7月30~31日の週末に、ブラジルが誇るサンパウロの国際F1トラック、アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)で争われたSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”第7戦は、TOYOTA GAZOO Racingブラジルのマティアス・ロッシ(A.マティス・フォーゲル/トヨタ・カローラ)が、アルゼンチン出身者として最多のシリーズ2勝目を挙げ、名実ともに“SCBでもっとも成功した外国人”の称号を得ることに。
続くレース2は、フェラーリのファクトリードライバーとしてスパ24時間に参戦するダニエル・セラの代役として、同じく国際経験豊富なフェリペ・フラガ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が招聘され、SCB史上最年少チャンピオン獲得記録を持つ実力派が、スポット参戦で涙の勝利を手にしている。
ダブルヘッダー4戦で4人の勝者が誕生。現役王者に加えピケJr.もキャリア2勝目/SCB第5&6戦
インテルラゴスでシーズンも折り返しを迎えた2022年のSCBは、前戦で選手権首位に浮上した3連覇経験者のセラが、同週末開催のIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第2戦/GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第7戦スパ24時間に出場するため欠席となり、急きょ2016年のSCBチャンピオンで、自身もWEC世界耐久選手権やGTWCを経験するフラガがピンチヒッターを務めることとなった。
こうして始まった金曜フリープラクティスは、豪雨に見舞われた午前FP1をチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)が、ドライに転じた午後に2015年王者のマルコス・ゴメス(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)が、前戦からの好調を維持してトップタイムを記録。引き続きシボレー/トヨタともに拮抗した速さを見せ、上位23台が秒差圏内にひしめく混戦模様となった。
明けた土曜午前に実施された予選では、Q3でフェリペ・ラピーニャ(ホットカー・コンペチソイス/シボレー・クルーズ)が1分39秒633のトップタイムを叩き出したものの、ピットレーンでの50km/h速度制限を3.4km/h上回ったとして、3グリッドダウンのペナルティが課せられることに。この結果、セザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)が最前列からのスタートとなり、ロッシ、フラガと続くグリッドとなった。
「僕らが他陣営に比べて小さなチームであることは周知の事実だ。少しでもスポンサーを獲得し、それを実現するため日々戦っている。そして結果が出たときには、みんなで感謝を捧げるんだ」と、予選後に語ったラピーニャ。
「予選最速の結果が出せて、本当にとても幸せな日だ。ペナルティは機会的なトラブルで不公平だと感じるし残念だが、トラックでは我々が最速だったことは事実だからね」
一方、この週末を前に33歳を迎えたラモスは、今季の堅実なパフォーマンスを強調し、最前列でスタートすることの重要性を説いた。
「僕は今季7戦で5回のQ3進出を果たしている。でも今日のフェリペ(・ラピーニャ)はトラック上でより優れていた。全員が非常に接近しているし、みんなオーバーテイクがいかに難しいかを知っているから、前方グリッドが本当に重要なんだ。明日に向け、素晴らしい仕事ができると確信しているよ」
■ロッシが漁夫の利を得て今季2勝目
そうコメントを残して日曜午後13時過ぎからのレース1に挑んだラモスは、序盤の数ラップこそリードを維持したものの、30分+1ラップのスプリントで背後のフラガとロッシに攻め立てられる展開に。
すると義務ピットに向け同時にピットレーンへと飛び込んだ首位ラモスとフラガは、ファストレーンで疑惑のアンセーフリリースとも言うべき際どいタイミングで、サイド・バイ・サイドのままコース復帰を果たす。その直後、2台には最悪の結末が訪れ、フラガと絡んだラモスがスピンを喫し、ここで勝利へのチャレンジは敢えなく終了。ひさびさのSCB実戦となった2016年チャンピオンにはペナルティが課されることに。
これで漁夫の利を得たのが隣国アルゼンチンから“越境参戦”を開始して2年目のロッシで、前戦ヴェロパークのダブルヘッダーでは週末4戦で3回の表彰台を獲得した勢いそのままに、2番手ラピーニャと3番手ギリェルメ・サラス(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)からのプレッシャーを跳ね除けトップチェッカー。第4戦ヴェロチッタでの初優勝に続き、今季2勝目を飾ってみせた。
「本当にスペシャルな気分だ、夢がかなったよ。このまま1日が終わって欲しくないほど、本当に幸せだ。子供の頃からテレビでたくさんのレースを観戦して来たし、このインテルラゴスで勝てたことは大きな喜びであり、トヨタ、TGR、そしてチームのメンバー全員に感謝したい」と、ブラジル出身ドライバー以外でSCB最多勝となったロッシ。
そのままレース1直後にわずかなインターバルで開始されたレース2は、リバースグリッドの最前列から出たトヨタのカミーロと、フロントロウのロドリゴ・バプティスタ(クラウン・レーシング/シボレー・クルーズ)に対し、前戦で惨敗を喫した元王者フラガが逆襲。強豪ユーロファーマRCが繰り出す戦略の優位性を完璧に活かし、史上最年少チャンピオンが義務ピットを経てオーバーカットに成功。そのまま2秒927差でフィニッシュラインを越え、代打起用に応える戦果を残した。
「本当に良い週末になった。Eurofarma-RCとダニエルからの招待を受け、とても光栄だったよ。ひさびさに親しい友人やストックカーの面々にも会うことができたし、こうしてレース2を獲ることもできた。レース1だけはセザールと残念なアクシデントになってしまったが、シリーズを代表するチームで勝てたことをうれしく思うよ」
一方、勝者フラガと2位カミーロの背後でチェッカーを受け、自身初の表彰台獲得かと思われたバプティスタだったが、再車検で最低重量制限違反は発覚してまさかの失格に。結果、リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が繰り上がりの3位となった。
続くSCB第8戦は、9月3~4日の週末にサンパウロ州の山間部、モジ=グァスーに位置するアウトドローモ・ヴェロチッタで争われる。
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