現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラスへ試乗 3L直6ディーゼルがベストフィット

ここから本文です

「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラスへ試乗 3L直6ディーゼルがベストフィット

掲載 14
「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラスへ試乗 3L直6ディーゼルがベストフィット

富裕層のファッションアイテム?

Gクラスの歴史は古い。ゲレンデヴァーゲンと呼ばれていたことを、ご存知の読者もいらっしゃるだろう。

【画像】「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラス 有能オフローダーたちと比較 全183枚

メルセデス・ベンツと、その子会社のシュタイアー・ダイムラー・プフが開発した、オリジナルの発売は1979年。フロントグリルにスリーポインテッドスターを備えた、最高出力156psのオフローダーだった。

それ以来、富裕層のファッションアイテムの1つのような存在へ変化し、高性能なメルセデスAMG G 63も登場。先日ご紹介した、G 580 EQテクノロジーと呼ばれる、バッテリーEVも誕生した。しかし、基本設計は長年に渡って踏襲されている。

そんなGクラスは、2024年にアップデートされた。内燃エンジンでは、3.0L直列6気筒ディーゼルターボがエントリーユニット。新しく、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)によるマイルド・ハイブリッドになった。

同時に、僅かにパワーアップ。これまでG 400dを名乗っていたが、50増えてG 450dへ改められている。

英国へ導入されているガソリンエンジンは、G 500の3.0L直列6気筒ターボのみ。強力なV8エンジンを希望するなら、メルセデスAMGへステップアップするしかない。

価格の幅は大きく、上位グレードではランドローバー・レンジローバーやベントレー・ベンテイガに並ぶ。それでいて、オフロード性能はディフェンダーやジープ・ラングラーにも劣らない。

見た目は伝統を感じる無骨なGクラス

改良を受けたといっても、見た目は従来どおり、伝統を感じさせる無骨なGクラス。ラダーフレームにボディが載った構造も変わりない。フロントサスペンションは、最新世代ではダブルウィッシュボーン式になっているが。

ドアヒンジはボディパネルの外へ露出し、ドアハンドルは巨大。フェンダー上に突き出たウインカーや、テールゲートに固定されたスペアタイヤなど、すべてが本物で機能的だ。2024年仕様では、フロントバンパーとラジエターグリルが新しくなった。

フロントピラーは僅かにカーブが強められ、フロントガラス周辺の処理にも手が加えられた。これは、空気抵抗と風切り音を低減するために施されたもの。バッテリーEVのG 580の開発から、生まれたものだという。

最低地上高に余裕があるGクラスは、キャビンの位置も高い。サイドステップも兼ねたロックレールへ足をかけ、登るように乗り込む。

車内空間は、想像より頭上空間にゆとりがある。しかし、前後方向はこのクラスとしては狭め。レンジローバーの広さがよくわかる。

ダッシュボードの上部には、12.3インチのモニターが2面並ぶ。片側はメーター用で、もう一方はインフォテイメント用だ。エアコンには、実際に押せるハードボタンが残されている。

ダッシュボード中央には、オフロード走行時に活躍するコントロールセンター。主要な機能へのアクセス性が改善された。

スイートスポットは3L直6ディーゼル

内装の品質は、同価格帯の高級SUVと比較すれば、僅かに期待を下回るかもしれない。とはいえ素材は上質で、多くのユーザーが気に留めることはないだろう。

カップホルダーには、温度調整機能を内蔵。ワイヤレス・スマートフォン充電パットも追加され、Gクラスとして初めて、キーレスゴーも実装された。

普段使いの足を引っ張りそうなのが、スペアタイヤを背負った横開きのテールゲート。狭い駐車場では、開くことができない。床面も高く、奥行き方向に浅く、4825mmの全長を考えれば容量も大きくはない。

確認はこのくらいにして、発進させてみよう。ISGのアシストを受け367psを発揮する、ディーゼルのG 450dがスイートスポット。豊かなトルクを簡単に引き出せ、高めの着座位置と相まって、Gクラスを謳歌できる。

