もくじ
ードイツ生まれ、アウトバーン育ち
ー15年前の最上級モデルといえども…
ー一般道を走ることができるF1ユニット
ーM5、最大の欠点
ー高回転域、まさに「天国」
ーハイリスク・ハイリターン
BMW M5新型 四駆システム「M xDrive」 英国価格1260万円~
ドイツ生まれ、アウトバーン育ち
ドイツ車メーカーはアウトバーンを想定したモデルを作り続けて久しい。
力強く、速く、通常のドイツ車らしさに、高まった速さに見合った高速域での快適さも加わったクルマたちだ。
しかし、その中古車を買おうとする場合、そのパワー以上に気になる数字は、新車時から下落した価格だろう。
そうしてみると、年式やカテゴリーは異なるが、C5世代のアウディRS6とE60世代のBMW M5は、どちらも魅力的な選択肢だと言える。
新車時には批評家から絶賛されるということの少ないRS6だが、15年が経過したことを踏まえて見直すと、速さと安定した走りは、より新しい世代の同じようなモデルに見劣りしない。
思い出すのは、新車当時の試乗会だ。
速度計の針はありえないような速さでみるみる駆け上がり、V8ツインターボは勢いを衰えさせることなく、リミッターが利くはずの250km/hを超える速度へそのクルマを誘った。
その時に乗ったのは450psの標準仕様だったが、今回アウディから借り受けたのは476psのRS6プラス・アバントで、最高速度の公称値は280km/hだ。
RS6は、いつもワゴンのアバントがセダンを販売台数で上回るが、この世代でも選ぶべきは間違いなくアバント。そのことは、中古市場での価値にも反映されている。
かつては世界最速ワゴンであり、同時期のポルシェ911を凌ぐ加速性能の持ち主。それでいて、ファミリーユースにもゆとりのキャビンとラゲッジを備える。
英国では、その強力なエンジンの開発にコスワース・エンジニアリングが協力しているという点も、好意的に受け止められる要因となっている。
乗り込んで、驚いたことがある。
15年前の最上級モデルといえども…
乗り込んでまず驚いたのは、15年前の最上級モデルはこれほど装備類が貧相だったのか、ということだ。
初期のMMIナビゲーションシステムは、ガイドだけではなくエンタテイメント系機能も持ち合わせるが、通信機能は備えていない。
また、ステアリングホイールにオーディオなどの操作スイッチは設置されていない。最新の基準と比べれば、着座ポジションは高く、ガラスハウスの下端は低く、Aピラーは細い。そのため、視認性には優れている。
V8は二面性を持っている。求めれば気持ちよすぎるほどに大パワーを叩き出し、当時のRS6を上回るのではないかという驚きの加速が味わえる。
その反面、素晴らしいクルーザー的な側面も併せ持つ。これはスロットルペダルを4分の1ほど踏み込むだけの1950rpmから、広い範囲で発揮される59.2kg-mのトルクによるもので、この数値はRS6もRS6プラスも変わりはない。
トランスミッションは5速ATのみの設定で、自動変速時にベストな働きぶりを見せる。マニュアル変速では、アップがあいまいで、ダウンが遅い。
乗り心地は、アダプティブダンパーを備えていてさえ非常に硬いが、昔ながらの油圧アシスト式ステアリング越しに伝わるフィールは、新車時の記憶以上のものがある。
ハンドリングのバランスは、フロントアクスル上にV8を積むクルマらしく、容赦ないまでのノーズヘビー。コーナリングで光るところはあまりなく、直線番長といった印象だ。
M5は、面白いほどに対照的である。
一般道を走ることができるF1ユニット
もっと新しく、より俊敏に感じられるのは期待通りだが、RS6の繊細さに欠ける走りが年式なりと納得できるのに対し、BMWの最も顕著な欠点が浮き彫りになっている。
それは、パフォーマンスカーに積まれたものとしては、過去最高レベルに苛立たしいトランスミッションだ。
