■「スバルのスポーツ」をどう表現するか?
2023年10月に開催されたジャパンモビリティショー2023に、スバルはコンセプトモデル「スポーツモビリティコンセプト」を出展しました。2023年12月8日から11日まで開催された大阪モビリティショーでも展示されましたが、このクルマは、バッテリーEV(BEV)の時代になってもスバルらしいスポーティな運転の楽しさを表現したいとの思いが込められたといいます。担当デザイナーに話を聞きました。
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今回話を伺ったのは、スバル商品企画本部デザイン部担当部長の戸叶大輔さんです。このクルマのコンセプトについて戸叶さんは次のように語ります。
「BEVの時代になったとしても、スバルの持つスポーツ性能として、運転する楽しさだけでなく、自分の意思でコントロールする楽しみもしっかりと残していきたいと考えています」
スポーツモビリティコンセプトは、この楽しみを「ピュアにデザインで表現した」といいます。
クルマの通常のデザインは、何かのフルモデルチェンジなどがほとんどですので、レイアウトやコンポーネントなどの制約が付きまといます。しかしスポーツモビリティコンセプトの場合は、「そういうのも全くない状態で、ピュアにスポーツをどう表現するかに取り組みました」といいます。
そうすると、ある程度自由にデザインできるため、デザイナーとしては楽しかったのでは――そう聞くと、「そうですね。楽しくもあり難しくもありました。フルモデルチェンジなどの場合は、将来形は大体予測しやすいのですが、今回の場合はスポーツということだけを表現しようとしたため、例えば4ドアセダンだと既存の『WRX』、2ドアだと『BRZ』に見えてしまわないようにするのが少し難しかったですね」と述べました。
では、なぜ2ドアを選んだのでしょう。
戸叶さんは、「2ドア、4ドアにはあまりこだわっていません。それよりもドライバー中心にクルマをコントロールすることにフォーカスすると、ドライバーをホイールベースの中心に座らせたいんですね。そうするとリアドアがあるとどうしても前に出てしまうので、この思いをピュアに表現すると必然的に2ドアになったんです」ということでした。
また、スポーツというコンセプトにたどり着いたあとも、様々な議論がなされたようです。
「スバルが今までやってきたスポーツとはどういうことか。お客さまが何を受け入れ、共感していただいていたのかをしっかりと抽出しました。その結果、どんな天候でも、どんな時でも、どんな道でも楽しく走れるというところがスバルの一番根底にあるものだと思ったのです。ですからそれをピュアに表現していくことが、今回一番ふさわしいコンセプトカーのあり方ではないかとデザインしていきました」(戸叶さん)
■未来のスバルの独自性を
スバルといえば水平対向エンジンやシンメトリカルAWDといったイメージが強くあります。では、スポーツモビリティコンセプトはどうでしょう。
「パワートレインとしてはBEV以外は全くノーアイデアですし、デザインする上では全く設定をせずにやりました。そういった独自性はBEVの時代では難しくなってくることを踏まえ、それら以外でスバルの独自性をどう表現していくか、まさにデザインでそういったところが表現できないといけないし、そこでワクワクしてこれに乗ってみたいと思ってもらえることが一番大事なところです」と戸叶さんは話します。
ではそのポイントは何か。
戸叶さんは「まずは人を中心としたクルマ作りで、『スバル360』から脈々とやってきていますし、どんな時にもどんなところでも安心して走れるようなところにお客さまは共感してくれているのです。そういったところを改めてしっかりと紐解いて学んで、その上でBEVというコンポーネントを使ったら何ができるのかという新しい解釈、ソリューションを考えていかなければならないでしょうね」と決意を語りました。
スポーツモビリティコンセプトを眺めると、直線基調のデザインだと感じられます。しかし、俯瞰すると前後フェンダーが張り出し、ドライバーを中心に四輪それぞれに力が向かうような立体構成となっており、その結果としてキャビン周りが少しえぐれたようにも見えます。これは明らかに意図のあるデザインです。
「スバルはこれまでもタイヤを強調するためにフェンダーの表現にはこだわりを持ってやってきています。スポーツモビリティコンセプトも、スポーツではありますが、サーキットを走るだけではなく、どんなシーンでも楽しく走ることを表現するために、プロテクトしていくというイメージを持たせたかったんです。
また、エアロダイナミクス、空気の流れを意識させようとこのフェンダー周り、あるいはホイール周りでスポーツとエアロダイナミクスを両立させた表現です。今我々はこういう模索をしているんです」(戸叶さん)
現時点では実験的ですが、将来はこのクルマから発展したデザインアイデアが採用されてくるかもしれません。
空力といえば、大きなポイントがカラーで採用されています。それはブルー、WRブルーです。
戸叶さんは、「スポーツを表現するときに、これまで我々が培ってきた何かを引き継ぎたいと思い、このWRブルーという特徴的な色を採用しました。この青いところは、風の流れるところをイメージして、そこにこのカラーを使うというテーマでやっています」と説明。
また、カーボンも採用していますが、これは「チップドカーボン」あるいは「チョップドカーボン」と呼ばれるもので、スバルのスーパー耐久レースのマシンでもフードで使われています。いわゆる破材であり、リサイクルドマテリアルなのです。
スバルは航空機も製造しておりカーボンの破材が出るため、それを使うことで無駄が出ず、環境負荷も低く、さらに従来と同じような軽さと強度が出せるという強みを持っており、あえて採用したとのことでした。
ショーカー然としたスポーツモビリティコンセプトですが、実はフェンダーの作られ方や全体のプロポーションは、今後のスバルのデザインを示唆するイメージが盛り込まれているように思います。
その理由は、戸叶さんが話すスバルのスポーツ性を表していると同時に、これまでもスバルのデザインの系譜を取り入れ、その要素を新たな解釈で取り入れているからです。BEVになってもスバルに求められる走りのイメージを今後どのように伝えていくか、そのデザイン提案の一つがこのスポーツモビリティコンセプトなのです。
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みんなのコメント
書く意味が全くわからないのですが、これも閲覧数を増やすためのくるまのニュースさんなりの工夫なのでしょうか?
和製ってのはフェラーリ等の海外スポーツカーとの対比を意味してるってことでしょうか、この語句の「発想と意図」を知りたいですw
スバル ヴィークル X の頭文字を取ってのネーミングだからEVとして、旗艦の復活は大いにアリだね。