3月14日の開幕戦CGC奈良から7ヶ月が空き、10月17日にG-NETの第2戦となるブラックバレー広島が開催された。日高ロックスが中止となったことで大会数の減少が危惧されたG-NETだったが、日野の後に特別選抜戦・四国が開催されることで全4戦をキープ。有効ポイント制にてシリーズチャンピオンが決定される。
会場となったのは広島県ホワイトバレー松原。JECの地方戦にもなっているビギナーズエンデューロが開催されるスキー場として、西日本のオフロードライダーを中心に親しまれている。しかしこのブラックバレーはハードエンデューロ。もちろん普段は使われていない難セクションが開拓され、昨年よりもグッと増えた175台のエントラントを迎えた。
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コースは概ね去年の逆回りで組まれており、下見を終えたライダーたちは口を揃えて「下りが難しい」と口にした。
コース開拓やマーシャルを担当したのは伝説の「美和マウンテンエンデューロ」そして「琴引マウンテンエンデューロ」を生んだスタッフ陣。MITANI motor sportsの三谷氏も参加していた。
当日の天気は雨。レース中に一度勢いは弱まったものの、レース終盤でまた勢いを増し、コースコンディションがめまぐるしく変わる難しいレースとなった。
175台がゼッケン順に並び、スタートはG-NET黒ゼッケンが先頭になり、そこから数秒間隔で順次スタート。
第1セクションとなった「新おもてなし」では早くもハードエンデューロの洗礼が始まった。
あやと、ケンジ、ロッシ、タイスケ
安定感のある4強がレースをリード
ブラックバレー広島にはG-NET黒ゼッケンライダーの他にも有力選手がたくさん出場していた。エントリーリストを見ると、注目のモトクロスライダーZEROや、CGC奈良で10位に入った波田親男、他にも元黒ゼッケンの上福浦明男や泉谷之則、大西実。ダカールライダーの池町佳生や、大塚正恒、松野孝夫、三輪嘉彦らも注目ライダーだ。
「新おもてなし」を最初に抜けて行ったのは黒ゼッケン8の原真也。そしてそれに続いたのが、ゼッケン1~3の水上泰佑、山本礼人、鈴木健二の3人だった。
一周目中盤、頂上に作られたセクション「神棚」での順位は山本、波田、鈴木、水上、原、上福浦、#4原田皓太、高橋博(ロッシ)だった。
ここで驚きなのは、高橋は昨年怪我による欠場で黒ゼッケン落ちを喫しており、今大会のゼッケンは117。黒ゼッケンの山本、鈴木、水上、原、原田は最前列だし、上福浦は22、波田は15というゼッケンの若い有力ライダーたちに、開始20分足らずで追いついていることが、ロッシ完全復活を実感させた。
その後も#9中野誠也、大西、大塚、ZERO、三輪らが続いた。
また、昨年も最終セクションとしてライダーを大いに苦しめた「組合ヒル」は「新 組合ヒル」となり、今年もチェッカー前の最終セクションとして牙を剥いた。
ここで最も辛酸を舐めさせられたのが、鈴木健二だ。一周目、トップで到着したものの、7割ほど登ったところでミスし、リカバリーの隙に山本、水上にパスされてしまう。そしてここまでこの3台と共にトップグループを形成していた波田も、ここで大きく遅れてしまった。
鈴木が登頂して2周目に突入した後、スムーズに続いたのは高橋。しかし、この後には大塚や原田、上福浦、原、ZERO、三輪が到着したが、高橋に続く登頂者が出るまでにはだいぶ間が空くことになってしまった。
そんな風に、1周目にして山本、水上、鈴木、高橋の4強が出揃った。
入れ替わる順位。実力は拮抗⁉︎
ここ3年ほど、G-NETを取材させていただいているが、こんなにトップが入れ替わったレースは過去に無かったのではないだろうか。トップグループに遭遇するたびに、順位が変わっていた。
高橋だけは少し距離が空いてしまっていたため、トップは山本、水上、鈴木の3人でのバトルだった。しかし、2周目には水上が頭一つ抜け出ることに成功し、2020チャンピオンの力を見せつけた。
ところが、これはハードエンデューロ。3周目には再びトップは山本と鈴木になっており、水上は少し遅れていた。最終セクション「新 組合ヒル」までは鈴木が前、だが、そこで山本が前に出て、チェッカーは山本が先に通過するという展開。