SMG(シーケンシャル・マニュアル・ギアボックス)はまた、しばしばオーナーに多額の出費を強いる原因ともなる。
その他の部分も完璧とは言い難いが、運動性能面はそれにかなり近い。
この世代のM5は、BMWがロードカーとF1の関連性を強調するべく開発された。中でも、V10NAに採用したベッドプレート構造は、F1エンジンと同様の技術だ。
さすがにレースユニットほどの回転は望めないが、507psの最高出力は7750rpmで発生し、レブリミットは8250rpmに設定されている。
高回転型ユニットが多かった時期にあっても、これは例外的に回るエンジンといえるだろう。
残念なのは、英国仕様にはSMG仕様しか設定されなかったことだ。
M5、最大の欠点
このシングルクラッチの7速セミAT、登場時にも未完成に感じられたものだが、10年を経て、電撃的な変速を可能にするDCTや、完成度を高めた最新のATと比較すると、それは一層際立つ。
最速のモードを選択してさえ、アップシフトでは息継ぎのような間があり、オーナーたちはスロットルを戻せばスムーズに変速できるというのだが、個人的な感想を言うなら、それに慣れることは絶え間ない苦痛に見舞われるのと同義にしか思えない。
ただし、その他の部分の出来栄えが狙い通りなので、運動性能面でトランスミッションはそれほど重大な弱点とはならない。
ルックスはいま見ても素晴らしく、たくましいボディラインはクリス・バングル時代のBMWデザインの傑作のひとつに数えられる。
キャビンもまた、実にモダンなのが印象的だ。快適性にも優れ、ましてやBMWが気前よく貸し出してくれた25thアニバーサリー仕様の最終型は、装備内容が充実している。
とはいえ、やはり白眉はV10ユニットだ。
高回転域、まさに「天国」
低速トルクは、かつて乗った時の記憶よりも豊かだが、それでも3500rpm以下では元気があるとはいえず、音も耳障りだ。
状況が好転するのはそれより上の領域で、回転が上がるにつれサウンドも強まり、レッドゾーンが近付くとF1の血統を感じさせるようになる。
シャシーは秀逸で、スプリングは硬いが、ダンパーの働きは上々で、理想的な重さのステアリングは豊かなフィードバックを伝えてくる。
ハンドリングのバランスはほぼパーフェクトで、高出力ターボならば低回転域から頻繁に介入するスタビリティ・システムを目覚めさせないという点では、低速トルクの細さにも利点を見出せる。
となれば、走行距離を重ねた個体でも、ぶら下げたプライスタグに見合う価値があるのだろうか。
市場では、個性に乏しいF10世代に対しスペシャル感の強いE60世代が再評価されつつあり、ここ数カ月の英国の動向は価格が上昇する気配を見せている。
値付けの基準は年式よりも程度で、初期型と後期型の差額は小さい。コンディションの良い個体は£20,000(280万円)前後、よりレアなツーリングは£2,000(28万円)ほど高いといったところが相場だ。
RS6はそれより安い傾向にある。
ハイリスク・ハイリターン
RS6はそれより安い傾向だが、程度の良い個体を探すのはさらに難しい。£10,000(140万円)以下を掲げる広告も目にするが、ターボやトランスミッションにトラブルがあった場合の出費を考えると、それを購入するのはちょっとした冒険だ。
しかし、£15,000(211万円)も支払えば、整備され、履歴もしっかりしたものを手に入れることができるはずだ。
もちろん、この手のクルマは維持費がそれなりにかかるだろう。
燃費はお世辞にもいいとは言えず、£70(9800円)相当のガソリン量での航続距離は、M5のトリップ・コンピューターによれば300km少々だ。
そうした意味ではリスクのある投資かもしれないが、手に入れてから得られるであろう見返りが大きいのもまた、動かしがたい事実なのである。
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