ロンドンの大気汚染対策 最新情報まとめ
英国の首都ロンドンでは、都市部の大気汚染対策として「ULEZ(超低排出ガスゾーン)」という規制区域が設定されている。エンジンを搭載する一部の車両は通行時に料金を支払わなければならないが、今年8月に対象区域が大幅に拡大された。
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ULEZは2015年にボリス・ジョンソン前ロンドン市長によって提案され、2017年にサディク・カーン現市長によって導入された「Tチャージ」を引き継ぐ施策である。Tチャージは、ユーロ4の排出基準を満たさない車両でロンドン中心部の規制区域に乗り入れる際に10ポンドを徴収するものだった。
ULEZは2019年4月、Tチャージの後継施策として導入。料金は12.50ポンド(約2275円)に値上げされ、クリスマスを除き年中無休で24時間運用される。
2022年10月、毎月平均190万人がULEZ内を移動し、その収益は8か月間で9000万ポンド(約164億円)を超えることが明らかになった。
一方、ロンドン中心部ではさらに制限の厳しいゼロ・エミッション・ゾーンの導入が計画されていたが、今年8月のULEZ拡大を受けて見送られた。
ロンドンULEZの仕組みと対象区域
2021年10月25日、ULEZは北環状道路と南環状道路の境界線を含む地域に拡大された。
2023年8月29日にさらに拡大され、現在ではロンドンの各自治区、M25内の全エリア、そしてヒースロー空港を網羅している。
つまり、一部の古いクルマを運転するドライバーは、市内を走行したり、その他のさまざまな場所を訪れたりするために通行料金を支払う必要があるのだ。
ロンドンULEZでは現在、ジャンクションや市内の主要道路沿いに設置されたカメラ群を使用している。これらのカメラで自動的にナンバープレートを読み取り、データベースと照合することで、車両が排ガス基準に適合しているかどうかを特定する。
非適合車をULEZ内に乗り入れた場合、走行後3日目の午前0時までに12.50ポンドを支払う必要がある。例えば、月曜日の朝に通勤でULEZに入った場合、次の木曜日の午前0時までに支払わなければならない。
また、料金は通行予定日の90日前までに支払うこともできるほか、ゾーン内の移動については毎月自動で支払うように設定することもできる。
1年のうちでULEZが運用されないのはクリスマス(12月25日)のみ。それ以外の期間は1日24時間稼働している。
ULEZに無料で入れるクルマは?
ULEZへの適合基準はガソリン車、ディーゼル車、商用車、バイクでそれぞれ異なる。
ガソリン車は、走行1kmあたりのNOx(窒素酸化物)排出量を0.08グラム未満とするユーロ4基準を満たす必要がある。
ユーロ4が施行された2006年1月以降に新車登録されたガソリン車のほとんどはこの基準を満たしており、それ以前に生産された一部のモデルも適合している。例えば、1.4Lガソリンエンジンのゼテックを搭載した2003年式フォード・フィエスタは、NOx排出量が0.08g/km未満であるため、ULEZに適合している。
ディーゼル車は、NOxと粒子状物質(PM)の排出基準であるユーロ6を満たす必要がある。すなわちNOxは0.08g/km以下、PMは0.0045g/km以下でなければならない。
2015年9月(ユーロ6規制開始)以降に登録されたディーゼル車のほとんどが適合しているが、それ以前に生産されたモデルの中にも基準を満たすものがある。例えば、2014年11月以降に生産された2.0LディーゼルエンジンBlueHDi 150を搭載したシトロエンC4ピカソや、7代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTD(2013年8月から2020年まで生産)などだ。
排ガス規制が導入されるよりかなり前の一部のクルマも要件を満たしているが、それを証明するためにメーカーから適合証明書(CoC)を取得する必要がある。
その後、CoCとV5(ログブック、車両登録証)のコピーをロンドン交通局(TfL)に郵送し、適合車として登録しなければならない。例えば、ロータス・エリーゼS1(1996-2001年生産)のオーナーは、この方法で登録できたと報告している。
EV(電気自動車)は走行中に排ガスを出さないので、ULEZに適合している。
ロンドンULEZの通行料金は?
ULEZ内で非適合車を運転するには、1日あたり12.50ポンドかかる。有効なのは当日午前0時から午前0時までなので、例えば夜勤などで午後10時にULEZに入り、午前6時に出た場合は、ゾーン内で2日間とカウントされるため、25ポンドを支払うことになる。
現地メディアの報道によると、対象区域拡大後の数週間、TfLは未払い料金に対して違反通知を出すのではなく、警告書を送付したり、罰金を免除したりしているという。
TfLのアレックス・ウィリアムズ最高顧客・戦略責任者はITVニュース・ロンドンに、こうした送付書類にはよりクリーンな車両に乗り換えるか、自動支払いに登録すべきと記されており、この対応は8月29日の拡大から「約4週間」続くと語った。
ULEZスクラップ・スキームとは?
ロンドン在住のすべての人が、ULEZ非適合車を廃車にする場合、TfLに申請することで2000ポンド(約36万円)を受け取ることができる。
申請には、ロンドン32区のいずれかに居住し、2022年1月30日以降(またはそれ以前)に登録された車両の所有者であることが条件となる。また、保険に加入し、課税され、有効なMOT(車検)を通していなければならない。V5のコピーと保険証書でこれらを証明する必要がある。
申請が承認されたら、1か月以内にTfL公認の処理センターで廃車にしなければならない。処理センターは廃車証明書を発行するので、そのコピーを廃車の証拠としてTfLに送付する。
ただし、TfLが申請を承認するまで廃車にしてはいけない。承認前に廃車にすると、補助金を受けられなくなる可能性が高いため。
TfLが廃車証明書を受け取り、確認後、支払いの手続きが行われる。
ULEZの対象外となるクルマは?
上記の通り、2006年以降に登録されたガソリン車と、2015年9月以降に登録されたディーゼル車のほとんどはULEZに適合している。
ただし、40年以上前に生産され、歴史的車両として認定されたクラシックカーは、ULEZ料金の支払いが免除される。さらに、1973年1月1日以前に生産されたすべての車両は、同様に支払いが免除される。
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