昨年、多くのライダーがレース時間の大半を過ごした「ヤミ金キャンバー」も逆回りで使用。雨でキャンバーは使い物にならなくなり、ほぼ全てのライダーが下まで降りるラインを選択していた。
そして4周目を終え、もうレース終盤となったタイミングで鈴木健二がタイヤ交換に出た。タイヤ交換と言ってもホイールからタイヤを外して付け替えるのではなく、予めセットしてあった予備ホイールへと交換したので、それ自体にはそれほど時間はかからない作業だ。
タイヤについてここまで触れてこなかったが、ブラックバレー広島は基本ゲレンデだが、ゲレンデを使うところは一部のみで、ほとんどは山で構成されるコースだ。ガレも一部のみで、ほとんどが土での登りと下り、そしてキャンバーである。
山本は昨年に引き続きシンコーの540DCをチョイス。水上はマディの日はコレ、と決めているIRCのVE-33s GEKKOTA。ロッシはやはりIRCのM5Bを選択した。鈴木はと言えばハード系でよく使用しているDUNLOPのモトクロス・サンド用タイヤMX12を使っていたのだが、最終周に交換したのはなんと、FIM規格のEN91だった。
結果、ここを越えれば5周を周り切りチェッカー、という最後の「新 組合ヒル」に最初に到達したのは山本だった。しかしここで荒れた路面に苦戦しているうちに3時間+30分のチェッカータイムは過ぎ去り、ここでレースを終えることに。まもなく、鈴木もここに到達した。2人の差は1~2分程度だったのではないだろうか。
なお、ブラックバレー広島のリザルトでは「広島ルール」が適用される。この広島ルールは大きく分けて2つ。
・トップの周回数の6割を周回していなければ完走扱いにならない
・チェッカーを振っている30分の間に集計ポイントを通過しなければ失格となる
だ。つまり山本も鈴木も水上も高橋も、この2つ目のルールが適用されると失格ということになる。しかし今年はG-NETシリーズのポイントはブラックバレー広島の順位とは別に付与されることが事前に発表されていたため、G-NETシリーズを追いかけていたトップライダーは気にせずに次の周回に突入したというわけだ。
そしてもう一つ、幻の5周目となった最後の1周を誰も走りきれなかったため、G-NETのトップは4周目をトップで終えたライダーということになる。先にも触れた通り、最後の「新 組合ヒル」は鈴木よりも山本に分があったため、山本有利に思われるのだが、実は肝心の4周目だけ、鈴木が先に登頂していたのだ。
しかしなんと、鈴木がその後の下りで痛恨のミス、そこで山本が抜き返して、結局、先に4周目の集計を受けていたのは山本だったのである。
2連勝の山本礼人
チャンピオンの行方は日野へ
山本礼人
「今年は奈良トラの前からしっかり乗る時間を確保できてまして、ブラックバレーは去年も勝ってるので、いいイメージがあったんですが、いざスタートしたらすごく難しくてうまくペースを掴むことができませんでした。とはいえトップとすごく離れてしまうと心が折れてしまうので、グッと我慢して少しでも離されないようにして。
そのうち、ちょっと慣れてきたらペースも上がってきて、タイスケくん(水上)やケンジさん(鈴木)に追いついて、抜きつ抜かれつ。4周目の最後の新組合ヒルの下りでケンジさん(鈴木)がクラッシュしていて、そこでトップに立ってからはずっとトップでした。今回はケンジさんの安定感の高さに改めて驚かされましたね。ずっと後ろを走っていたんですけど、新組合ヒル以外ではほとんどミスがなく、アクセルを開けることの大切さを目の当たりにしました。
昨日の夜の雨の影響が、中盤に一度乾いて回復したのに、最後にまた強く降ってきて、コンディションの変化に対応するのが大変でした。僕はリアタイヤは540DCで、鉄板なんですけど、コースがとにかくどこもツルツルだったので、フロントタイヤを信じて祈りながら走ってるようなレースでしたね。
