富裕層のファッションアイテム?
Gクラスの歴史は古い。ゲレンデヴァーゲンと呼ばれていたことを、ご存知の読者もいらっしゃるだろう。
【画像】「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラス 有能オフローダーたちと比較 全183枚
メルセデス・ベンツと、その子会社のシュタイアー・ダイムラー・プフが開発した、オリジナルの発売は1979年。フロントグリルにスリーポインテッドスターを備えた、最高出力156psのオフローダーだった。
それ以来、富裕層のファッションアイテムの1つのような存在へ変化し、高性能なメルセデスAMG G 63も登場。先日ご紹介した、G 580 EQテクノロジーと呼ばれる、バッテリーEVも誕生した。しかし、基本設計は長年に渡って踏襲されている。
そんなGクラスは、2024年にアップデートされた。内燃エンジンでは、3.0L直列6気筒ディーゼルターボがエントリーユニット。新しく、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)によるマイルド・ハイブリッドになった。
同時に、僅かにパワーアップ。これまでG 400dを名乗っていたが、50増えてG 450dへ改められている。
英国へ導入されているガソリンエンジンは、G 500の3.0L直列6気筒ターボのみ。強力なV8エンジンを希望するなら、メルセデスAMGへステップアップするしかない。
価格の幅は大きく、上位グレードではランドローバー・レンジローバーやベントレー・ベンテイガに並ぶ。それでいて、オフロード性能はディフェンダーやジープ・ラングラーにも劣らない。
見た目は伝統を感じる無骨なGクラス
改良を受けたといっても、見た目は従来どおり、伝統を感じさせる無骨なGクラス。ラダーフレームにボディが載った構造も変わりない。フロントサスペンションは、最新世代ではダブルウィッシュボーン式になっているが。
ドアヒンジはボディパネルの外へ露出し、ドアハンドルは巨大。フェンダー上に突き出たウインカーや、テールゲートに固定されたスペアタイヤなど、すべてが本物で機能的だ。2024年仕様では、フロントバンパーとラジエターグリルが新しくなった。
フロントピラーは僅かにカーブが強められ、フロントガラス周辺の処理にも手が加えられた。これは、空気抵抗と風切り音を低減するために施されたもの。バッテリーEVのG 580の開発から、生まれたものだという。
最低地上高に余裕があるGクラスは、キャビンの位置も高い。サイドステップも兼ねたロックレールへ足をかけ、登るように乗り込む。
車内空間は、想像より頭上空間にゆとりがある。しかし、前後方向はこのクラスとしては狭め。レンジローバーの広さがよくわかる。
ダッシュボードの上部には、12.3インチのモニターが2面並ぶ。片側はメーター用で、もう一方はインフォテイメント用だ。エアコンには、実際に押せるハードボタンが残されている。
ダッシュボード中央には、オフロード走行時に活躍するコントロールセンター。主要な機能へのアクセス性が改善された。
スイートスポットは3L直6ディーゼル
内装の品質は、同価格帯の高級SUVと比較すれば、僅かに期待を下回るかもしれない。とはいえ素材は上質で、多くのユーザーが気に留めることはないだろう。
カップホルダーには、温度調整機能を内蔵。ワイヤレス・スマートフォン充電パットも追加され、Gクラスとして初めて、キーレスゴーも実装された。
普段使いの足を引っ張りそうなのが、スペアタイヤを背負った横開きのテールゲート。狭い駐車場では、開くことができない。床面も高く、奥行き方向に浅く、4825mmの全長を考えれば容量も大きくはない。
確認はこのくらいにして、発進させてみよう。ISGのアシストを受け367psを発揮する、ディーゼルのG 450dがスイートスポット。豊かなトルクを簡単に引き出せ、高めの着座位置と相まって、Gクラスを謳歌できる。
追い越しを手早くこなせ、オフロードとの相性も優れる。現実的には3500rpm程度までしか回さないと思うが、ガソリンターボのG 500と変わらないくらい速い。
車格を考えれば燃費も良好で、カタログ値は10.6km/L。今回の試乗では、平均9.9km/Lが表示されていた。
G 500も不満なく速い。シフトパドルを弾けば、5000rpm以上まで豪快に吹け上がる。しかし、エンジンノイズには息苦しさも伴う。AMGのV8エンジンとは、小さくないギャップがある。
トランスミッションは、共通して9速オートマティック。発進時などに鋭い加速を求めると、変速に悩むことがあった。トルク特性が影響してか、G 450dよりG 500の方が変速の回数は増えるようだ。
感心するほどのグリップ力と文化的な乗り心地
操縦性は、近年のSUVのように乗用車ライクというわけではない。それでも、公道を不安感なく走り回れる。必要なら、目的地まで飛ばすことも問題ない。
ステアリングのレシオは適度にクイックで、反応は漸進的で予想しやすい。全幅が1931mmもあるボディを、正確に車線の中央へ留めておける。
カーブへ侵入すると、負荷の増加へ合わせて徐々にボディロールは増えていいくが、タイヤは狙ったラインを忠実に辿る。オン・オフの性能を両立させたSUVへ、グリップ力では並ぶだろう。
ロータリー交差点やショッピングモールの駐車場でも、充分機敏に扱える。サイズが大きく、小回りはさほど利かないけれど。
連続するコーナーを、小気味よく楽しむタイプではない。インテリアの豪奢な雰囲気を味わいながら、リラックスして運転した方がGクラスらしい。高めの視点から下界を見下ろすように、ゆったり移動するのが向いている。
車内は基本的に静かだが、高速道路の速度域では風切り音が耳につく。四角く大きいボディやドアミラーが、空気を切り裂くのだから仕方ない。
乗り心地は、リジットアクスルをリアに携えた大型オフローダーとしては、感心するほど文化的。レンジローバーほどではなくても、不整を優しくなだめる。強めの入力がタイヤへ加わると、その事実が伝わってくるが、快適性を大きく乱すほどではない。
Gクラスとしての正常進化 魅力は強化
今回の試乗では、オフロードを試す機会はなかった。最低地上高は229mmで、路面とボディが接する角度は、フロントオーバーハング側で31度ある。渡河水深は700mmで、35度の斜面を横向きにも走れるから、能力が高いことは間違いない。
Gクラスとして正常進化を遂げたといえる、最新仕様。従来以上に運転しやすく、高級感は増し、ワイルドさやラグジュアリーさに惹かれてきた富裕層をさらに強く誘惑するはず。V8エンジンも加われば、英国市場では一層訴求力が高まるだろう。
ただし、大きな高級SUVとしての総合力で考えれば、レンジローバーの方が勝る。悪路性能やクラシカルな雰囲気という点では、ジープ・ラングラーを選べば半分程度の予算で済んでしまう。
従来どおり、最も賢明な選択肢だとはいえないことに変わりはない。むしろ、それもGクラスの魅力の1つなのだと思う。
◯:最上級といえる機械的な洗練度 強化された高級感 トルクが太く滑らかなディーゼルターボ
△:観音開きのテールゲート 実用性でやや劣るパッケージング 市街地などで実感する大きさ
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みんなのコメント
次はISGついて2,300万?2,500万?
純エンジンの現行で良いんじゃない?
最近は高級車の定義が2,000万くらいになってきた
すごい時代やわ