追い越しを手早くこなせ、オフロードとの相性も優れる。現実的には3500rpm程度までしか回さないと思うが、ガソリンターボのG 500と変わらないくらい速い。

車格を考えれば燃費も良好で、カタログ値は10.6km/L。今回の試乗では、平均9.9km/Lが表示されていた。

G 500も不満なく速い。シフトパドルを弾けば、5000rpm以上まで豪快に吹け上がる。しかし、エンジンノイズには息苦しさも伴う。AMGのV8エンジンとは、小さくないギャップがある。

トランスミッションは、共通して9速オートマティック。発進時などに鋭い加速を求めると、変速に悩むことがあった。トルク特性が影響してか、G 450dよりG 500の方が変速の回数は増えるようだ。

感心するほどのグリップ力と文化的な乗り心地

操縦性は、近年のSUVのように乗用車ライクというわけではない。それでも、公道を不安感なく走り回れる。必要なら、目的地まで飛ばすことも問題ない。

ステアリングのレシオは適度にクイックで、反応は漸進的で予想しやすい。全幅が1931mmもあるボディを、正確に車線の中央へ留めておける。

カーブへ侵入すると、負荷の増加へ合わせて徐々にボディロールは増えていいくが、タイヤは狙ったラインを忠実に辿る。オン・オフの性能を両立させたSUVへ、グリップ力では並ぶだろう。

ロータリー交差点やショッピングモールの駐車場でも、充分機敏に扱える。サイズが大きく、小回りはさほど利かないけれど。

連続するコーナーを、小気味よく楽しむタイプではない。インテリアの豪奢な雰囲気を味わいながら、リラックスして運転した方がGクラスらしい。高めの視点から下界を見下ろすように、ゆったり移動するのが向いている。

車内は基本的に静かだが、高速道路の速度域では風切り音が耳につく。四角く大きいボディやドアミラーが、空気を切り裂くのだから仕方ない。

乗り心地は、リジットアクスルをリアに携えた大型オフローダーとしては、感心するほど文化的。レンジローバーほどではなくても、不整を優しくなだめる。強めの入力がタイヤへ加わると、その事実が伝わってくるが、快適性を大きく乱すほどではない。

Gクラスとしての正常進化 魅力は強化

今回の試乗では、オフロードを試す機会はなかった。最低地上高は229mmで、路面とボディが接する角度は、フロントオーバーハング側で31度ある。渡河水深は700mmで、35度の斜面を横向きにも走れるから、能力が高いことは間違いない。

Gクラスとして正常進化を遂げたといえる、最新仕様。従来以上に運転しやすく、高級感は増し、ワイルドさやラグジュアリーさに惹かれてきた富裕層をさらに強く誘惑するはず。V8エンジンも加われば、英国市場では一層訴求力が高まるだろう。

ただし、大きな高級SUVとしての総合力で考えれば、レンジローバーの方が勝る。悪路性能やクラシカルな雰囲気という点では、ジープ・ラングラーを選べば半分程度の予算で済んでしまう。

従来どおり、最も賢明な選択肢だとはいえないことに変わりはない。むしろ、それもGクラスの魅力の1つなのだと思う。

◯:最上級といえる機械的な洗練度 強化された高級感 トルクが太く滑らかなディーゼルターボ
△:観音開きのテールゲート 実用性でやや劣るパッケージング 市街地などで実感する大きさ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
VAGUE
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
レスポンス
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
LE VOLANT CARSMEET WEB
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
くるまのニュース
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
くるまのニュース
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
VAGUE
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
motorsport.com 日本版
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
ベストカーWeb
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
WEB CARTOP
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
くるまのニュース
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
AUTOSPORT web
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
バイクのニュース
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
くるまのニュース
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
乗りものニュース
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
くるまのニュース
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
くるまのニュース
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
motorsport.com 日本版
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
レスポンス

みんなのコメント

14件
  • Road&Sky
    エントリーモデルではあるが、だいぶ高くなりましたね
  • nam********
    現行g400dで2,000万オーバー
    次はISGついて2,300万?2,500万?
    純エンジンの現行で良いんじゃない?

    最近は高級車の定義が2,000万くらいになってきた
    すごい時代やわ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835 . 0万円 3267 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

69 . 8万円 3500 . 0万円

中古車を検索
ランドローバー レンジローバーの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835 . 0万円 3267 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

69 . 8万円 3500 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村