本当にGASGASのEC300との相性が良くて、エンジンがすごく回るので、回して乗るのが好きな僕にとってはすごく乗りやすいんです。奈良トラが終わってからはサスペンションのセッティングを変更したり、エンジンも少しチューニングしてもらって、マシン作りにも力を入れました。これまでは完全にハード寄りのセッティングだったんですけど、今年はJECにも出てるので、少しパワーも出してサスもしっかりめにして、結果その方がスピードも出しやすいので楽に乗れるんですよね。
ちょうど昨日の夜、寝る前にインスタグラムやTwitterを見ていたら、トルコのSea to Skyに参戦している佐々木さん(佐々木文豊)やナツメちゃん(木下夏芽)が最終日を走っていて、特にナツメちゃんがポイント5まで行っていたのは勇気をもらいましたね。
ケンジさんの調子もいいし、ロッシさんも今回3位ですから、日野までは気が抜けないですね。今年はJECのNBとG-NET両方でチャンピオン獲れるように頑張ります!」
鈴木健二
「最終周前の下りでタイヤが滑ってすごい勢いで転んでしまい、大怪我したかと思いました。ミタニランドの後の下りも難しくて転んだ後、ツルーってバイクと一緒に滑降するレベルで……。最後の周に、FIMタイヤどうかな、と思って交換したら、ずっとうまく登れなかった最後の新組合ヒルがすごく良くて一発で登ることができましたね。開幕戦、広島とアヤト(山本)に勝たれていて、僕が2位なので、日野と最終戦どっちも勝てるように頑張ります」
高橋博
「怪我はもう完治していて身体は万全です。今日でだいぶレース勘も戻ってきたと思います。最後の30分で雨が強くなってきて下りが激変してしまい、たくさん転んで5周目を周回することができませんでしたが、3周目にタイスケくん(水上)も抜けて、3位に上がることができました」
水上泰佑
「2周目はトップだったのですが、レース中盤からエンジンがうまくかからなくなってしまって、プラグ変えたり色々試した後に、キルスイッチの泥噛みトラブルだったことが判明しました。おそらく下りで転んだ時に泥が詰まってしまったんだと思います。対策をして次の日野ではしっかり勝ちたいと思います!」
ブラックバレー広島は「完走者1人」!
では広島ルールに基づき、失格となったライダーが多数でた今大会、優勝したのは、泉谷之則だった。泉谷はG-NETライダーで、G-NETポイントを追いかけているのだが、たまたま集計ポイントを通過したタイミングがよく、3周を終えた段階でチェッカーが振られていたのだ。
泉谷之則
「去年は広島ルールで失格になってしまったんですけど、今年は広島ルールで優勝することができました。僕はそんなにマディが得意ではないので、最初は雨降って欲しくなかったんですけど、結果的には雨が降って良かったのかな、と。
タイヤはM5Bと悩んだのですが、結局VE-33s GEKKOTAを使いました。アクセルが多少ラフになっても懐が広くて、タイヤがカバーしてくれるので、今日の僕にはすごく合ってました。
最近はJECにも参戦していてスピード域が上がってきているので、ゲレンデとかはすごく楽しく走れましたね。逆にハード系の練習がちょっと疎かになってしまっていたのですが、フロントタイヤに選んだM5Bがすごく刺さってくれて助かりました」
なお、泉谷が3周した今大会だが、他の完走者6名はみな1周だったため、1つ目の広島ルール「トップの6割を周回しないと完走にならない」に該当し、今年のブラックバレー広島の完走者は泉谷ただ1人、ということになった。
また、ブラックバレー広島では恒例となっている併催「爺NET」では50~59歳、60~64歳、65歳以上と年齢別にクラス分けされ、表彰が行われた。
50~59歳クラスでは高橋博が優勝。
60~64歳クラスでは大宮康司が優勝。
そして65歳以上の通称「仙人クラス」では水上の父、水上泰晴が優勝となった。御年66歳だ。
G-NETシリーズ戦、次戦は11月14日、群馬県日野ハードエンデューロ。そしてそこでランキング20位までに入った者が12月5日、四国で開催される特別選抜戦に招待され、チャンピオンが決定する。とはいえ、有効ポイント制が適用されるため、もし日野で山本が優勝すれば、その時点で山本の年間チャンピオンが決定するのだ。
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