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ロールス・ロイスの最新EVはゴーストを思わせる乗り味。「スペクター」海外試乗記

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ロールス・ロイスの最新EVはゴーストを思わせる乗り味。「スペクター」海外試乗記

ロールス・ロイスが送り出した最新のピュアEV、「Spectre」(スペクター)は、ゴーストの運転感覚に近い。米ナパバレーで開かれた試乗会に参加した著者はそう評する。電気で走るようになっても、グッドウッド流の巧みな“しつけ”により、ベスト・オブ・ベストな乗車体験をもたらす、まごうことなきロールス・ロイスに仕上がっているようだ。

ワンペダル走行も可能

ロールス・ロイスが提案する電気時代の高級車とは。「スペクター」海外試乗記

ロールス・ロイスは、「スペクター」について、面白いことを言っている。「BEVを作ろうと思って開発したのでなく、ロールス・ロイスの新型車を作ろうと思ったのが、順番です」 トルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOの言葉だ。

ただし、読者の方もご存知と思うけれど、ロールス・ロイスといっても、いまはモデルレンジが広い。ショファードリブンの「ファントム エクステンデッドホイールベース」もあれば、SUVの「カリナン」も。

スペクターの運転感覚が近いかなと思ったのは、「ゴースト」だ。サスペンション設計においては、見えない一点から車両が吊り下げられているイメージで設定するスカイフック理論が、ゴースト同様、「プラナー」サスペンションをフロントに持つスペクターに採用されている。

ドライビングする感覚は(車重はスペクターのほうが300kg以上重いが)ゴーストを思い出させた。大きさに関係なくカーブを曲がっていくのも、意外なほど楽しいのだ。

米国とはいえ、山岳路はわりと幅が狭く、車体全幅が2,144mmのスペクターだとやや緊張する。けれど、後輪操舵も適度に作用してくれているのだろう、すぐに操縦感覚は自分の手のものになる。

軽い操舵感覚だけれど、エンジニアリング統括のドクター・アヨウビが「路面からの情報はしっかり伝わるようにした」と言うとおり、どんな道でも不安はまったくなかった。

変速機には回生ブレーキを使ってワンペダル走行ができる「Brakeモード」ボタンが設けられている。ぱっとアクセルペダルを離すと、かなり強めの効きを示す。

カーブが連続する道ではBrakeモードは使いやすい場面もある。アクセルペダルをどれだけ戻して回生ブレーキを効かせるかは、慣れるしかない。下り坂では車重ゆえの慣性重量もあって、最初はやや緊張した。が、それもすぐ慣れた。

プリズム型バッテリーを採用

走行中の電気のフロー、つまり電力が前後モーターにどれぐらい振り分けられているかを、車内モニターでチェックできるかということについて、試乗のとき英国から来ていたロールス・ロイスのスタッフに確認したが、どうもうまく行かず(「見られない」という回答だった)。全輪駆動システムの視認はできなかった。

使っているバッテリーは、プリズムタイプ。四角柱を敷き詰めてある。セルをモジュール化してパックにいれ、それをシャシーに載せるという設計は、従来と同じだ。

プリズムタイプは、「BMW i7」と同様。BMWでは、発売を計画中のBEVプラットフォーム「ノイエクラッセ」(昔の1500シリーズのとき使われた名称を復活させた)において、円筒形タイプを使うとしている。

なぜ、円筒形とプリズムの両方? それをドクター・アヨウビに確認すると、「スペースの関係で」という答えだった。

「スペクターは、フロア高がうんと低いというのが設計要件だったし、側面衝突の安全性を考慮すると、一定のスペースが必要となるため、プリズム型を採用したのです。将来のことを今は言えません。ソリッドステートバッテリーを含めて、どれが最適か、市場で見ていくことになるでしょう」

Vol. 4へ続く

ロールス・ロイス スペクター

全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4,800万円

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