのようなクルマにとっては少なめだが、それでも安くはない。ホイールはホイールとスポーツエグゾーストだけで1万ポンド(145万円)を超えるのだ。
オプションは控えめに
そのほか、ボディ色で1940ポンド(28万円)、オレンジ色のキャリパーが1140ポンド(16万円)、ノーズリフターが2200ポンド(32万円)だ。さらに、駐車時の360度アラウンドカメラ(4720ポンド、68万円)とアルカンターラ巻きのステアリング、ボディカバーを追加している。 それでもオプション総計2万1590ポンド(312万円)で、ほとんどのオーナーよりも低く収まっているだろう。
もし自分で注文するなら、ホイールとノーズリフター、アルカンターラのステアリングのほかに、オレンジキャリパーも選択してしまうことだろう。あとは12スピーカーサウンドシステムも追加しておきたい。標準の4スピーカーでも不足はないが、十分とまでは言えないからだ。
購入したのはライブルックスペシャリストカーズ。マクラーレンを取り扱うブリストルのディーラーだ。ゼネラルセールスマネージャーのロス・ソーレイからクルマの説明をしてもらったが、目を引くところはほとんどなかった。開けるべきフュールキャップや煩わしいボンネットのラッチがないことくらいか。キーか車内のボタンを押すだけで開けられるそうだ。
エルゴノミクスに満足 慣らしはこれから
エルゴノミクスやディスプレイは初期のマクラーレンから大幅に改善しており、アクティブダイナミクスパネルの操作系はこの手のクルマとしては最高に良い。乗降性もマクラーレンの他のモデルや、2年前に乗ったディへドラルドアのBMW i8と比べ格段に良い。以上がこのクルマについて今知っていることすべてだ。実はまだこの記事の写真を撮影するためにしか乗っておらず、慣らし運転1000kmのスケジュールを練っているところだ。
そのなかで、すでにトラクションコントロールがほぼ常に作動している。雪が降ればこのスタッドレスタイヤは素晴らしいのだろうが、高いギアで丁寧にスロットルを開けても警告灯が点灯してしまう。だが、3月初旬にスイスに行く予定があるので、タイヤはそのままにしておこうと思う。それが終わったら、ハイパーカーのポテンシャルにふさわしいタイヤに変えよう。そうすればまた違った面が見られるはずだ。
セカンドオピニオン
スーパーカーを走らせて夢が壊れる、という可能性は十分想像がつく。ときおりエンジンを吹かすも、悪天候や荒れた路面のせいでせっかくのパフォーマンスを抑圧せざるを得ないような場面だ。それでも、私は720Sを信用している。エルゴノミクスや視界の広さを考えれば最も扱いやすいスーパーカーと行っても過言ではなく、鋳鉄製のボディコントロールをもつクルマとしては奇妙なほどダンピングする。通勤ドライバーでもV8ミッドに乗りたいというなら、このクルマに決まりだろう。
テスト車について
モデル名:マクラーレン720S ラグジュアリー
新車価格:22万5000ポンド(3280万円)
テスト車の価格:24万7000ポンド(3590万円)
追加した装備一覧
特別外装色(オーロラブルー):1940ポンド(28万3000円)
スポーツエグゾースト:4900ポンド(71万4000円)
10スポークスーパーライトウエイト鍛造アロイホイール:4520ポンド(65万8000円)
ステルスホイールフィニッシュ:1170ポンド(17万円)
マクラーレンオレンジブレーキキャリパー:1140ポンド(16万6000円)
カーボンブラックステアリングホイール:520ポンド(7万5700円)
360度パーキングパーキングアシスト:4720ポンド(68万8000円)
ノーズリフター:2200ポンド(32万円)
カーカバー:480ポンド(6万9900円)
テストの記録
燃費:8.6km/ℓ
故障:なし
出費:なし
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