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アウディが覇権を狙う電気自動車市場。バリエーション拡大はまさに急加速だ【輸入車事情2021-2022】

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アウディが覇権を狙う電気自動車市場。バリエーション拡大はまさに急加速だ【輸入車事情2021-2022】

アウディはeトロン/eトロン スポーツバック、eトロンGTに継ぐBEV(電気自動車)第3弾、Q4 eトロンシリーズが公開された。日本市場にマッチするサイズ感のプレミアムSUVで、ヒットを予感させるモデルとなっていた。(Motor Magazine2021年7月号より)

Q4eトロン/Q4スポーツバックeトロン海外試乗
Q4 eトロンは、ミドルクラスのSUVであるeトロン(&スポーツバック)、そしてラグジュアリースポーツのeトロンGTに次ぐアウディとしては3番目のコンパクトBEVだ。プラットフォームはフォルクスワーゲングループが共有するMEB(モジューラー エレクトリック プラットフォーム)である。

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ボディサイズは全長4588×全幅1865×全高1632mm、ホイールベースは2764mmで、先に発表されたフォルクスワーゲンID.4の数値に近い。ただし、エクステリアデザインは大きく異なりID.4がグリルレスでシンプルな顔を持っているのに対して、Q4はダミーながら立派なグリルを持ち、そしてその下方両脇には凝った形状のエアカーテンインテークが並んでいる。

またオプションのマトリックスLEDヘッドライトユニットは横に流れるターンライト(それゆえにアウディではウインカー/点滅灯という表現は死語になっている)と共にハイテクのシンボルとなっている。

一方、スポーツバックはピラーより前が基本的にSUVと同一だが、強く傾斜したリアウインドウ下縁にスポイラーが装備されている。Cd値は0.26とSUVの0.28よりも良好な数字を得ている。もっともこのスポーティなスタイルのおかげでトランク容量は520L~1490LとSUVと比べると30L減っている。さらにボディサイドにはクワトロプレスラインとトルネードライン、リアエンドはボディ幅いっぱいに伸びたLEDリアコンビライトが後姿を引き締めている。

AI音声コントロールが導入されている最新のOD、MIB-IIIが装備されているインテリアは、これまでのeトロンシリーズとは異なるデザインが見られる。バーチャルコックピットやオプションの11.6インチ(スタンダードは10.1インチ)に拡大されたダッシュボード中央のタッチスクリーンはこれまでと大きく変わらないが、センターコンソールがほぼステアリングホイール下の高さまで浮き上がっている。

このコンソールのポジションと上下がカットされたデザインのステアリングホイールは、おそらく近い将来スタンダード装備になることが予想されるレベル2プラス、半自動ハンズオフドライブを想定したレイアウトだと思う。ともあれエクステリアおよびインテリアを観察した時点で、アウディQ4eトロンはフォルクスワーゲンID.4とは一線を画したプレミアムBEVモデルであることがわかった。

Q4eトロンには「35」、「40」、「50クワトロ」の3種類のグレードが用意されている(35と40は後輪駆動)。ミドルグレードにあたる「40」に搭載される電気モーターは150kW(204ps)/310Nmを発生し、0→100km/h加速は8.5秒、最高速は160km/h、電池は76.6kWh、航続距離534km(WLTP)に達する。

乗り心地はとてもしなやかARナビは情報量が豊富
走り出して印象深かったのはフォルクスワーゲンのID.4とは似て非なる乗り心地のしなやかさだった。ID.4のシャシはスポーティ、正確にはダイレクトでそのぶん、ややゴツゴツした感じを伝えてきたが、Q4は路面からのショックをしっかりと和らげてくれる。

加えてまるで前方をドローンが案内してくれるような豊富な情報量と見やすい映像を示してくれるARナビゲーションのおかげで、異次元のイージーセーフドライブを体験することができた。

このQ4 eトロンは7月からドイツで発売が開始されるが、価格はベースモデルのQ4 eトロンが4万1900ユーロ(約557万円)で、スポーツバックはエクストラとして2000ユーロ(約26万6000円)が要求される。

アウディ本社によれば日本への導入はQ4 40eトロン(SUV&スポーツバック)が考えられており、発売時期は2022年の春になる予定である。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス、アウディAG)

アウディのピュアEV第2弾となるeトロンGT/RS eトロンGT
アウディが、BEVの新モデルを投入した。4ドアクーペのグランツーリスモ、RS eトロンGT/eトロンGTである。これでSUVのeトロンシリーズと合わせて4モデル展開となった。日本での本格的なデリバリーはこの秋からということだが、その前にRS eトロンGTの試乗がクローズドコースで叶った。

まずは概要を紹介する。全長×全幅×全高は4990×1965×1395mm、ホイールベースは2900mm。外観では、4WDモデルを想起させるクワトロブリスターや低くワイドで美しいデザインが視線を釘付けにする。ちなみにCd値は、わずか0.24である。

フロントとリアにそれぞれ電気モーターを搭載した、電動4WDシステムを採用する。これは機械式クワトロの約5倍の速さでトルク配分するという。総出力は598ps/830Nmである。リチウムイオンバッテリーは、モジュールに分割された396セルで構成され、容量84kWh(総容量93kWh)。フロア下に配置し、満充電での航続可能距離はWLTC値で534kmとなる。

