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ロータス・エリーゼ シリーズ1かシリーズ2か ヘセルを救った傑作スポーツ 後編

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ロータス・エリーゼ シリーズ1かシリーズ2か ヘセルを救った傑作スポーツ 後編

ドライバーに優しいシリーズ2のSC

執筆:Jack Phillips(ジャック・フィリップス)

【画像】ロータス・エリーゼ シリーズ1と2 派生モデルのエキシージとエヴォーラも 全60枚

撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


2000年に発表されたロータス・エリーゼ・シリーズ2。従来までの包まれ感を失うことなく、乗降性は大幅に改善された。ダッシュボードも一気に現代化され、シートは快適で長時間のドライブも許してくれる。

運転席からは、高い位置のホイールアーチ越しにヘッドライトの峰がわずかに見える。他のモデルで見覚えがあるエアコンの送風口が、車内に4つ並ぶ。シフトノブはアルミニウム製。現代にも通じる雰囲気だ。

安全性が高められたダッシュボードの下側には、カップホルダーさえある。「でも、ラジオは必要ないですけどね」。と言葉を漏らすのは、オレンジ色のシリーズ2を所有するマイケル・ギャラガー氏だ。

エリーゼSCで、自然吸気ではなく、スーパーチャージャーで過給されている。エアコンやパワーウインドウなどの快適装備で増えた車重を、馬力で覆い隠すように。

「エリーゼを購入した時から、オーナーズクラブのメンバーです。このクルマはインターネットに載っていて、現物は見ずに2009年に買いました。2008年式なので、1年落ちの状態で」

「購入時の走行距離は1万4000kmほど。現在は3万kmを超えたくらいです。乗るのは近所のみ。動力性能には大きな違いがあります。トルクが太く、歳を重ねたわたしには魅力的な仕様ですね」。ギャラガーが笑う。

この過給エンジンは、エリーゼを別物へ生まれ変わらせた。完璧ではないかもしれないが、より乗りやすくドライバーに優しい。

ヨーロッパSやエヴォーラに展開

シリーズ1から登用されていたローバー社製のエンジンは、2003年に引退。エスプリの後継モデルの予定はなく、アメリカ人はエリーゼの導入を待っていた。

ロータスの伝説的技術者、ロジャー・ベッカー氏もエンジンの変更に賛同。マレーシアのプロトン傘下に収まるなかで、乗り気ではなかったトヨタを説得し、セリカ用1.8L 4気筒エンジンと6速MTの導入が決まる。

2004年にトヨタ社製ユニットはすべてのエリーゼへ搭載されるようになり、翌2005年に北米での販売がスタートした。それまでエアバッグが標準ではなかったこともあり、アメリカでは正規に購入することはできなかったのだ。

シリーズ2のエリーゼ誕生で、ロータス・モデルは複数に拡大。特別仕様がリリースされ、エキシージの上位モデルとしてヨーロッパSが誕生。4シーターのエヴォーラと、スパルタンなツー・イレブンも生み出された。

商業的な面で最も影響が大きかったのは、やはりイートン社製のスーパーチャージャーを載せたエリーゼSC。車重は1tを切るほど軽量なままで、0-97km/h加速を4.3秒でこなした。最高速度は241km/hとなり、オリジナルのシリーズ1より38km/h高い。

トルクが増えるということは、変速の回数が減るということ。ダルに感じることなく、アクセル操作で素早くスピードを高められる。選ぶべき段数に気を取られることなく、コーナリングラインに集中できる。

ストレートを加速させれば、スーパーチャージャーの唸りが響く。これも一興だ。

公道では唯一無二の軽さと鋭さ

センターラインに打たれたキャッツアイをタイヤで舐めても、シリーズ2なら揺れや振動音が小さい。シリーズ1とは異なり、充分な防音材が備わる。

もちろん、一体感や落ち着きは保たれている。コーナーの途中でアクセルペダルの角度を調整すれば、前後タイヤに掛かる荷重を自在に操れる。ステアリングホイールには、軽く触れていれば良い。その感触も素晴らしい。

どちらのオーナーも、エリーゼで長距離旅行は楽しんでいないという。でも、驚く事実ではないだろう。荷室と呼べる部分は、エンジンの後ろに用意されたクーラーボックス程度の空間だけ。

ソフトトップを積んでしまうと、荷物用の空間は殆ど残らない。エリーゼ好きのオーナーが、ソフトトップを閉じて走らせるとも考えにくい。

エリーゼを存分に楽しむのに、人里離れた遠くまで足を伸ばす必要はない。いつもの速度域で味わえる。長距離旅行を楽しみたいなら、エヴォーラとセットで所有するのが良い。どちらも大切に維持したくなるはず。

ロータスを救った傑作ライトウェイト

バリエーションは多岐にわたるが、今回ご登場願ったエリーゼは、シリーズ1とシリーズ2の特長を端的に表す例だろう。コーナーの頂点を追い求めて手軽に遊びたいなら、オリジナルのシリーズ1がベストだ。

その軽さと鋭さを併せ持つモデルは、公道では唯一無二。やや時代を感じさせる見た目が、クラシックカーとしての魅力も追加している。一方でもう少し高い速度域で、崇高なシャシーを過度な努力なしに味わいたいなら、シリーズ2のSCが良い。

2台のどちらを選ぶべきか。その日の気持ちや、走りたい道で変わってくる。シリーズを問わず、ロータス・エリーゼのオーナー以上に、毎日が満ち足りているクラシックカー・オーナーは存在しないのではないだろうか。

間もなくエリーゼは、本当に生産が終わってしまう。だがロータスを救った傑作ライトウェイト・スポーツカーは、長かったモデルライフ以上に今後も語り継がれるはずだ。

ロータス・エリーゼ シリーズ1と2のスペック

ロータス・エリーゼ・シリーズ1 1.8i(1996~2000年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万8950ポンド(新車時)/2万5000ポンド(380万円)以下(現在)
生産台数:8613台(1.8iのみ)
全長:3726mm
全幅:1820mm
全高:1202mm
最高速度:199km/h
0-97km/h加速:5.5秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:723kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:119ps/5500rpm
最大トルク:16.8kg-m/3000rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ロータス・エリーゼ・シリーズ2 SC(2007~2011年/英国仕様)のスペック

英国価格:3万2550ポンド(新車時)/3万ポンド(456万円)以下(現在)
生産台数:1402台(SCのみ)
全長:3785mm
全幅:1850mm
全高:1117mm
最高速度:241km/h
0-97km/h加速:4.3秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:870kg
パワートレイン:直列4気筒1796ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:220ps/8000rpm
最大トルク:21.5kg-m/5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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