富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第2戦富士で実戦デビューを果たした11号車GAINER TANAX Z。同レースはオーバーヒートの症状が出てリタイアとなったが、鈴鹿サーキットで行なわれた第3戦でも完走はならなかった。
市販車の量産モノコックをベースに作られたオリジナルマシンとして注目を集めるGAINER Z。様々な事情で製作が遅れた結果開幕戦は欠場となり、第2戦富士でデビュー。予選はQ2のトラブルにより最下位となったが、Q1では富田竜一郎が全体5番手のタイムをマークするなどポテンシャルの高さを見せた。
■“GTの原点”に立ち返る新たな挑戦。市販車モノコック製Z GT300をデビューさせたゲイナーが奮闘の先に見据えるものとは
富士戦の決勝レースではオーバーヒートによりストップする場面が続き、最終的にリタイアを選んだGAINER。第3戦までのインターバルは1ヵ月弱しかなく、チームは取り急ぎ冷却関係の対策を進め、パーツを“全バラ”してのチェック作業を経て、鈴鹿に乗り込んできた。
鈴鹿に投入されたマシンには、目に見えるアップデートもいくつかあった。リヤ部分には、リヤブレーキやミッションオイルクーラー、エアコンのコンデンサーなどを冷却するためのインレットが新設されており、ボンネットのダクト前には整流のためのリップが立てられた。
その鈴鹿戦でもGAINER Zは予選で存在感を見せ、10番グリッドを確保した。そして決勝レースでも富田が長らくポイント圏内を走行していたが、ピットインして石川京侍に交代した直後のタイミングでガレージインとなってしまった。
GAINERのチーム代表でもある福田洋介エンジニアによると、今回は冷却系の水温にも問題なく、走行を続けられていたというが、フロントグリルから侵入した異物がラジエターのチューブに刺さってしまい、それがピット作業のジャッキダウン時に取れてしまったようだという。それによって水漏れがあったのか、アウトラップに水温のアラームが点灯し、ピットに戻ることになった。
Zのフロントグリルには8mm程度の穴が空いた網が張られているが、異物はそこを掻い潜ってきた模様。対策としては、ラジエターコアの前にさらに目の細かい網を張ることが考えられるが、福田エンジニア曰く「現状は水温にも余裕がないので」とのこと。そこは冷却効率とのオフセットになってくるだろう。
ここまでは冷却対策に集中してきたこともあり、パフォーマンスアップのためのアイテムを投入するには至っていないGAINER Z。しかし第4戦富士までには2ヵ月のインターバルがあり、7月にはSUGOでテストの予定があるとのことで、さらに熟成を進めることを目指している。
まずは、Zに合ったタイヤの選定を進めていきたいという福田エンジニア。「今回リタイアにはなりましたが、1スティントを走り切ることができ、(タイヤに関して)方向性は見えたかなと。熱害の部分も、今回涼しくなったとはいえ、ある程度見えた部分もありましたので、次に向けてはさらに具体的な対策を立てられると思います」とコメントした。
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