低いポジションの運転席に座ると、12.3インチのアウディバーチャルコックピットに加え、MMIタッチディスプレイなどアウディらしさに溢れたインテリアが眼前に広がる。後席は、足もとにバッテリーを配置しないフットガレージと呼ばれるスペースが設けられ、大人も十分くつろげる。

250km/hの世界でも安心して運転できる
興味深いのは走行音で、しっかりスポーティに演出されていた。法律で規定されている20km/h以下では電子的に合成した人工音を発し、さらにドライブモードに応じてそれが変化する。この独特なサウンドは、実際に聞いて確かめてみることをお勧めする。かなり新鮮な体験となることだろう。

走りは実にダイナミックなものだ。だからと言って乗り心地に不快なところはなくとても快適。これは、電子制御式リアアクスルデファレンシャルロック、3チャンバー式アダプティブエアサスペンション、オールホイールステアリングが効いているのだろう。

パフォーマンスは、実にすばらしい。右足に力を込めた瞬間、驚異的な加速をともない発進する。それはまさに瞬間移動したような速さである。長い直線で床までペダルを踏み込むとリミッターが作動する250km/hまで加速、速度計は257km/hを表示していたが、とても安定していたので恐怖感はなかった。

これならドイツアウトバーンでも、肩が凝らずに移動できそうだ。GTカーとしての実力は相当なものだと感じられた。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)

加速するアウディの電動化戦略を眺望
アウディは2021年1月に、電動モデルを2025年までに車種に拡大し、そのうち約25モデルを電気自動車(BEV)にすると発表している。まさに電動化戦略を加速させていくことを宣言しているわけだが、その片鱗は日本でも感じ取ることができる。

アウディの電気自動車(BEV)第2弾となる「eトロンGTシリーズ」、第3弾となる「Q4eトロンシリーズ」を紹介してきたが、第1弾の「eトロンシリーズ」も2020年9月に発売されており、この1年でなんと3モデルのBEVを日本に投入している。他メーカーに先駆けての急先鋒で、アウディの電動化戦略の本気度がうかがえる。

そしてこの戦略はさらに加速していく。2021年4月の上海モーターショーでは、新世代のBEVとなるA6eトロン コンセプトを発表した。このモデルはアウディが主導してポルシェと共同開発する「PPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)」を採用しているのが特徴だ。

2022年後半からは大型セグメントで、その後はミッドサイズセグメントでも、PPEのテクノロジーをベースにしたモデルが発売される予定だ。その商品レンジには、高い車高を特徴とする電動SUVだけでなく、今後登場するA6 eトロンといったダイナミックなスタイルの乗用車も含まれるという。

また、Q4eトロンシリーズのようなコンパクトなモデルには、フォルクスワーゲングループで共用する電動化モジュラープラットフォーム「MEB」を採用。こうしてグループ内で大きさと目的の違う電動車用プラットフォームを効率的に活用することで、アウディはBEVの覇権を狙う。

アウディPHEVの日本導入にも期待
アウディはBEVに力を注ぐ一方、電動車としてはプラグインハイブリッド(PHEV)も多く発売している。日本ではなじみがないかもしれないが、欧州ではすでにA6、A7スポーツバック、A8、Q7、Q8にPHEVを設定している。

また、新型A3スポーツバックに続いて、新型Q3/Q3スポーツバック、マイナーチェンジ後のQ5にもPHEVをラインナップしており、現在もその数を拡大している。これらのPHEVモデルのパワートレーンは1.4Lターボ/2L直4ターボ/3L V6ターボエンジンにモーターを組み合わせ、「TFSI e」というグレード名を付けている。いずれも日本への導入は未定だが、BEVへのステップの前にPHEV需要が高まることも考えられるので、期待はできそうだ。

アウディの電動化戦略の一端を担うモデルの中には、「マイルドハイブリッド車(MHEV)」が含まれる。いや、含まれるというよりも、日本導入モデルの中では、MHEVがメインになってきているといってもいいぐらいだ。

2021年4月に発表されたA3シリーズにも48Vリチウムイオンバッテリーを用いたマイルドハイブリッド ドライブシステムを搭載するほか、マイナーチェンジを受けたA4シリーズとA5シリーズやQ5、そして追加型のA6シリーズとA7スポーツバックには12Vのマイルドハイブリッド ドライブシステムを採用。動力性能と燃費性能の向上が望めるMHEVはまだまだ活躍の余地がありそうだ。

このような電動化戦略を進めながら、スポーツモデルの開発にも力を注いでいる。中でも「RS」モデルは新型車がこの1年で続々投入されている。ニューモデルでは、R3 Q3とRS Q8が2020年秋に登場。また、ほぼ同時期にRS4アバント、RS5クーペ/スポーツバック、TT RSクーペを一部改良したほか、RS6アバントとRS7スポーツバックを新設定するなど、一気にRSモデルが進化を果たした。

こうしたアウディスポーツのブランドをブラッシュアップすることも怠らない姿勢もお見事だ。(文:Motor Magazine編集部 加藤英昭/写真:アウディAG/永元秀和)

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