2019年、ホルヘ・ロレンソはレプソル・ホンダとの2年契約を早期に打ち切り、現役を引退した。怪我に苦しみ、RC213Vへの適応に大きく苦戦した末の結末だった。
しかし2020年、ロレンソは早くもMotoGPの世界に帰ってきた。過去に9年間所属したヤマハで、テストライダーの任に就いたのだ。
■ロレンソ、現役復帰の可能性が“ちょこっと”上がる。手始めはワイルドカード参戦?
ヤマハのチーム体制発表イベントの際、ロレンソとマネージングディレクターのリン・ジャービスは、ホンダのチームマネージャーであるアルベルト・プーチから“怒りの電話”は受けなかったのかと聞かれるも、それを否定し、次のように語った。
「なぜそうなるのか本当に分からない。我々の話し合いは“ホルヘとのみ”だった。MotoGPチームのマネージャーとして、我々は互いにあまり話すことはない」と、ジャービスは言う。
また、ロレンソの語った内容はこうだ。
「ええと、他のインタビューで話したように……アルベルトは常にとてもスマートで誠実な人だ。それに僕はホンダで過ごした1年間、完全なサポートを常に受けた」
「そしてホンダは今年、僕を他メーカーのバイクに乗らせない、という条項は何もつけなかった。とても感謝している」
「彼らにはそれができただろうけど、しなかった。そういった理由で僕はこの役割に就けているんだ」
「だから僕はアルベルトから、なにも怒りの電話などは受けていない。2019年シーズン中の彼のサポートに、そして契約を破棄した後そういった条項を適用せずにいてくれたことに、とても感謝している」
そのプーチに、ロレンソの引退からヤマハ復帰についてどう考えているのかを訊くと、彼はこう答えている。
「何が起こったのか、というシンプルな点から見るべきだと思う。我々は契約を破っていないし、2年の契約を結んでいたんだ」
「だがある時ライダーが我々のところに来て、『フィーリングが見いだせなく、モチベーションが見つからない。走るのを辞めたい。これ以上身体を傷めたくない、身体の状態をケアしていきたい』と語った時、我々が言える唯一のことは“オーケー、それなら辞めよう”というものだ」
「つまりそれは我々の意図ではないんだ。彼は2年契約を結んでいた。だがこういった事を言われた場合、何ができるんだ?」
「そしてホンダは、ライダーが望んでいない時にレースバイクを押し付けることは決してしない会社だ。それがバレンシアで我々が進めた方法であり、当時現役を引くことは彼の意図だった。だから彼は引退したんだ」
「そして何らかの理由で、彼はライダーを続ける事を決めた。ホンダの観点から言うべきことは、どんな人も自分の人生でやりたいことを自由に行なえるということであり、我々はそれを尊重する、ということだ。(引退から)数カ月後に彼が変わることを決め、こうした機会を得たなら、我々も彼にとって良かったと思っている」
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