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「凸型シルエット」はアイコン! ランチア・フルビア・クーペ MGBに代わる1台を選ぶ(2)

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「凸型シルエット」はアイコン! ランチア・フルビア・クーペ MGBに代わる1台を選ぶ(2)

上級・小型なパーソナル・クーペ

フルビアの開発で、サルーンと同様にエレガントなクーペモデルの重要性を、ランチアは再確認したといえる。少し遅すぎた感はあったが、フィアット傘下へ収まる直前、カルロ・ペゼンティ氏が経営権を握っていた時代の、妥当な戦略の1つとなった。

【画像】MGBに代わる1台を選ぶ 英製スポーツ・クラシックの「ド定番」とフルビア・クーペ 全103枚

時代を超越した美しさをたたえる、上級・小型なパーソナル・クーペは、ブランドの活性化に繋がった。経営を立て直すほどではなかったものの、好調に売れ、商業的にしっかり機能するモデルでもあった。

発売は1965年で、1976年まで生産され、販売数は13万4000台以上。後期型のフルビア・クーペ 3(シリーズ3)は、フィアットエンジン搭載のランチアへ否定的なブランドファンを、受け止める役目を担った。

晩年まで支持率は落ちることがなく、次期モデルとしてランチア・ベータ・クーペが1973年に登場するものの、販売数では勝っていたほど。プラスティック製のステアリングホイールにホワイトのメーター、クロス張りのシートは、多くの人に好まれた。

1965年から1973年までは、ほぼ毎年のようにイタリアのラリーでも活躍。1972年のモンテカルロ・ラリーでは、強力なドイツ勢を退け優勝している。

V型4気筒の前輪駆動 喜びと充足感を与える

フルビア・クーペの歴史をすべてご紹介すると、非常に長くなってしまう。ざっくり振り返るなら、初期型のシリーズ1は1970年まで生産された。大きなヘッドライトをフロントに備え、V型4気筒エンジンに、4速MTが組み合わされていた。

シリーズ2は1970年に登場。フロントグリルがスリムになり、ライトが小さくなり、マニュアルは5速へ増えている。シリーズ3は、厳密にはシリーズ2の最終版。区別するため、英国仕様では外側のヘッドライトの位置が1段高くなっていた。

ザガート社製ボディのフルビア・スポルトを除いて、ティーポ818と呼ばれるフルビア・クーペには9種類があった。最高出力は1.2Lの81psから、1.6LのHFで発揮した131psまで幅が広い。

排気量を問わず、いずれもエンジンはV4で共通。大きく傾斜した状態でボンネット内に積まれ、前輪を駆動する。フロント・サスペンションは横置きのリーフスプリングで、ブレーキは前後ともディスク。形状の美しいサブフレームなど、特徴は少なくない。

ランチアらしく、細部まで配慮された製造品質と、優れた運転体験が融合。違いがわかる人へ、喜びと充足感を与えるパッケージングといえた。

凸型シルエットはランチアのアイコンの1つ

端正なスタイリングを担当したのは、社内デザイナーだったピエトロ・カスタニェロ氏。短いテールに中央が僅かに凹んだリアウインドウ、無駄のない凸型シルエットは、アプリリアやストラトスなどと並んで、ランチアのアイコンの1つといえる。

左右が非対称な、機能的なダッシュボードも魅力の1つ。何度かアップデートは繰り返されたが、デザイナーたちはボディやインテリアに殆ど手を加えなかった。2003年に提案されたコンセプトカーでも、フルビア・クーペがモチーフにされたほど。

発表当初、前輪駆動のフルビアは価格がお高めだった。小柄な2+2のクーペで、ロードスターのMGBと比較されることは少なかったといえる。しかし1974年を迎える頃には、クーペのMGB GTの方が英国では高価になり、最高速度でも並んでいた。

今回ご登場いただいた、ロッソ・ヨークの塗装が美しいフルビア・クーペは、シリーズ3。歴代4オーナー車で、フルビア・クラシック社が執筆時点では販売している。同社はランチアのスペシャリストで、これまで250台以上のフルビアを取引してきたという。

乗り手の興奮を誘いつつ洗練されている

多くのランチアと同様に、フルビア・クーペは運転してすぐに魅了されるわけではない。強く共感する人も、限られるかもしれない。

V4エンジンは、2000rpm以上回さないと充分な効果を生まない。ステアリングホイールは、低速域では重い。シフトレバーはストロークが長く、動きは渋めで、滑らかな変速が少し難しい。1速が横に飛び出た、ドッグレッグ・パターンに慣れる必要もある。

しかし、アクセルレスポンスは鋭敏で、ギアを選び終わればダイレクト。高い圧縮比と相まって、6500rpmめがけて心地よい唸りを響かせながら吹け上がる。こうなると、変速のしにくさは忘れてしまうはず。

速度が増すほどステアリングの感触は良くなり、ヘアピンカーブ以外の操縦性はニュートラル。安定性は高く、乗り心地も良い。ドライバーの興奮を誘いつつ、洗練されている。どこか生意気な印象も漂う。

MGB以上の充足感を、フルビア・クーペなら得られるように思う。今回のスコアは、そこまで高くないけれど。

編集部によるマニア度スコア

コストパフォーマンス:2/5
メンテナンス性:2/5
修理部品の入手性:3/5
実用性・使いやすさ:4/5
運転体験の魅力:5/5
クルマ好きの話題性:5/5
合計:21/30

ランチア・フルビア・クーペ(1965年~1976年/欧州仕様)のスペック

英国価格:2177ポンド(新車時)/2万ポンド(約390万円/現在)以下
生産数:13万4035台(フルビア合計)
最高速度:168km/h
0-97km/h加速:13.0秒
燃費:9.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:930kg
パワートレイン:V型4気筒1298cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:91ps/6000rpm
最大トルク:11.5kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)

この続きは、MGBに代わる1台を選ぶ(3)にて。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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みんなのコメント

3件
  • tac********
    昔、この手の車専門の中古車店で実車を見たことあるが、クロムメッキの窓枠とか細かいところの作りが綺麗な車。
  • tanuki850二代目
    懐かしい設計と造形。日本の初代シルビアにも似ている。
    (あ、日本が参考にしたか?)
    イタリアの自動車は、年代に拘らず魅力が褪せない強さがあると思います。ランチア社も、多彩な分野の自動車をつくるのを期待します。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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